水に舞う不死鳥―艇王の二十年 植木通彦
前半が艇王植木の自伝。後半が24場についての植木の思い出話と全成績。
自伝パートは、ちょこちょこ登場人物(植木の同期とか)にインタビューした内容も書かれている。
結果として、主観と客観がいい具合にまざっていて非常に読みやすい。この形式の本はあまり読んだことがなかったけど(そもそも自伝本自体を読まないのだが)、とてもよかった。ただ、せっかくなのでインタビュー部分はもうちょっと分量が多くてもよかったのでは(巻末にまとめるとか)。
ビックリしたのは、大けがをした桐生での復帰は本人と言うよりは父親が言い出していたこと。
マンガのモンキーターン的に一貫して自分から言い出していたのだと思っていた。また、引退は平和島総理杯のフライングが原因でないことも繰り返し語られている。
福岡の同期3人の関係、それ以外にも同期の繋がりを感じられるのもよかった。実際の関係は分からないけれど、話としては美しく書かれていて読んでいて心地よい(今村暢孝のコメントは見たかった)。
後半部も面白く、植木さんの各場の見方、多摩川は静水面だけどそうじゃないとか、得意意識苦手意識も興味深い。びわこの斡旋が少なかったのも知らなかった。
多少なりとも植木時代を知っている競艇ファン(あるいはモンキーターンの榎木を知っている人)なら楽しめる本だと思う。