夢や生きがいはずっとそばにいるわけではない/ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
レディ・バードのコンビ=グレタ・ガーウィグとシアーシャ・ローナンで若草物語のリメイク。この時点で優勝案件だし実際絶賛やまずなんですが、個人的には身につまされすぎてしょんもりしてしまいました…予告でも薄々「あっこれやばいな」と思っていたんだけども。
アラサーくらいまでの女性なら十分響くストーリーだと思うのですが、登場人物たちが夢見る未来や幸福を何一つ得られなかった身には結構残酷でもあったりして。この物語に素直に感動するにはもう圏外なんだなと思い知らされた。人生のステップクリアできずずっととどまってるのゾンビじゃん。辛い…早くこんな気持ちから解放されたい。
共感するポイントや「わかるそうだよね」って思えるポイントいくつもあるし4姉妹それぞれを公平に描いているのも好感持てる。個人的にこういう作品だと自立心強い主人公に対しての引き立て役になりがちなメグにも、ちゃんと葛藤を描いてるのはよかったです。美人で女優としての才能があったメグが夢よりも好きな人(決して裕福ではない)との人生を選ぶの「それもまた良し」だよねーって目線で描いてるの信頼出来る。そして玉の輿も成功も得ようとするエイミーの貪欲さも。
ソフィア・コッポラの映画みたく「何が言いたいの?」って思っちゃうこともない。ジョーの「結婚や家庭よりも夢や生きがいを大切にしたい」という姿勢に共感する女性は多いだろうし自分もそのスタンスで生きてきたけれど、夢や生きがいってずっとそばにいてくれるものではない。見失ったり裏切られたり、はたまた追いつけなくなって手放すことは出てくる。そうなったとき、安定も安らぎも夢も生きがいも何もなしで生きていかなければならない。からっぽの孤独を人生を送るのは長すぎるし不安で空虚すぎる。
もちろん普通の女性は「恋も仕事も手に入れ」られて当たり前だから、そんな心配は杞憂だけれども。
天職だと思っていたのに挫折を経験する辺りに「半分、青い。」、ジョーとローリーとエイミーの関係に東京タラレバ娘の回転寿司のエピソード(後で取ろうとしても同じ皿は二度と回ってこない)を連想した。というかジョーとエイミーとローリーの関係、倫子とマミちゃんと早坂さんのそれと似ている…。これらの引用、グレタ・ガーウィグが知る由もないのは承知していますが、現代の女性には場所を問わず共通する問題でもあるのかもしれない。
そしてジョーがローリーとフレデリックからの好意を固辞するの、所謂蛙化現象に近いものなのかな…って思ったり。サバサバ生きてるように見えても、美しい姉と比較されることばかり言われたら人格形成に影響を及ぼすよな。
ともかく人生シングルタスクで生きるのはリスクが大きいので、できるだけマルチタスクで生きられるようにしましょうね…という教訓を今日も映画から得てしまった。わかってるんだけどな。
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