歯磨きは当たり前ではない
こんにちは、NPO法人HEROのツカジです。
今回は、農村部のカンボジアの子どもたちの歯磨き習慣事情と、それに対して取り組んでいる活動についてお話していきたいと思います。
「お母さんと一緒」で「歯磨き上手にできるかな~♪」を当たり前に見て、両親や幼稚園の先生から、当たり前のように歯磨きの習慣を教えてもらい、歯磨きをすることが当たり前だった私が、カンボジアの子どもたちを見て初めて衝撃を受けたのは、虫歯の子どもの多さと、歯の状態の悪さでした。
健康診断で問題としてダントツ1位が、虫歯と虫歯からの痛み。
幼稚園児から小学校の上級生(15~16歳)を対象に健康診断を行っているのですが、乳歯や永久歯に関係なく、虫歯が多いのが現状でした。
毎回、子どもたちに歯磨きに対する質問をいくつかすると
①歯磨きは平均、1~2回/日
全く今まで磨いた事がない子もいたり、前は磨いていたけど、めんどくさくなったので歯を磨くのを止めた子もいたり、そもそも歯ブラシを持っていないという回答も珍しくないという。
②歯磨きをするタイミングは、起床後と夕食後
1回/日の子どもは、起床後のみの回答が多数
1日3回食後に歯磨きをするは、決してカンボジアでは「当たり前」ではなかったんです。
そんな状況だから、虫歯の子どもが多かったり、口を開けると歯が真っ黒だったりする子どもたちも多く、口の中の清潔が十分に保てない事によって、呼吸器感染症の症状のある子どもたちが多いのが納得という感じでした。
ある時、虫歯が多い子どもの診察をしていて医師が「虫歯が沢山あるから歯磨きしっかりしないと、もっとひどくなってしまうよ」と言った時、その子が言っていたのは「もし歯が悪くなったら抜いてもらうから大丈夫」だと。
その子の言葉を聞いたとき、歯磨きに対する習慣を身に付けると同時に、歯を磨く必要性もしっかり理解してもらうような指導を行っていく必要性を強く感じました。
乳歯ならともかく、永久歯が虫歯になって、悪くなったら抜いてもらうをしていたら、もう虫歯云々の話では収まらないレベルになってしまうと。。。
そこから歯ブラシとコップの支給と、歯磨き教室の開催を定期的にすすめていきました。
歯磨き教室の開催は1クラス単位で行い、30~40人を対象に行い、指導をするのに目が行き届く人数を考慮しています。
また定期的にというのが必須で、時間が空いてしまうと、振り出しに戻ってしまう子どもたちもいて、習慣化にするという事の根気強さを活動の中ですごく感じさせられました。
また歯磨き教室の際に、子どもたちに小さな鏡を渡して、自分の口の中を実際に見てもらったり、鏡を見ながら磨いてもらうという事が有効だということもわかってきました。やっぱり視覚から訴えるのは効果的ですね。
歯磨き教室の要点の軸はブレないとしても、内容に変化をもたせてみたり、学年に合わせて集中力のもつ時間内で、いかに要点をおさえて教えられるかと、正解が変動する活動で課題もゼロではありませんが、定期的に行っていた学校で、いつもの質問の回答のレベルアップや、子どもたちが上手に歯を磨けている姿を目にすると「継続は力なり」と本当に思うのです。
あとは、学校の先生や、家庭にも継続的に協力を求めて、子どもたちを取り囲む環境からアプローチしていく事を、今後の課題にしていきたいと思っています。
NPO法人HERO
ツカジ
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