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2022年度地域生活サポ-トホ-ム統計



「地域生活サポートホーム」とは

独立型社会福祉士事務所NPO法人ほっとポットの運営する「地域生活サポ-トホ-ム事業」(以下、サポ-トホ-ム)では、住居喪失状態にある方へ、一時的に生活することのできる居所と、社会福祉士等の福祉専門職による調整支援の提供を行っている。施設はすべて、さいたま市被保護者等住居・生活サ-ビス提供事業の業務の適正化等に関する条例に基づく「被保護者等住居・生活サ-ビス提供事業」として運営している。

1.施設数

2022年4月1日より、サテライト型住居が施行されたことに伴い、改めて届出を行うため居室数を調整した結果、昨年度に比べ9居室減少した。


2.利用者数

2018年以降、利用者数はほぼ横ばいである一方、居室数は年々減少にあるため、入居者の転居率が上昇していることが分かる。


3.入居期間

2022年度のサポートホーム利用者総数102名の平均入所期間は20.26ヶ月(約1年8カ月)であった。1年未満に退去が実現した利用者は約59%と半数を占めている一方で、入居期間が3年以上の利用者や、10年を超える利用者も少なくない。


4.退去者割合

アパート転居30名(56%)、別の社会福祉施設入所8名(15%)、就労先の寮1名(2%)、連絡のないまま失踪8名(15%)、入院3名(6%)、逮捕2名(4%)、死亡1名(2%)。

退去者数の半数以上がアパートに転居しているが、連絡のないまま失踪や逮捕されてしまう方が一定数おり、サポートホーム事業における施設の環境や支援の質の改善の必要性が示唆されている。


5.退去者数

2020年度から転居者数が著しく増加している。これは、社会福祉法の規定に基づく「無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準」が施行されたことにより、無料低額宿泊事業者が入居者の契約期間満了前に「本人の居宅移行が可能かどうか」について本人、関係機関と協議する機会を「義務」として設けたことが要因であると考える。
結果として、福祉事務所側の「省令施行に基づき是正された運用・意識」が大きく変化し、サポートホームが本来目指しているアパートへの転居支援に関する調整が円滑になり、転居者数の増加につながったと考える。


6.さいたま市内の居室数の比較

さいたま市内には公開されているだけでも57か所(サテライト含む)、812居室(100%)もの無料低額宿泊所がある。内ほっとポットの運営するサポートホームは13か所(サテライト含む)、52居室(7%)となっている。
※第2種社会福祉事業(無料低額宿泊所)一覧より


7.さいたま市内の転居者数比較

さいたま市保健福祉局福祉部生活福祉課より情報提供を受けた2022年4月から2023年3月末における、被保護者等住居・生活サ-ビス提供事業(無料低額宿泊所)からのアパートへの転居者数を示した円グラフである。
さいたま市内では119件(100%)の転居が実現したが、内30件(25%)がサポートホームからの転居者である。
さいたま市内で7%の居室であるほっとポットが25%の転居比率を出していることから、他の事業所よりアパートへの転居者数が多いことが分かる。


8.相談経路

本人46名(45%)、福祉事務所19名(18%)、病院(相談員)12名(12%)、更生保護関係6名(6%)、住宅ソーシャルワーカー4名(4%)、親族・知人3名(3%)、保証会社3名(3%)、寮付きの会社3名(3%)、その他6名(6%)

本人からの相談の場合、「どこに相談してよいかわからず、ネットで調べてほっとポットを知った」という方や、「福祉事務所に相談したら、無料低額宿泊所の一覧を渡されて電話した」という声が多い。


9.入居前の生活状況

アパート16名(15%)、会社の寮・社宅11名(11%)、病院11名(11%)、別の社会福祉施設16名(16%)、同居(知人・家族)13名(13%)、留置施設・刑事施設・更生保護施設等9名(9%)、路上等26名(25%)

入居前の生活状況は多岐にわたり、最も多いのが公園やネットカフェなどを生活拠点とする路上等が最も多い。また近年では医療機関からの退院先としての依頼が増加傾向にある。


10.入居者年齢数

10代0名(0%)、20代7名(7%)、30代7名(7%)、40代16名(16%)、50代27名(26%)、60代25名(24%)、70代16名(16%)、80代4名(4%)

平均年齢は56.7歳。利用者年齢層は50代、60代が最も多いが、20代や80代までの入居者もいることから、貧困が限られた年齢層に起きるものではなく、全世代に起きていると捉えることができる。


11.収入状況

生活保護のみ74名(72%)、就労収入と生活保護14名(14%)、年金と生活保護9名(9%)、就労収入のみ3名(3%)、年金のみ2名(2%)

95%が生活保護を利用している。その中には、年金だけでは医療費や介護サービスの費用を賄えない高齢世帯の方や、就労収入だけでは最低限度の生活に満たないという、稼働年齢層の生活保護受給世帯一定数存在している。


12.健康状況

良好42名(41%)、未治療・治療中断4名(4%)、定期通院中56名(55%)

半数以上の方が疾患により定期通院を必要としている状態にある。病識がない方や、生活保護へのスティグマにより受診を望まない方もおり、職員から受診への促しを行っている。


13.障害者手帳・自立支援医療取得

自立支援医療15名(15%)、精神障害者保健福祉手帳7名(7%)、療育手帳3名(3%)、手帳不所持83名(85%)

手帳不所持の中には、過去に手帳取得が可能と医師が判断したが自覚がない方や、受容が出来ずに取得に至らない方もいる。また、生きづらさを抱えながらも、受診に至らない方や、診断基準を満たしていないため、正式な診断が出ない方もいる。


14.手帳取得時期

入居後に手帳取得6名(60%)、入居以前に手帳取得3名(40%)

半数以上の方がサポートホーム入居後に障害者手帳を取得されている。本人の自覚していない障害特性が住居喪失につながる要因として大きく、障害福祉サービス等の利用に繋がったことで生活が安定する方も多い。

まとめ

地域生活サポートホームは、住居喪失状態にある方へ、一時的に生活することのできる居所と社会福祉士等の福祉専門職による調整支援の提供を行っている。この施設の最も大きな役割は、最終的にアパート等の安定とした住まいに転居することにある。しかしながら、近年は入居者の傾向を見ると、物価・水道光熱費の高騰、高齢化による孤立・孤独の不安から、単身でのアパート生活への躊躇いが生じ、サポートホームを「終の棲家」として入居継続を求める声も少なくない。アパートや社会福祉施設等といった目に見えやすい「安心・安全」をコーディネートする支援だけでなく、福祉の専門職として、利用者の趣味、生きがいなど心の拠り所となる物や関係性を一緒に見つける事が出来る関わりを意識した支援を展開していきたい。

以上

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