「career library」活動レポート
正解は、自分でつくる。
VUCAの時代と言われて
現代は、不確実性が高く将来の予測が困難な状況(=VUCAの時代)と言われ始めて約10年経ちました。
そんな中で若者たちは自分の正解をつくらなければならない。
その正解は、誰かから教わって成り立つほど単純ではなく、「はい!つくってみて!」と言ってすぐ生まれるほど分かりやすいものでもなく、移ろいやすく、決めにくいものだと思います。
教育の世界でも個別最適化が一つのテーゼとなり、個人の時代に突入する中で、「個を問われる」高校生たち。一方で、青年期のアイデンティティは「自分探し」の段階であり、問われることに対して明確に答えられることの方が少ないのではないでしょうか。
とにかくやってみるが難しい
「自分は何者か」という問いに対する答えを先延ばしするモラトリアムは、自分の可能性を広げる大事な期間でもあります。
この青年期において「とにかくやってみる」ことはとても重要で、その活動・経験がその後の「自分は何者か」への回答材料となります。
しかし、この「とにかくやってみる」が難しい。
「とにかくやってみる」につなげるべく、一歩踏み出す方向性の不明瞭の解決に向けて、「今の自分の問い」をもち、自分のアンテナを認識・生み出すことをポイントに企画を考えました。
(現在、様々な学校で取り組まれている探究学習も同様のねらいだと理解しています。)
「今の自分の問い」をどのように見つけるのか。
その手段として、他者との相対性を以て自己を探索・探究する「career library」を企画し、矢掛高校普通科・総合コースの1年生を対象に実施しました。
career libraryの流れ
企画概要
日 時:2022年12月20日(火)9:00~11:00
会 場:矢掛高校視聴覚室
参加者:1年生40人
お呼びした社会人の方は6名。企業にお勤めの方はもちろん、専門職の方やフリーランスの方、起業家の方にもご参加いただきました。
各ブースには、社会人の方1名と、サポートで協力してくれる高校3年生(1名)で進行し、参加者の高校1年生は5~7人が座ります。
社会人を知り、自分を知る
社会人の「解」から自分の「解」へ。
自分を探索・探究するために、自分と照らし合わせる材料として、ブースに座る社会人の生き方や仕事を紐解いていきます。
簡単なアイスブレイクが終わって、さっそく本題へ。
まずは社会人からの話題提供。自分のこれまでの歩みや仕事のことについて10分間でプレゼンしていただきます。その後、10~15分使って、高校生からの問いかけ(質問)を出発点に社会人の話を深めていきます。
このうち、Q2は高校生も事前のワークとして、自分の学びの履歴を作ってみました。「自分はこう書いたけど、この社会人はこんな感じなのか」という視点で話を聞いてもらいたいなと。
そこにどんな自分がいたか振り返る
社会人の話を聞きながらキーワードをワークシートにメモしていくわけですが、その時、自分の感情として当てはまる枠にキーワードを書いていきます。今回は「納得した・共感した」「へぇと思った」「新たな発見・気づきになった」「疑問に思った・分からなかった」の4つの枠を設けました。
前半・後半で話を聞き終えてからは個人ワーク。ワークシートを見直して、それぞれのキーワードごとに
という具合で、ここまでの時間の振り返り、自分を整理していきます。
キーワードから自己を整理してみる
整理の後はアウトプット。ワークシートの2つの問いに対して、キーワードを記入します。まず、少し長い時間軸での「自分のこれから」を想像してみます。
「あなたはどう働いて、どう生きたい?」という問いに対して、自分が「働く」「生きる」うえでのキーワードになりそうな要素を何でもよい(価値観・言葉・事柄・分野など)ので考えてみます。
そして、「今の自分の問い」をつくるべく、「あなたがこれから探究していきたい/考えてみたい問いは?」に対して、自分の回答を記入します。これが、今からの小さな目標地点であり、頭の片隅で考えておきたいこと(=アンテナ)づくりです。
同級生を知り、自分を知る
記入内容を隣同士など2~3人でお互いに共有して、同級生から気づきをもらったり、さらに自己理解を深めたりすることにつながればよいなと。
好きに時間を使ってみる
最後に、フリータイムをとって自由に社会人と交流できる時間。
先ほどの個人ワークは社会人も一緒に行っているので、社会人の回答もどんなことを書いたのか気になる!という人、個人的にもっと聞きたい・話したいことがあるという人は、社会人のもとに話しかけに行って交流します。
・友達と一緒に社会人に話しかけに行っている高校生
・その周りで話を聞いている高校生
・友人同士で話をしている高校生
など使い方は様々でした。スタッフは、どこかのブースに移動したそうにしている高校生の背中を押したり、友人同士で話をしている高校生に混じって、話を聞いたりしました。
高校生にはどんな学びがあったのか
印象に残ったことや新たな発見・気づき
どんなキーワードが高校生の中にピン止めされたのか、その一部をご紹介します。
共有された社会人の経験から掬い取った価値観もあれば、社会人が放った言葉がそのまま印象に残っているものもありました。
これから探究していきたい/考えてみたい問い
社会人との交流を経て、高校生たちはこれからどんなことを考えていきたいと思ったのでしょうか。
具体的なもの・漠然としたものの両方ともありましたが、まずは自分の中に問い(アンテナ)をつくることが大切。何かしら書けている高校生は95%いました。
career libraryとはどんな時間だったのか
最後に、高校生の感想をご紹介します。
そもそも機会が貴重だったということ。そして、「仕事の楽しさを見つけて全力で取り組んでいる」という生き方を受け取った高校生もいれば、今の自分の「外」にある情報に触れて、自分の将来の可能性を広げた高校生もいました。
さいごに
ここで生まれた(意識し始めた)問いが、これからの活動に対して上手く駆動していけると良いと思っています。
自分の問いが起点となり、(これをやってみたいと)行動につながることもあるでしょうし、活動の中で今やっていることを自分の問いとリンクさせながら脳内整理することもあると思います。
それが学校の探究学習でも、学校外のアクションでもよいなと思います。だっぴでは「青年の出張」と称して、だっぴが運営するWEBメディア「生き方百科」の記事作成につながるオンラインのインタビュー企画を参加した高校生たちに案内しました。
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