見出し画像

“それぞれの歩んできた道”        語り場 『道』 PART-1

【それぞれの歩んできた道】

淺野
今日はMIJP(NPO メイド・イン・ジャパン・プロジェクト)のメンバーの中でいろんな(プロダクトやブランディングの)話をしたりしてると、すごく盛り上がっていくことが多くて、それをシェアする機会っていうのは、意外とないなと思い、今日ここでやってみようかなっていうことになりました。特にそういった話で盛りあがる際に主役になっていく人が小林さんと丹羽さんということが多いので、この2人を中心に話をしてもらおうと思います。

小林
イクスデザインの小林と言います。設計、インテリアデザインの仕事をしてます。
プロフィール
小林正和(こばやしまさかず)
instagram  
@iks_kobayashi
1979年生まれ
イクスデザイン 代表
学生時代からの家具好きが昴じ、家具からインテリア、建築へと興味が広がり大学卒業後、設計事務所へ入所。
岡山、東京の設計事務所を経て、2012年にイクスデザインとして学生時代を過ごした名古屋で独立。
現在は東海圏を中心に建築設計、インテリアデザインを行う。
手掛けたお店やクリニックなどを国内外の書籍やデザインサイトにて紹介される。
http://iks-d.jp/

丹羽
僕は丹羽ふとん店っていう布団屋をやっております。
僕は職人で、布団を作って販売する仕事をしてます。

プロフィール
丹羽拓也(にわたくや)
instagram 
@niwatakuya
1978年生まれ
丹羽ふとん店 5代目
寝具製作技能士一級
ふとん職人としては2011年に第26回技能グランプリにて優勝。
日々のふとん制作だけでなく、ふとんを通じた様々な活動を積極的に取り組む。
学生時代からの趣味の動画制作や写真撮影を活かし、SNSなどを利用したり、実演、ワークショップなど、ふとん職人として、インテリアやアパレルなど多岐にわたり挑戦。
あらゆる取り組みから、伝統の技法を使い「現代のふとん」の価値を見出している。
2017年 レクサスが主催となり、日本の各地で活動する、地域の特色や技術を生かしながら、自由な発想で、新しいモノづくりに取り組む若き「匠」に対し、地域から日本全国へ、そして世界へ羽ばたくサポートをするプロジェクト“LEXUS NEW TAKUMI PROJECT”に、全国から選出された51名の「匠」の一人として選ばれる。 
2019年 ロンドンの日常の暮らしに溶け込ませる尾州の毛織物を使ったプロダクトを持って、新たな挑戦としてLondon Craft Week 2019に参加。 

小林
僕は普段ここで仕事してるんですけど、淺野さんも以前この太洋ビルにいて、淺野さんの掛け合いで、太洋ビル祭りというビルの入居者の飲み会を企画してくれたりして、このビルの人達って結構仲のいい人が多いんですよね。私もそこで淺野さんと仲良くなって、MIJPに参加させてもらいました。
ただ、コロナ禍でそういう会もできなくて。最近は落ち着いてきたのものあって、ここでたまに飲んだりしてるんです。昨日もビルの何人かでここで飲んでて、みんな“スナック小林”って言ってるんですけど。その延長線上で、丹羽さんや淺野さんと、今度“スナック小林”で飲みたいよねみたいな話があって、淺野さんから、「じゃあ、MIJPで何かを一緒にやるのもありかな」みたいな、そんな話で、今日こういう会を開かせてもらいました。
そんな流れで、最初はね、どこかの旅行先を紹介するっていう話もあったんですけど、予定調和の話するよりは、ザックバランにいこうって。
僕と丹羽さんは同い年ということもあってか、よく色々な話をしてて、僕らの普段思ってることとかを話ができればなと思ってます。

丹羽さんと最初に話したのが、何年か前のMIJPの三重に支部があったころ、四日市の忘年会に参加した帰る時。僕が車で行ってたんで一緒に帰ってくる車中で。その時、facebookで繋がっていた共通の友達って、この辺のMIJPの人達が出てくるのは普通で。そうじゃなくて、僕の大学の同級生と繋がってるのが分かって。
全然モノ作り関係ない友達と。

丹羽
僕の高校の同級生ですね。

小林
僕の大学時代の普段毎日一緒にご飯食べたり、卒業旅行も一緒に行ってる友達が、実は丹羽さんの高校の同級生だったの。
だから、その友達の結婚式には一緒に参加してたっていう。
その時は全く面識もないんだけど。
そんなきっかけで色々その車の中でも話してたかな。
学生時代に撮ってたスノボの動画の話とか。
0コンマ何秒の世界で編集するっていうこだわりとかを。
布団の話とかほとんどなくて、ファッションの話とか、モノの話とかっていうのをずっとしながら、1時間ぐらいかけて帰ってきたっていう、そんな記憶が丹羽さんとの最初ですね。

丹羽
そうですね、その友達がハードコアのバンドをやってて、デスメタとかばっか聞いてたやつ。そんな子の友達なんで、あ、絶対変わった人だろうなって。

小林
最初その友達と面識なくて、他の友達と歩いてたら “ヌンチャク”っていうハードコアバンドのパーカーを着てるやつがいて。
1年生の最初だったから、まだみんな友達作る段階で。あいつ絶対面白い。ちょっと声かけようって。「ヌンチャク好きなの?」って。そっから急に仲良くなった。

