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まじめにやれよ!(一社)SVリーグ④
【注意】
2024年10/11(金)に開催された、
日本バレーボールのトップリーグ「SVリーグ」の開幕戦に関して、
1スポーツファン目線+ビジネス系のライター目線で、
かなり辛辣なことを書いています。
ここまで①②③をアップしておりますので、
ご一読いただければ幸いです
(いずれも6,000文字近くありますので、お時間あるときにどうぞ)。
読んでいただいた上で
「そんなことない盛り上がってた」「興奮した」「感動した」と
あなたが思うのならば、それはとても幸いなことだと思います。
どうぞそのまま、ピュアなバレーボールファンとして、
SVリーグをお楽しみください。
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■開幕戦視聴率「3.8%」が意味する
先行きの危うさ
①②③では1ファンとして運営への不審と苛立ちを大爆発させてしまったわけだが、④ではちょっとビジネスライターの視点から「SVリーグの先行きの危うさ」を考えてみたいと思う。
SVリーグの発足にあたっては、タイトルパートナーとして「大同生命保険株式会社」が名乗りをあげた。正式名称は「だいどうせいめい えすぶいりーぐ」ということになる。
![](https://assets.st-note.com/img/1729830726-KXMNQCpHBlES9GzfjW7RTbqd.png)
契約金額は非公表だが、期間は2024年4月から2030年6月まで約6年の長期+1社による冠契約ということで、おそらく大同生命側は数10億規模を計上しているであろうビッグビジネスだ。
そんなわけで、大層気合が入っている大同生命のSVリーグ応援サイトは、所属チームの情報やVリーグとの違いなどの基本情報が、SVリーグ公式の100倍くらい分かりやすくまとまっている。とてもありがたい。
SVリーグは自力でこういうの作れないなら、このサイトにリンク貼って「大筋はこちらでよろしく!」ていえばいいのに。
大同生命がなぜSVリーグのトップパートナーになったかについては、下記のような美しいメッセージが掲げられている。とてもありがたい。
ありがたいが、企業というのは「想い」だの「共感」だけで何十億もポンと出してくれるわけではない。向こうさんだってビジネスなのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1729831534-upkhPgJDMEmbCie53cvqUKz1.png?width=1200)
どのような話し合いやプレゼンテーションを経たのかは知らないが、締結に至ったということは、少なくともその時点では、「SVリーグには、それだけの価値がある」という経営判断がくだされたということだ。
薄汚れた推測をいうと、サッカーは明治安田、バスケは日本生命だから、わが社もなにかやらねば…という思惑が働いたのではと考えているが、ともかく大看板は決まった。そのほかのパートナー企業も続々と参画し、運営の原資については保証された。
もちろん、スポンサーの金がそのまま機構に入るわけではないのもよく分かっているが、それでもこれまでとは比較にならない資金が、バレー界に流れこむことになったのだ。SVリーグはとても安心したと思う。
なんせVリーグ時代の収益性の低さといったら、唖然とするレベルだったのだから。
だが問題はそこからだ。
どんなプロジェクトでも、
一番注目が集まるのは「スタート」の瞬間
で、SVリーグの場合は、まさに「2024年10月11日」がその日だった。
SVリーグは来るべきその日に向かって、全力でアピールに努め、ファンだけでなくまだバレーを知らない人にも新リーグ誕生の報が届くよう、注目度と熱を高めていく必要があった。
幸い今年はパリ五輪での代表チームの奮戦もあり、バレーボールへの関心は高まっていた。
パリ五輪における男子日本代表戦の最高視聴率は、なんと23.1%(8/5・VSイタリア戦)。バレーに限らず、パリ五輪全競技で初となる、20%越えという数字をたたき出したのだ。
