普通だけどちょっと特別な一日。
朝、いつもより遅く目が覚めた。
冬の柔らかな光がカーテンの隙間から差し込んでいる。
窓を開けるとひんやりとした空気が部屋に流れ込むけれど、空は抜けるような青空だ。思わず背伸びをしながら「ふあぁ~」と大きなあくび。
「さて、今日も始まるぞ。」
リビングに向かいながら、ふと目に入ったのは知人からいただいたつきたてのお餅。毎年この時期になると届く、ちょっとした楽しみだ。
赤い線の入った袋を手に取り、線に沿ってハサミを入れる。
この線のおかげで、どの餅もきれいなサイズに切り分けられるから安心だ。
丁寧に切って、ジップロックにきれいに収納。
切り分けた餅を早速焼き、お雑煮にして朝ごはんに。
「うんっま!」
一口食べるたびに、餅の香ばしさとつきたての柔らかさが口いっぱいに広がる。
この味を楽しめるのも、年に一度の贅沢だ。
今年は食べ過ぎないように気をつけよう…と心に誓い我慢した。
朝食の後は、ウォーキングへ。いつものコースを少しペースを上げて歩くと、気持ちよく汗をかいた。家に帰ると、息子の車がない。どうやら出かけているようだ。
ぽかぽか陽気の午後、親子で洗車
午後からは洗車をすることにした。天気が良いので絶好のチャンスだ。
庭に妻の車と自分の車を並べ、水を張ったバケツを準備。ホースを手に黙々と洗車をしていると、帰宅した息子が突然「俺も車洗いたい!」と声を上げた。
「おや、めずらしい。」
息子が自分の車を洗いたいなんて言い出すのは初めてのこと。少し驚きつつも、YouTubeで学んだプロの洗車テクニックを伝授することに。
タイヤ周りからスタート
まずはホースの水圧を高めて砂や泥をしっかり落とす。次に、バケツに分けた洗剤水を使いスポンジでホイールを丁寧に洗っていく。洗い終わったら水で流してピカピカに。「おしゃれは足元から!」と息子に伝えると、「ふーん」とそっけない返事。でも、しっかり洗っている姿が微笑ましい。ボディを洗う
マイクロファイバークロスを泡立てた水に浸し、車体全体を上から下へと洗う。屋根から始めると効率がいいのだ。アワアワのクロスが汚れを拭き取っていく感覚が気持ちいい。最後にホースでしっかり泡を流すと、光を反射するほど美しい仕上がりに。仕上げの拭き上げ
冷たい冬の空気の中、手がかじかむのをこらえながらクロスで水滴を丁寧に拭き取る。息子の車はコーティング済みなので拭き上げだけで済むが、手が赤くなるほど冷たくて冬の洗車はやっぱりつらい。それでも息子と並んで洗車する時間は、なんだかんだ楽しいひとときだった。
妻のため息と、男のロマン
洗車が終わると、妻が部屋の掃除をしている音が聞こえてきた。
書斎を覗くと、私の机の下に積み上げられたプラモデルの箱を見て、妻が呆れたように言う。
「これ全部…いつ作りおわるの?」
さらに、娘からも追い打ちをかけられる。
「ほんとだよ、何年後になるのかな」
プラモデルの山を見つめながら、胸に手を当てて静かに言う。
「わからないだろうな…男のロマンってやつは。」
だが、家族の冷ややかな目線が突き刺さる。娘が言い放つ。
「そんなもん知りたくもないし、知る必要もないし。」
令和ロマンのネタは好きみたい。
「終わらせましょう…」(M1の時のネタ)
それでもいいのだ。ロマンとは、自分だけの楽しみ。家族に理解されなくても、その存在だけで満たされるのだから。そっとプラモデルの箱を元に戻しつつ、マイペースで、一つひとつ丁寧に…終わらせましょう。
おわりに
こうして、餅を食べ、ウォーキングをし、洗車をして家族と過ごした一日が終わった。
特別なイベントがあったわけではない。けれど、日常の中で感じた小さな楽しさや喜びが、心に残る。
「普通だけどちょっと特別な一日」でした。