誰も排除しない場所をつくりたい! 大学院生・中西美裕さんがユースの居場所「ヨルベース」で働く理由 #ボランティア募集
みなさんこんにちは。今回は今年5月に投稿した「【学生ボランティア募集!】新今宮駅周辺で生きづらさを抱える若者向けの居場所づくり」を読んで応募してくれた、大学院生の中西美裕さんに「なぜこの場所で働いているのか」を聞いてみました。これを読んで、ヨルベースに少しでも興味をもつ人が広がればと思っています。
子どもが遊びをつくる遊び場「にしなりジャガピーパーク」での活動
ーーーnoteの記事を読んで連絡くださった背景はなんだったんですか?
中西さん
いま博士後期課程1年生なんですけど、私自身の研究テーマなんですが「若者の居場所づくり」に関心がありまして。
ーーー関心分野のど真ん中だったんですね。ありがたいです。
中西さん
書籍「子どもたちがつくる町――大阪・西成の子育て支援」にも登場されている子育て支援員として活動されているスッチさんという方が、西成区で土日ににしなりジャガピーパーク(釜ヶ崎支援機構も運営団体のひとつ)という「子どもが遊びをつくる遊び場」を運営されているのですが、「よかったらいっしょに活動しない?」と声をかけてくださって、今年の春からお手伝いさせてもらっています。
ジャガピーパークは対象者が小中学生が中心ですが、高校生から若者と呼ばれる世代の居場所や、いわゆる「社会への移行」に興味があったので、ヨルベースの記事を読んでスッチさんに釜ヶ崎支援機構の松本さんを紹介していただきました。
ヨルベースでの活動は会話や雑談が肝
ーーーヨルベースではどんな活動をされているんですか?
中西さん
マリオカートなどのゲームでいっしょに遊んだり、いっしょにご飯をつくって食べながら雑談をするなどして利用される方と信頼感を深めています。
公式InstagramなどSNSの運営をしているのでぜひ見てもらいたいのですが、タコパとか餃子とか、料理をつくりながら会話することを楽しんでいます。
ーーー会話が肝なんですね。
そうですね。会話は困難発見装置としての機能が大きいので、雑談を通じて信頼感が生まれると思っています。スタッフもまだ3人しかいない上、6月にはじまったばかりなので、まだ手探り状態です。
ーーーさきほどインタビュー前に来られた方はスタッフさんですか?
中西さん
スタッフではなく利用者さんで、私と同じ25歳の方です。
ーーー利用者さんはもう少し若い人が多いのかなと思っていました。
中西さん
サービスハブ西成やヨリドコハウスの利用者に積極的に声をかけているのもあり、今のところ20代前半の方が多いです。不登校の中学生や高校生も何度か来られています。ティーン世代と20代前半では話す内容がぜんぜん違うので、年齢差のある人同士のコミュニケーションは手探り状態ですね。
印象的だったのは、不登校の高校生が来ていた際、彼が夜7時ぐらいに帰ったところ、ガラッと話題の内容が変わりました。世代が違う人とも会話できるツールがゲームや食事なのかもしれないし、そのあたりのスタッフ側のファシリテートスキルは磨いていかないといけないと思っています。
相談しやすい環境をつくりたい
ーーー利用者さんからの相談は、キッチンの裏のマンションの集会所などを使われるのでしょうか?
中西さん
まだ相談というレベルの相談はないのですが、自分自身の経験談でお話ししますと、意外と1対1の個室じゃなくて、なんとなくがやがやと他の人たちが話している横で、隣同士のふたりが「実はさあ」と雑談から相談にシフトしていくことがあります。
そういう意味ではキッチンカウンターの中をもっと活かしたいですね。食器などを洗いながら話していると、わりとしゃべりやすい雰囲気になるんですよね。
ーーーそれはいいアイデアですね。話す内容で難しく感じることなどはありますか?
