未来の歩き方教室コラム企画【序】
12月14日に行われる「未来の歩き方教室」での高校生×慎泰俊さんのパネルディスカッションで扱う”問い”を創造するべく、高校生6名が3つのテーマでとことん対話しました。当日モデレーターとして登壇予定のNPOだっぴ・森分志学も対話に参加!
高校生6名による本音の対話、その内容を序・破・急の3編でnoteにまとめました!
6名の高校生たち
個人の未来と、社会の未来について
A:今の高校生の視点で、自分自身や社会について、未来が明るいのか暗いのかを聞きたいです。自分の経験でも抽象的な話でも構いません。理由も含めて話してください。
B:明るいと思います。自分のことを考えると、受験がきついとは思いますが、それを乗り越えた先の大学生活には期待が持てるので。社会については、戦争やAIの影響で悪い側面もありますが、これからを生きていく私たちが明るく生きようとすれば、どうにかなるんじゃないかと思います。
C:僕は未来が暗いと思います。ただ、閉ざされているという意味ではなく、不明瞭で見えないという意味です。AIの登場でどの職業が残り、どの職業が生まれるか予測が難しいですし、未来を具体的に想像するのが難しいからです。希望がないわけではないですが、不安定で綱渡りのような未来だと感じます。
D:私も暗いと思いますね。個人的な理由ですが、1年前から志望校や夢を決めて進んでいました。ただ、最近になって教育費の高さなどの現実的な壁を感じて、視野が狭くなり、真っ暗な気分になることもありました。もっと広い視野で、明るい気持ちを持つことも大事だと思います。
A:僕も未来は暗いと思います。Bさんが大学生活の楽しさについて話していましたが、その前の受験が辛すぎるという実感があります。自分は2年生になってもまだ進路が決まっておらず、そういう意味で未来が暗いと感じます。一方で、社会については明るいと思います。AIが進化し、どんな問題が起こっても誰かが解決してくれるような期待感があります。
E:個人的には、受験期が暗いと感じます。ただ、社会的には明るいと思います。AIの進化や環境問題の解決策が出てきていて、人間の可能性を感じます。
F:昔は未来に不安を感じていましたが、いろんな大人と話す中で、「どんな状況でも強く生き抜く人がいる」という話を聞いて、今は「どうとでもなる」と思えるようになりました。自分の未来は明るいです。社会全体で見ると、少子高齢化や地球温暖化などの問題があり暗い部分もありますが、これから解決していきたいと思っています。
外国人との共生社会、どう捉える?
森分:社会の未来を明るいと思う人・暗いと思う人の両方がいたけど、それぞれ何年後の未来を想像したんだろう?
C:僕は20代くらいの未来が暗いと感じる。10年後の世界を想像しても、どんな職業が残り、どんな産業が生き残るのかわからない。自分が職に就く頃には不透明な要素が多くて、それが暗い印象を与えるんだと思う。
森分:不透明性については、明るい未来を想像した人たちも同意する?
D:確かに不透明性は感じる。働き方も変わっていくと思うし、今の親世代のやり方をそのまま真似するだけではダメだろうなと考える。でも、周りの先輩たちを見ていると意外と楽しそうに働いているから、適応していけるんじゃないかなとも思う。
E:私は少子高齢化が社会に与える影響が気になる。負担がどんどん大きくなっていくと思うし、それが暗い未来の要因だと感じる。
D:一方で、例えば日本がもっとグローバルに人材を受け入れるような政策を取れば、少しは未来が明るくなるのかなと考えることもある。ただ、それが実現するためには日本人の外国人に対する態度が改善される必要があるね。
B:そうだね。外国人技能実習生の問題もあるけど、お互いに尊重し合う環境ができれば、外国人が増えても社会が荒れることはないんじゃないかなと思う。
F:日本の文化的な慣習が外国人によって崩れるんじゃないかと心配する声もあるけど、例えば神社のお賽銭箱の話とか、日本人にとっては盗むと罰が当たるという信仰があるけど、そういう文化的背景がない外国人には通じないこともある。そういった感覚の違いをどうやって埋めていくかが課題だよね。
A:確かに、外国人との歩み寄りが必要だと思うけど、ニュースで外国人犯罪が報じられると、自分の中にも偏見が残っていると感じることがある。そういう意識を変えていくことも大事だね。
森分:ちょっと怖い気持ちもある?