結局やっぱ僕らの世代って、ファッションとか、音楽とかの影響が大きい。
丹羽さんともこの話したことあるんですけど、僕らはAirmax95全盛期で、そのくらいの世代のファッションって、古着とかデニムとか、もう絶対通ってきてて。

丹羽
そうそう、完全にその世代ですよね。

小林
僕は二十歳の時にアメリカを縦横断して、買い付けじゃないかっていうぐらいの抱えきれないぐらいの古着を買って帰ってきた。
買ってたのは普通の店じゃなくて、アメリカで偶然知り合った買い付けに来た日本人の古着屋さんに一緒に同行してったりとか。
偶然歩いてて、入った店がにアメリカナンバー2のデニムディーラーで、その人と仲良くなって、みたいな感じのことをやってたり。

アメリカ縦横断の際の写真

当時って、ファッションとかも何でもそうなんですけど、インターネットがない時代だったんですよね。その時代って、モノをどうやって調べるかったって言ったら、自分で本とか調べたりするしかなかった。それと15歳ぐらいとかって年齢的にファッションが1番入りやすい入りやすかった。で、そういう時に、やっぱり1番の参考書がお店の店員さんだったんですよね。だから、服屋に通うために服を買うみたいな。そんな高校生活してたね。デニムの赤耳だとかね、シャトル織機だとか。


丹羽
デニムのここのステッチが違うだけで、何万違うみたいな世界をずっと見てた。僕も古着が好きだったので、その話も小林さんとはたくさんしてて。
服屋に行くと、服屋の兄ちゃんが面白いカルチャーの話や、外国にあるものを教えてくれるわけじゃないですか。
それって、本当に面白くてね、それがなんか全てというか、もうほんとバイト代は全部服につぎ込むみたいな感じの学生時代だった。
でもそれが今の仕事でも結構通じてることがあって、僕は職人なんで仕事で“ディテール”をとても大事にしてるんですね。
それが当時言ってることと、今とそんなに変わらないというのは、好きなものは、根本的には変わらなくて、ずっと一緒の話をしてる。
その元々最初の入りはファッションだったり、カルチャーだったり。自転車とかもマウンテンバイク・ロードバイク・ピストが好きとか、色んな“モノ”が好きっていうところがまず根本ですよね。
今日もなんか何の話しようかって話で、でも、なんか旅の話もいいけど、でも正直“モノ”が好きだよねみたいな。
今日はそういった“モノ”をベースに話せたらなとなと思ってて。

丹羽
僕は職人で、布団を作って販売するっていう仕事をしていて、それ以上でもそれ以下でもなくて。
今作ってるのは、2016年の12月のお客さんの仕事をやっていて、予約が詰まってているから、今は予約を止めてる状況です。
経歴としては、技能グランプリという大会で優勝したことで日本一の職人として、メディアに出たりとかしてるんですけど、それがもう10年ぐらい前の話なんで、まあ別にその部分はもうどっちでもいいって言う感じかな。
“その時”は“その時”で、実際はそっから先にいろんなことをやってきてるので、優勝したことは結局スタートラインだったっていうところもあって、僕の中では“そこから何ができるか”ってことを今やってて、ファッションの方々と一緒にやってることも結構多いんですよね。
例えば今だったら岡山の牛窓っていう地域に伝統的な建物を使った“御茶屋跡”というところがあって、そこでインドの手紡ぎ、手織りの生地を使って全部手作業で“YAECA”というブランドの“白い座布団”っていうのを作っていたりしています。

御茶屋跡での実演

御茶屋跡は海が見えるところで、その座布団を使ってお茶を飲むという“行為”をデザインしていたりします。
こういうことをしていると、やっぱり見てる人は見てんだみたいなというのがあって、普通の人から見ると何の変哲もないものなんだけど、物が好きな人から見ると、「うわ、これすげえ」って感じられて、僕はこういう反響が結構好きだったりするかな。

御茶屋跡での展示

丹羽
布団職人って多分皆さん知らないと思う。何それって。

小林
普通に生活してたら、布団職人さんと会うことはないよね。

丹羽
うん、もしいたとしても、おじいさんが作務衣みたいなの着てやってるイメージが強いかもしれない。
僕は全然そんなこと無くて、そういうステレオタイプみたいな感じなのは全然面白くないって思う。
もちろん素材もこだわったり、技もこだわったりっていうのも大事なんですけど、やっぱり見た目もそうだし、SNSとかも使ったりしてるけど、基本的に“格好よくないと意味がない”と僕は思ってるんですね。
誰かが「あれ、何かダサくない」みたいな感じになるのは絶対に嫌なんで、そこは結構重要視してる部分かなっていうのはあります。

実演風景

PART-2【きっかけは1枚の布団の写真】へ続く。

PART-3 【きっかけは1脚の椅子】
PART-4 【伝えることの大切さ】

ナナメにつながるきっかけを”をビジョンに掲げ活動するMIJP(NPOメイド・イン・ジャパン・プロジェクト)にご興味を持たれた方は是非リンクよりお問い合わせください。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?