(参考:毎日新聞ニュース)https://mainichi.jp/articles/20240806/k00/00m/050/176000c
若い方はあまりテレビを見なくなっているため、ピンと来ないかもしれないが、「視聴率」は今なお、企業が金を出す出さないのジャッジをする上で重要な指標だ。
その一方で、代表選手を多数擁したSVリーグ開幕戦の視聴率は3.8%。一般に、各局夜ドラの打ち切りラインがだいたい3%といわれている。
もちろん帯ドラマとスポーツ中継を同じ尺度では測れないが、イベント性・スポット性の高いスポーツ中継ならなおのこと、もっと高い視聴率が取れなければお話にならないだろう。
ゴールデンタイムを用意して生中継した
フジテレビからしたら、まさに「大爆死」
というやつだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1729840870-8Ulo1267J3ftMuqQwcV9yrYN.png?width=1200)
ここ数年、多くの人が「テレビをつければ大谷さんのニュースばっか!」という印象を持っていると思うが、それはひとえに、彼が視聴率のとれる選手だからである。
活躍する→報道される→注目・人気が集まる→金が集まる。このあたりはいわずもがな、全部つながっているのだ。
ちなみに参考画像を見てほしいのだが、SV開幕戦があった週の1位は、大谷翔平と高橋由伸がワールドシリーズ進出を決めた大一番の20.3%だ。
あえて雑に言えば「視聴率20%とれたら、大谷くらいフューチャーされる可能性だってある」ということになる。
「男子代表・パリ五輪・23.1%」は、そのくらいの偉業だったし、スポンサー企業はきっとあれを見て、
バレーボールには、SVリーグには、ポテンシャルがある
と思ったはずだ。巨資を投ずる価値があると。
SVリーグはその期待に、実績で応えなくてはいけなかった。なのに開幕戦は「あのザマ」だったのだ。
また次の五輪では20%を越えるかもしれない。だが
バレー界の未来を拓くはずだった
SVリーグ開幕戦は、視聴率わずか3.8%。
これが現実だ。
この厳しい数字をもって「またSVリーグ生中継しましょう!」とか「レギュラー番組やりましょう!」と言ってくれる編成がいたら、よっぽど胆力がある。
そういう人が、各局にいてくれたらいいのだが、すでに開幕戦前後の報道ラッシュが鳴りを潜めているところを見るに、メディア的にはSVリーグフィーバーはもうすっかり落ち着いてしまったのだろう。残念ながらマスコミってのは、そーゆークソ現金な業界なのである。
シーズンが始まった以上、人気選手たちだってそうそう取材に応じてはいられないだろうし、よほどのことがない限り、今季またSVリーグに脚光が当たるチャンスは来ないのではなかろうか。
(なお、10/24現在のよほどのこと=「2025年秋にペルージャVSサンバーズ戦がある(かも)」らしいが、来秋も石川祐希や高橋藍が今のチームにいるとは限らない。というか、高橋はまたすぐ海外行っちゃうんじゃね?)
大金出してるスポンサーや、報道メディアのことすら考えていないんだから、そりゃあファンのことなぞ何も考えちゃいないだろうよ。
それが開幕戦時点での「SVリーグ様」なのだ。哀しいけれど。
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■買うべきか、叩くべきか
ファンを迷わせた高級ハリセンの謎
…とまあ、自分も一応業界のはしくれで飯を食っている人間として、非常にしょっぱい記事になってしまったが、ここからはまた1ファン視点に戻っての疑問だ。
恐縮ながら開幕戦、私は会場で、びた一文金を使わなかった。
そもそも他チームファンなのでサント・ブルテのグッズを買う気はなく、会場に着いたときにはSVリーグの公式グッズも完売祭りだったので、金を使う機会自体なかったというべきか。
それでも試合前はひまだったので、Vコレの開幕記念ステッカーをもらいついでに場内をぐるりと一周してみた。そこで驚愕したのが、両チームブースでの「ハリセン有償頒布」だった。
えっ、ファンでもハリセンもらえないのか…その発想はなかったな。
いくらなんだろう?
