見出し画像

精神保健福祉士及び社会福祉士国家試験の受験記録


はじめに

 第24回精神保健福祉士国家試験、第34回社会福祉士国家試験から早くも3週間が経過した。すでに自己採点を終え、あとは3月15日を迎えるだけの受験生が大半を占めている思う。僕もその1人。

 今回は3週間前に2つの国家試験を同時に受験した僕の体験記を綴る。振り返りという意味に加えて、もし、次回以降の国家試験受験生がこのnoteに辿り着いたときに、参考になる情報がひとつでも多くあればいいなと願いを込めて。

試験前夜の過ごしかた

 試験会場が大阪ということで、僕は大阪市内のホテルに宿泊することにした。早めにチェックインを済ませ、荷物を部屋に置き、同じホテルに宿泊する大学同期たちと会場の下見に向かう。

 この試験会場。すぐそばには海が広がっているということで、風がとても強かったことを覚えている。この日がたまたまそうだったという可能性もあるけれど、いつもはどうなのだろうか。十分な防寒対策があると心強いかもしれない。

ホテルの部屋から(左奥が梅田の摩天楼)

 基本的には、試験会場が家からよほど近いというような場合を除いては、前泊するのが堅実だと思う。公共交通機関にトラブルはつきもの。排除できるリスクは取り除くのが吉。僕の場合は、大学の先生から前泊の勧めがあった。

 僕は環境の変化から生じるストレスをなるべく避けたくて、普段の部屋着を持参したり、よく使うアロマの香りを嗅いだりした。非日常を日常に近づける。国試という非日常体験を乗り越える上で、僕はとても大切なことだと思っている。

 また、過去問等は解かないようにした。前日の夜に分からない問題、解けない問題に出会っちゃうのは精神衛生上よくない。不安が騒いで眠れなくなったりしようものなら最悪だと思っていた。

高まる緊張、そして領域展開

 1日目は午後から精神保健福祉士の専門科目。朝はホテルの朝食が全く喉を通らなかった。試験に対する緊張感や「もしも、0点科目を作ってしまったら?」という失敗への恐れが僕を支配する。

 結局、僕は部屋のトイレで吐いてしまい、しばらく動けなくなっていた。なんとか持参していたベンゾジアゼピン系抗不安薬を飲んで、ベッドに倒れ込むようにして寝転がる。

 何を隠そう僕は当事者学生。支援者を目指しながら精神科に通院し、現在も治療を受けている。

 もし、これを読んでいるあなたが当事者であるならば、僕は心からのエールをあなたに対して送りたい。僕は申請しなかったが、国家試験においては配慮を願い出ることも可能なので、状況に応じて申請することも選択肢に入れてほしい。

 ちょうどこの時間に大学の先生と画面越しに1対1でお話する機会があって「檸檬くんはこれまでに数々のことを乗り越えてきた。実習だってそうだったでしょう」というような言葉を頂いた。正確な言葉までは覚えていない。でも確かに僕は先生から励ましの言葉を受け取った。

 抗不安薬が効き目を発揮し、先生の言葉にもほぐされ、なんとか落ち着きを取り戻した。やがて同期たちとホテルのエントランスで集合して、試験会場へと向かう電車に乗り込む。前日と同じく、この日も風が強く、肌寒かった。

 試験会場に着くと、まず予想以上の人の多さにビビった。というのも、試験前に「コロナ禍だし大人数で一緒になって試験を受けるとは考えにくい」という情報がもたらされていたためだ。

 これは予想以上だな。試験会場の独特の空気感に圧倒されそうになるのをこらえて、自分の席を探し出し、着席する。ここまできたら周りのことは関係ない。今の自分にできる最高のパフォーマンスを見せつけてやる。ただそれだけを考えた。

 解答用紙や問題用紙が配布されてから試験開始まで少し時間がある。この時間を使って、僕は目を閉じて、自分だけの世界に入るよう試みた。イメージは領域展開。僕は今この瞬間に集中した。

