救われるときは、いつだって私も救いたいって思う

元彼が死んだ。自殺だった。十六歳のときから知っていて、お付き合いをしたのは二十歳を過ぎてからだったけど、五年間も付き合って、結局最後は「もう好きじゃなくなっちゃった」って言われて、フラれた。私は「ぜんぶ、無駄になっちゃったね」と言うしかなかった。

その後、私は別れてすぐ友達の紹介で出会った男性と付き合い、交際期間1年を経て、結婚。そして、今は妊娠して5ヵ月だ。夫とは、穏やかで趣味があって、少し頼りないところもあるけど、優しい。春みたいな人だ。そんな矢先の出来事だった。

友人からのLINE。「今、電話していい?」いや、無理。だって今、キャンプ来てるし。なんで?なしたの?「いや、ちょっと言えない。」なに?あいつのこと?結婚するとか?「うーん。悪い話。」え?死んだ、とか?

「さっき首つっているところ見つけちゃった。自殺。」

それだけだった。一方的にお通夜の日程が送られてきて、あまり広めないでほしい、でもお通夜は来てほしい、と。若い人が自殺するってこういうことなんだ、と思うお通夜だった。

広めないでほしい、と言いつつ、やはり広まるもので、お通夜には家族葬と言いつつ三十人くらいの同級生が来た。もちろん死因も知らない人もいた。なのに、坊主は「自殺とは~…」なんてありがたくもない話をするもんだから、みんな知ってしまった。

あ。もう。なんで言っちゃうかな。コイツ。死ねばいいのに。

不謹慎ながらにもそう思ってしまった。そんな感じで最後ケンカ別れみたくしちゃったもんだったから、いつもよくしてくれてた元彼のお母さんとか妹とかにちゃんと挨拶できてなくて、地元も一緒だし、いつかきちんと挨拶できたら、なんて思っていたけど、まさかこんなところで会うなんて、と言った感じで。

共通の友達も多くて、みんな飲んだり、コテージ行ったり、ドライブ行ったり、そんな写真も捨てられなかったから。お母さんにあげた。自分の息子はきっと一番楽しかった学生時代の写真。私が持っているべきものではないな、って思って。本当の意味でさようなら、だね。

若いうちに亡くなるって、自殺するって、あ、もうこんなにいたたまれないんだ。月並みだけど、きっとどっかでお母さんと妹のこと見守ってんだろうな、そうだといいな、としか言えない、思えない。

帰ってきたら夫が「おかえり」と出迎えてくれて、当たり前にある帰る場所がいつかなくなっちゃうかもしれないなって思うと、なんだかやりきれなくなって、「あと60年くらいは、生きてね」って言うしかなかった。「絶対、おれ、コンビニ弁当ばっかり食べていたから早死にすると思うけど、がんばるね」って笑う夫に、これから死ぬまで手料理作ってあげようって思うよ。

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