とは思ったが、一応人垣ができていたのでその時は確認しなかった。でもせいぜいワンコイン(100円)くらいだろう。私は記念にとっておくタイプだけど、基本的には使い捨てのものだし。
そう思って帰宅してから確認したところ、
なんとハリセンは500円だったという。
なんか使い捨てじゃない、1シーズン使える丈夫な材質になったとか、開幕記念限定デザインとか、理由があったのだろうか…と探してみたが、う~ん、別にとりたてて変わった仕様には見えない。
(感想には個人差があります。もし「い~や500円の価値ある素晴らしいハリセンだった!」というサント・ブルテファンの方がいらしたら申し訳ございません)
※10/26追記。コメントとXの方からブルテのハリセン事情をお知らせいただきました。ありがとうございます。
SDGs対策もあり、紙ハリセンの無料配布を終了し、ポリ製ハリセンの有償頒布に変更になった模様。それならば納得はいきます。ただ、初めての人、年何度も来られない人も購入してくれるか、という点では検討の余地ありだと感じます。
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野球・サッカー・バレーなどなど、長年スポーツ観戦を趣味としてきた私としては、ハリセンというのは非常によい応援グッズだと感じている。
ファン視点でいうと「体力・腕力がない人、声を出して応援しない人でも簡単に大きな音が出せて、かさばらず、軽く、後ろの席の視界を遮らない」のが主なメリットだ。(お好きな方には悪いが、私はバルーンスティック応援を憎悪している。視界を遮られる、握りにくい、かさばる、音が腑抜けている。まるでいい思い出がない)
そしてチームとしては上記の恩恵に加えて「紙(印刷物)だから製造コストが安い」という魅力がある。
もちろん、デザインして印刷・折り加工をして配布する(保管する)、すべての行程には相応の金がかかるわけだが、それでも良いプレーが出た瞬間、ファンがハリセンを叩いて盛り上がる、あのにぎやかさ・熱気にはかえがたい。
だからどんな小さなクラブでも、ハリセンだけは用意してファンに配ってくれるし、ファンも受け取った瞬間に「生観戦にきたぞ!」とスイッチが入る。そういうバレー観戦を象徴するようなグッズだと思っていた。
それが500円となると、正直、買うのにも、買ったうえで叩くのにも躊躇する値付けではなかろうか。
そりゃあ会場にハリセン音が
響かなかったわけだ。
サントとブルテはご存知の通り、SVきっての資金力を誇るチームなので、別に無料配布することだってできただろう。
それが有償頒布、しかも500円というアホみたいな価格になったのは、主幹したSVリーグからの、なにかしらのしょーもない要請の結果だと思う。「お祭りなんだからファンは買うだろ」と足元見てたとか。
従ったのは両チームなのでなんともいえないが、入場口で配布できないとしても、各自のチームブースまでもらいに来てくれるファンには無料であげるとか、せめてもっと安くするとか、そういう裁量はなかったのだろうか。
はじめのうちは声が出しにくい雰囲気だったとしても、ハリセンの音があれば、次第に盛り上がって声援も大きくなったのでは。そう思うのである。
客の熱気や歓声という
コストをかけてでも手に入れるべき
大事なものを、せこい小銭稼ぎをした
(させた)せいで失った。
原価厨のようなことをいって恐縮だが、印刷物なぞ、刷れば刷っただけ単価は下がる。あの会場の半分ずつだとしても、各チーム約3,300枚なら1枚単価は50円もしないだろう。実際にはもっと大ロットで刷っているだろうし。
たかが500円、されど500円。「ハリセン有償」は、そういう運営の想像力のなさを如実に表した例のように感じた。
![](https://assets.st-note.com/img/1729854655-aBUX5Fd43GtAPnwCYgJxfjkI.jpg?width=1200)
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■熱と歓喜を呼び起こさない
スポーツに、金は集まらない
1ファンのくせにやたら金々いって恐縮だが、私はなにしろ、サッカーではガチ推しだった横浜フリューゲルス(消滅)を涙で見送り、野球で近鉄バファローズ(消滅)にハンカチを噛み、バレーではFC東京(休部という名の廃部)に愕然としてきた人間だ。金がないチーム(親会社)に未来はないということを、骨身にしみて知っている。
※東京ガスがどういう経営判断をしたのかは素で分からない。東京唯一のトップリーグチームを手放すかねえ…?
