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「特別寄稿:わたしがいる、あなたがいる、なんとかなる⑧」by押見研人(バー店主)

「特別寄稿:わたしがいる、あなたがいる、なんとかなる⑧」

クラファン終了まであと32時間。抱樸とさまざまな形で関わる皆様に、抱樸にまつわるテーマから、自由な形式でご寄稿いただく企画。第⑧回は東京でバーの店主をしている押見研人さんです。

ぜひお読みください!


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10代の頃から、『勝ち組・負け組』という言葉が世の中にありました。
自分の信念を余程強く持っている人以外の、全ての人の心をざわざわとさせる嫌な言葉です。

幸せになれるかどうか。ちゃんと生きていけるかどうか。全部自己責任。誰も助けてくれない。
そんな緊張感と、覚悟して戦わざるを得ない空気が社会全体に漂っていたのを、よく覚えています。

けれど、そうじゃない社会を作りたいと40年近くにもわたって活動している人たちがいると知ったのは去年のことでした。
『出会った責任がある』との言葉のもとに、一人一人と関わり続け、寄り添い、途方もない未来へと向かって、時に絶望しながらも、諦めずに一歩一歩と進み続けていくその人たち。

『助けて』『つらい』と正直に言える、頼れる世界。私だって、そんな社会が欲しかった。それすら、忘れていた。
戦って、勝ち取るだけが生きていく術だと思っていたから。
でも、もう、これから先、そんな社会、いやだ。

『あなたがいる わたしがいる なんとかなる』

私が生きたかった世界がそこに生まれようとしている。希望のまちは、私の希望です。

私も東京の片隅で、『出会った責任』を思いながら、周りの人たちに寄り添い続けます。

遠い北九州の地に灯りかけた、温かな光を思いながら。

押見研人(バー店主)


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