コロナが変えた生活相談の現場【NPOほうぼく活動報告】
NPOほうぼくは、これまで行政とも連携しながら生活困窮者支援を行ってきました。そのひとつとして、福岡県中間市では市が設置した生活困窮者相談窓口で、NPOほうぼくの職員が生活相談を受けています。今回の活動報告は中間市の生活相談の現場からです。コロナ禍によって相談・支援はどのように変わったのか。ぜひ、現場の声をきいてください。
コロナ後、相談件数が4倍に
中間市の相談窓口では、これまで仕事や住居、福祉、子育てなどさまざまな生活相談を受けてきました。新型コロナウイルスの感染が拡大する以前、新規の生活相談件数は毎月10件程度でした。国の想定からするとこれでも多いのですが、しかし、4月の相談件数は40件にものぼり、普段の約4倍もの人が相談に訪れました。コロナの影響で、生活苦に直面する人が明らかに増えていると感じます。
これまで職員は時間をかけて相談者の話を聞き、各種支援の申請手続きを紹介したり、その後のフォローアップを行ってきました。相談件数が増えても、相談者一人ひとりにしっかりと向き合う必要があることは変わりません。しかし現在、職員の負担が増えていることもまた事実で、現在、相談窓口はパンク寸前の状況です。
生活相談者のいま――コロナで変わる日常
相談者はそれぞれ多様な困難を抱えています。イベント企画で生計を立てていた相談者は、コロナによってイベントが軒並み中止となり、収入が絶たれてしまいました。社会福祉協議会の生活費の貸付などを利用し、3カ月程度は生活ができる状態にはなりそうですが、その後の将来像は現時点では描けません。コロナによる影響は長期化する見通しです。3ヶ月経った後、どのように生活を成り立たせていくのか、中長期的な支援プランを考えなければなりません。
また、子育てをする家庭の生活状況も深刻です。学校が長期間休校になり、家に一人で子どもを置いてはおけず、会社を休まなければならない相談者もいます。収入が減る一方、これまで給食でカバーされてきた昼食分の食費の増加は家計に打撃となります。また、ずっと家に籠ることは親子双方に大きなストレスとなる場合もあります。
さらに、障がいのある方がいる家庭特有の困難もあります。普段であれば支援施設への短期入所など、援助・介護負担を家族のみに背負わせない仕組みがあります。しかし、コロナの影響で施設が閉鎖してしまうと、援助・介護負担がすべて家族にのしかかってしまいます。親子とも障がいのある家庭の相談者からは、一緒にいる時間が増えたことは嬉しい反面、大変な部分もあるという声も寄せられています。
困っている人をひとりにしないために
「相談窓口の仕事」というと相談者の話を聞いて、制度を紹介する「だけ」と思われがちです。しかし、それだけでは十分ではありません。制度紹介で終わるのではなく、相談者がきちんと制度を利用し、またそれが再出発の起点とならなければなりません。そのためには、相談者にとって何が障害となっているのかを一緒に考えて、中長期的なプランをたてながら伴走することが重要になります。
中間市では今年度から市の予算削減により、職員の数を減らさざるをえない状況にあったところに、コロナがやってきました。支援を必要とする人たちが増え続ける一方、支援する側のキャパシティはすでに限界にきています。現場でも長期戦になると日々感じています。今回のクラウドファンディングは生活に困窮する人へ支援を届けると同時に、「支援する人」を支えるプロジェクトでもあります。継続的な活動を行っていくためにも、全国の皆様からのご支援をよろしくお願いいたします。
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