中西さん
中高生の悩みに応えるのはわりと得意なほうですが、私自身がまだ就活も就職もしたことがないので、仕事場での悩みに応えることができないので、そのあたりに応えられるスタッフが増えてほしいです。ちょうどインタビュー前のミーティングでスタッフの松本さんにも「年齢層が上の方を入れた方がよい」と話していたところです。
誰も排除しない居場所をつくりたい
ーーー最初の話題に戻りますが、そもそもなぜ教育分野に進まれたのでしょうか?
中西さん
私自身、これまでずっとボーイスカウト(現在ボーイスカウトは男女ともに入会できる)をしてきたのですが、その活動の中で発達障害であると診断されたふたりに出会いました。ひとりは完全に引きこもってしまって、もうひとりはすごくハッピーに暮らしていて、なぜ両者がこんなに違う状況になるのかと関心をもったのが元々のきっかけです。その後、勉強していくうちに気がつけば居場所に興味をもつようになりました。
誰かのためだけの場所は居心地がよくなっていくと、排除と分断の方向に進む傾向があります。そうではなくて、いろんな属性の人たちがいるけれど、いろんな調整役の人もいる中で、「いろんな属性の人がいるから、この人に相談できた」という状況の方がいい気がしていて。だからヨルベースのような誰が来てもいい、制限を設けるわけではないような場所が一番望ましいと思っています。
ーーーヨルベースを運営する上で求められるスキルはどんなことだと思いますか?
利用者の方に経験のばらつきがあるのは当然のことです。もし何らかの事情である年齢で必要とされる経験をつみきれなかった場合は、どこかでその経験を埋めるお手伝いをすることが必要です。コミュニケーションの仕方については特にそう感じることが多いですね。
例えば、たわいもない雑談で盛り上がっている時でも、スタッフ側ではちょっとスキルがいるなと思う時があります。
ずっと誰かのターンで話が回らないとかだと、スタッフがこの場のファシリテートをうまくしなければいけません。逆に言うと日常生活でそんなファシリテート役を務めてくれる人はあまりいません。そのためコミュニケーションの仕方が少し周囲と異なるタイプの人はハブられてしまう傾向があります。その人も居心地よく、その人以外の人も心地よくするための調整役を担うスタッフがいることが誰も排除しないためには必要で、調整役のいる場所が、よい居場所だと思っています。
だから実年齢より少し幼い気もするような話題だったとしても抵抗なくつき合えるスタッフが必要だし、その上で間違った方向に走っていったら軌道修正する力も必要なので、まあまあ本当はスキルが求められています。
だから私が読んだ学生ボランティア募集の記事よりかは年齢層のバリエーションがあった方が個人的にはいい気がしますね。
ーーー
というわけで「学生ボランティア募集!」ではなく、「ボランティアスタッフ募集!」という文言にリニューアルしました。まだまだ募集していますのでぜひぜひご参加ください。以下のようなお仕事をお手伝いいただける方を探しています。
活動日程
月曜日木曜日の16時~21時
時間途中からの参加ができます。(活動期間:応相談)
注目ポイント
地域の課題や地域で暮らすユースが直面する問題を知ることができます
SNSやデザインなど、あなたの得意分野が行かせます
さまざまなイベント運営を経験できます
募集対象
どなたでも
料理をつくるのが好きな方
居場所づくりに興味がある方
就労支援、福祉支援に興味のある方
募集詳細
ヨル・ベースでは、居場所づくり事業のメンバーを募集しています。
貧困・孤独をはじめさまざまな困難を負ったユースと共に、いろいろな活動をします。寄付いただいた食材を活用して、自炊のおもしろさ、いっしょに晩御飯を食べるたのしさを共有します。近くの公園でサッカーやバスケットボールをしたり、テレビゲームで遊んだりします。
<活動の詳細はこちらの記事を参照ください>
以下のようなお仕事をお手伝いいただける方を探しています。
食材や生活用品の買い出しや提供
食事の準備や片付け
広報(InstagramなどSNSでの情報発信やチラシ作成など)
必要に応じてパソコンの使い方などライフハックのサポート
一つでも興味に当てはまる方はぜひこちらの問い合わせフォームからご応募ください。フォームの問い合わせ内容欄に『ヨル・ベース ボランティア希望』、連絡先電話番号、電話連絡ご希望の時間帯の記入をお願いいたします。
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