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「特別寄稿:わたしがいる、あなたがいる、なんとかなる⑨」『しょうがない』 by 永井玲衣

「特別寄稿:わたしがいる、あなたがいる、なんとかなる⑨」


クラファン終了まであと25時間!。抱樸とさまざまな形で関わる皆様に、抱樸にまつわるテーマから、自由な形式でご寄稿いただく企画。第⑨回は哲学研究者の永井玲衣さん.@nagainagai です!!リキマルさんの連載と合わせてお読みください〜!

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「しょうがない」って何だろう。あなたはつぶやいたことがあるだろうか。だってしょうがないもんね。これはまあしょうがないよ。しょうがない。しょうがない。しょうがない。

「しょうがない」について哲学対話をしたことがある。しょうがないと言ってしまうのはしょうがない、というような話がいくつか出た。でも「あきらめようよ」という呼びかけとしても響くんじゃないの、という話も出た。そういうもんだよ。しょうがないよ。あきらめようよ。

「希望」はバカにされている。ちなみに「対話」もバカにされている。たしかに、希望も対話もうさんくさい。夢見がちとも思われている。それよりも「しょうがない、こういうもんだ」と一歩引いて論じて見せる方が、賢そうだし、冷静っぽいし、なんかかっこいい(よかったね。おめでとう!)。

希望を語るには勇気がいる。希望のまちはあきらめていない。勇気をふりしぼって、ここは希望のまちだと叫んでいる。でも、そこにあまり勇ましさはない。元気いっぱいでもない。時にかすれた声で、たまに照れ笑いしながら、やっぱり頭をかかえ、うろうろ立ち尽くして、それでも「希望」と言う。

耳をすます。「しょうがない、希望を持つか」と、希望のまちは言っているような気がする。抱樸はもうずっと前に、あきらめることをあきらめてしまったのだと思う。

わたしたちは弱くてへなちょこだ。だからこそ「しょうがない」とつぶやいてしまう日もある。でも、そのまま絶望しなくてもいい。しょうがないからこそ、希望を持つことができる。そんなの難しいとあなたは言うかもしれない。それなら、難しいことをしよう。

クラファンは達成した。だが、まだ支援は必要だ。できれば抱樸のマンスリーサポーターにもなってほしいと思う。世界で起きている暴虐、バカバカしい企み、そうしたものが積み重なって資材が高騰している。そして、希望を覆い隠す。ひとつひとつはつながっている。残虐さと愚かさは、希望のまちをあらゆる意味で遠のかせる。

希望のことを語ろう。希望を探そう。希望をつくろう。そして希望を語れなくさせるものを、注意深く拒もう。希望の話を一緒にはじめよう。

永井玲衣 / 哲学

写真:@yagisaki_

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