1日目、最後まで考え抜く

 精神保健福祉士の専門科目は「精神疾患とその治療」からはじまる。落ち着いて冷静に解くことを心掛けたものの、数々の模試で身につけた時間配分のリズムは崩れつつあった。国試には魔物が潜んでいるというのか

 一方で、得点には自信があった。「あれ?国試ってこんなものなの?模試のほうがよっぽど難しかったぞ!」というように、体感では8割以上は得点できていた。これが精神的余裕につながり、崩れかけていたリズムを取り戻すことになる。

 最後の科目が解き終わった時点で、30分近く時間が余っていた。僕は判断に迷った問題まで戻って長考する。数問それをこなしたところで、マークミスがないか入念に確認した。与えられた時間を使い切って、試験終了の時間を迎える。

 国家試験は終了の合図を待たずに早めに退室することが可能であり、試験時間中にその旨がアナウンスされる。しかし、時間をすべて使い切って勝負するべきだと僕は思う。僕がリズムを崩しかけたように、試験本番はいつもの自分には起きないことが起きやすい。例えばマークミスは発生しやすい状況といえる。そんなことにならないためにも、時間は使い切るべきだと思う。

 翌日が決戦であることに変わりはないものの、僕はひとつ試験を終えたことに安堵の息をついた。

2日目、決戦の刻来たる

 僕が2日目を決戦と位置付けたのは、共通科目が午前にあるからだ。共通科目の結果次第で精神保健福祉士と社会福祉士の合格が決まるといっても過言ではない。僕はそのように認識していた。

 例えば、共通科目に0点科目があれば、それだけでW合格には手が届かなくなる。たとえ0点科目が無かったとしても、共通科目が低得点に終わってしまえば、それぞれの専門科目に負担が重くのしかかる。それだけは避けたかった。

2日目は開場時間に試験会場入り

 この日もご飯が喉を通らなかった。それでもエネルギーを補給しないと戦えない。そのため、僕はあらかじめゼリーを3日分用意していた。早めに試験会場入りして、昨日と同じ席に座る。そしてゼリーを飲み込む。ゼリーは人類最高の発明だ。

 万全を期して迎えた共通科目。手応えは全体的に良かったが「現代社会と福祉」「権利擁護と成年後見制度」はあまり自信がなかった。どちらの科目も1点はあると信じていたが、万が一のことが頭をよぎる。そして不安に飲まれかけた。

 それでもなお、気持ちを切り替えて、社会福祉士の専門科目に臨むしかない。昼食休憩はただそのことだけを考えていた。

 午後、社会福祉士専門科目。こちらは「高齢者に対する支援と介護保険制度」を除いて自信があった。試験全体を通してではあるけれど、見慣れない単語が多かったと感じたのは僕だけなのだろうか。それでも消去法で解けるものが多く、打つ手なしというわけではなかったのが幸いだった。

 こうして、2泊3日の戦いは幕を閉じた。控えめに言って、人生最大の総力戦だった。なお、僕はこの体験を大阪冬の陣と呼ぶことにしている。大阪だし、冬だし、なんかかっこいいなと思って。

 あ、冬で思い出した。会場は換気の影響で肌寒いので、ひざ掛けやカイロがあると頼もしい。

おわりに

 まずは、こんなところまで読み進めてくれたあなたに感謝を。読みやすい文章ではなかったと思う。なんとしても今日この日に投稿したくて、最後は駆け足になり、そして十分に推敲することができなかった。はんせい。

 感染症が猛威を振るう難しい状況の中で、試験を無事に終えることができたのは、家庭内隔離に協力してくれた家族のおかげだと思う。もう感謝の言葉は伝えたけれど、合格を果たしていたなら、再度改めて感謝の気持ちを伝えたい。

 受験勉強なんてものはもうしたくない。絶対にしたくない。でも楽しかった。仮に望まない結果であったとしても、僕は僕を誇りに思う。

試験前、学長先生から頂いたチョコレート

結果報告(3月16日追記)


【結果】
 第34回社会福祉士国家試験 合格
 第24回精神保健福祉士国家試験 合格

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?