![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161502499/rectangle_large_type_2_251619d27751a7e9545e3002bafad2fd.png?width=1200)
教え子の結婚式での話。
地元には、行列のできるラーメン屋があります。大将が一代で築き上げたこの店は、お客さんが喜ぶラーメンを作るために、情熱を注ぎ続けてきた場所。
私も学生の頃からその味が大好きで、何度も通ったものです。
そんな店の大将の長男が、高校時代、私が顧問を務める吹奏楽部に入部してきました。
彼は中学校時代は野球部でしたが、「高校では吹奏楽をやりたい」と目をキラキラさせながら話してくれました。話し合った末、クラリネットを担当することに決めました。お父様譲りの努力家で、彼はメキメキと力をつけ、3年生の時には部長を務めるほどに成長しました。
創部50周年の記念の年に、長い伝統を引き継ぎ、県を代表する吹奏楽団として誇り高く活動できたのは、彼の功績によるものだと思っています。
高校卒業後、彼は全国レベルの実力を持つ吹奏楽部がある大学へ進学し、努力の末、1年生からレギュラーを獲得。4年生では主将も務めました。
彼の直向きな努力は、私自身の原動力にもなり、その成長ぶりに感銘を受けています。大学卒業後、地元の銀行に勤めたのち、現在は家業のラーメン店に戻り、厨房に立っています。
久しぶりに店を訪ねた時、彼から結婚の報告を受け、そして今日は、その結婚式に参列しました。
乾杯の挨拶を任されていたので少し緊張しながら会場へ向かいましたが、いざ新郎新婦の登場で華やかなプロジェクションマッピングが始まると、感動で挨拶のセリフが半分以上飛んでしまいました。
準備していた挨拶文もありましたが、結局、その場の言葉で彼を紹介し、心からのお祝いを伝えました。教員として日頃から話す機会は多いのですが、やはり結婚式という特別な場での挨拶は別格で、挨拶を終えたあとは緊張で少し動けませんでした。
披露宴では、彼が友人と演奏したバンド演奏や、新婦と奏でるクラリネットのデュエットが披露されました。彼が多才で頼もしい大人に成長したことを目の当たりにし、その人柄と器の大きさに改めて胸を打たれました。
お父様が息子の晴れ姿を誇らしげに見守る様子も印象的でした。大将として一代で築き上げたラーメン屋、そしてその情熱を受け継ぎ新しい道を歩んでいく息子さん。そこには親から子への信頼と誇り、未来への期待が感じられました。
新たな家族を持つ彼を見て、私もまた自分の結婚式やこれまでの人生を思い返す一日となりました。支えてくれる家族や、共に歩んできた方々への感謝を改めて感じ、「愛」に包まれた素敵な結婚式を心から楽しみました。
久々に教え子たちとも再会し、彼らの成長を見守りながら、私もまた、自分の夢に向かって挑戦を続けていこうと新たな決意をしました。