40代一人暮らし、マンションを買ってリノベーションすることにした
コロナ禍に飽き飽きして、鬱々とした日々を過ごしていた2021年夏、マンションを買った。
仕事は通勤が必須なカテゴリーではなかったため、コロナ禍に入って早々にリモート(状況により出社率を変える形)に切り替わっていたが、もともと人混みが好きではないし、一人で作業をすることも好きなので、大きな不都合を感じることもなかった。周辺環境に煩わされることもなく、必要な時に必要なことを連絡して効率良く作業を進める、ということに気楽さすら感じていた。
プライベートではライブに行くという趣味が絶たれ、時間やお金の使いどころがだいぶ減ってしまっていたが、映像配信のサブスクや一人で出かけるキャンプなど、これまで時間を使えていなかった楽しみに時間を使えるようになったことで、新しい世界を見ることもできていた。
40歳を超えるとガラリとした環境の変化というのは起こりにくいのも事実。仕事のスキルも上がってそれなりのポジションにも就き、責任を持ちながらも自分の裁量である程度の物事を進めることができる。自分の生き方を他人に評価される状況から離れることもできるし、好きなものについて他人の目を気にする時間を無駄だと思うようにもなる。
言ってしまえば「飽きた」が一番正しい表現なのだと思う。仕事も趣味も日々の暮らしも、ある程度の蓄積と技術でこなせる状況になったことで、ストレスは少なくなっていた一方で、変化のなさや「できる」とわかっている作業を繰り返すことに対して、このままでいいのかという不安がよぎるようになった。
飽きている状況の中でも人と会ったり話したりする時間がそれなりにあれば、不安が紛れたり見ないふりをすることもできたかもしれないけれど、人との接触も少なくなっている中で、私が一番恐れている「自分自身をつまらないと思うようになること」が、目の前に迫っているのを感じた。
コロナ禍に対応しながら何か新しいこと、自分が見たことのない世界に行けることを探さなければ。新しい趣味を発見しなければ。そう思ってたどり着いた結論が「マンションを買ってリノベーションしよう」だった。
趣味と呼ぶには大きすぎるイベントかもしれない。でも、自分だけの場所をリノベーションし、手を入れながら暮らしていくことは、一生続けられる趣味なのではないか。自分の思いつきに目の前が明るくなり、すぐにでも走り出さなければという高揚を覚えた。
NRNR