もしや自分が疫病神なのでは…と不安になった日もあったが、幸いにしてFC東京は東京グレートベアーズに生まれ変わり、今のところSVリーグ内でもトップクラスの、華やかでストレスのない運営がなされている。
しかしながら、こんな奇跡のようなホワイトナイツが現れるなんてことは滅多にない。
FC東京や大分三好ヴァイセアドラーズの例でも明らかなように、かつてのVリーグでは、企業が決定したら抗う術はなかった(大分の場合はバレー愛溢れるリーダーの急逝によるものだが、承継・救済の道を探す猶予はなかった)。野球やサッカーの時のように、社会的な大騒動になる余地すらなく、あっさりと静かにチームは消えてしまった。
前途・意欲のある選手は移籍して散り散りに。見切りをつけて引退した選手も多い。そうしてファンは、愛したチームを惜しむことしかできない。
あんな哀しみをもう味わいたくはないのだ。
SVリーグは発足にあたって「2030年までの完全プロ化」を掲げている。参加する各チームに対し、親会社に頼らず独自経営できるようになれ、と要求しているということだ。
だったらなおさら、どのチームよりも真っ先に、SVリーグ自らが「金を稼ぐ意思のある運営」を見せなければならなかった。
そして2024年10月11日の開幕戦では、全力を挙げて「SVリーグは金(=数字)が稼げる」と示さなくてはならなかった。
繰り返しになるが、活躍する→報道される→注目・人気が集まる→金が集まるは、すべてつながっている。そして、
金なくしてチームを維持し、
選手を育て、守り、レベルを上げ、
競技人口やファンを増やすことは
絶対にできない。
なのに、
なんなんだよあの体たらくは。
もちろんそれぞれ身の丈にあわせてだが、ファンは気軽にチケット買って生バレー観戦に行きたいのだ。好プレーに沸いてハリセン叩きたいし、推しのグッズだって手に入れたい。大盛り上がりして腹がへったらスタグル食べて、ビールを飲みたい。
そういう「気分よくバレーに金を使う機会」を、ことごとく運営の不手際によって潰されたあげくに、苦労に見合う興奮も感動も得られなかったら、2030年どころか来シーズンだって危ういぞ、SVリーグ。
たとえ提灯記事で「大フィーバー」とか盛ったところで、80,000円のチケットが即完売し、500円のハリセンがささやかに売れたところで、もう冷めてしまった層もいるだろう。スポンサー企業の目も、かなり厳しくなっているはずだ。
個人的には何一つ褒めるところがなかった、お寒い開幕戦から約3週間。
次回のSV主幹ゲームは、11月3日(日)・4日(祝)のサントリーサンバーズ大阪VS東京グレートベアーズ戦(東京・有明アリーナ)だ。
グレベア戦なので元々観に行くつもりではあったが、ここまでこき下ろした以上は、どうリカバリしてくるか、この目で見ておくべきだろうと思ったので、ちゃんとチケットは取っている。
願わくばスムーズに入場できますように。
会場が熱気と大歓声に包まれますように。
また来ようねと笑って帰れる、楽しい1日になりますように。
こんなあったりまえのことを、本当に、心から願っているのだ。
頼むよ、SVリーグ。
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①~③、たくさんお読みいただきありがとうございます。またしても6000w超えてしまった…
月内にあと1本、SVリーグが早急にやるべきだと思っていることをいくつか書くつもりです。またお読みいただければ幸いです。
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