F:どこかの国で移民が急増して治安が悪化したという話をSNSで見たことがあって、それを思うと少し怖いなと思います。確かな情報かは分からないけど。
社会保障の危機、何歳まで働くか?
森分:少子化に関する不安は、自分たちが現役世代になったとき、少ない現役世代で高齢者の社会保障を支えなきゃいけない負担が大きいって話?
F:そうです。高齢者だけじゃなく、全体的に負担が大きくなるだろうなって思います。
B:働く人が減ったら、その少ない人たちが高齢者を支えるわけだから、必要な資金はどんどん増えるけど払える人は少なくなるよね。どうにかお金を集める方法を考えないと無理だよね。
D:高齢者が働く場をもっと増やしていけばいいのかもね。税金や年金の負担も軽減できるかもしれないし。
F:でも、それでも補えるかどうかは分からないね。
D:働ける年齢制限をなくして、元気なうちはみんな働きましょうっていう風にすればいいのかもしれない。でもそれも無理になったら…難しいよね。
森分:みんな、何歳くらいまで働きたいとかある?
D:あんまり働きたくないな。早く隠居したいし、お金持ちになりたい(笑)
F:でも働いてないと暇すぎて死にそうかも。60歳で仕事を辞めて100年時代って言われても、あと40年何して過ごせばいいの?ってなるよね。
C:僕は死ぬまで働きたいですね。働くのが一番楽しい気がするから。それに、仕事を辞めた後に何をしたらいいか分からなくなりそうだし、年を取ると今楽しいと思っていることができなくなる可能性が高いので、それなら働きながら楽しむ方がいいかなって思います。
森分:さっきCさんは「20代で仕事に対する不安がある」とも言ってたよね?
C:そうですね。今の気持ちではやりたい職業があるんですけど、それが20年後に存在しているかどうか分からないから不安なんです。
個人の力で生き抜く時代、どう対峙するか?
森分:そういうことか。最近よく言われる「自分の道を自分で作る時代になった」ということについてはどう思う?
B:「自分で道を作る」って言われても、具体的に何をすればいいか分からないし、不安が大きいですね。
E:自分で起業しているイメージが湧かないし、どうやって生き残るんだろうって考えると難しいなと思います。
B:でも、グループでならいけるかも。1人だと無理だけど、みんなで協力すればなんとかなる気がします。
D:私は既存の職業にあまり興味が湧かないし、普通のサラリーマンになるのもピンとこないですね。だから、自分で新しい職業を作りたいと思っています。その意味ではあまり不安はないかも。
A:僕は基本的に王道を行きたいタイプですね。これまで先生の言う通りにしてきたことが多いので、自分で考えるよりも誰かにリードしてもらいたいって感じです。
E:同い年で起業してる人もいるんですけど、そういうのを見ると本当に焦ります。ただ、アナウンサーになりたいと思っていて、それが今後も変わらないなら、その道を目指したいと思っています。
技術革新がもたらす未来、希望か絶望か?
森分:アナウンサーの仕事は将来もありそうかしら?
B:あるんじゃないかな。ただ、AIが代わりにやるかも。AI音声がめっちゃ流暢になったら、人間のアナウンサーがどうなるか分からない。
F:技術が進歩したら、アナウンサーってなくなっちゃうのかな?
B:でも、人間にしかできない仕事って出てくるんじゃないかな。
F:全部機械にはならないと思う。だって、もしそうなったらテレビとかメディア全体もいらなくなるんじゃない?全部機械が情報を流せばいいって話になっちゃうし。
B:政策も全部機械がやるってこと?
F:それはどうかな。でも、アナウンサーの仕事自体はしばらく残りそうな気がする。
森分:人の心の判断をAIが担うとしたらどうなるんだろう。アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」みたいに、AIがすべてを判断する未来を想像すると、、、
D:それは怖すぎるね。
森分:Cさんは自分で何か事業をしているんだよね?
C:はい、ウェブサイトを作ったりしています。
B:すごい!独学でプログラミングしてるんですか?
C:そうです。でも、それもAIがどんどんできるようになってきてる。この前読んだ本には、10年後に職業として残っているのは1次産業などの力仕事が中心になるんじゃないかと書いてました。
ロボット技術はお金がかかるので、コスト面でまだ人を雇う方が安い。反対に、AIはソフトウェアだから低コストで進化していくという内容でした。
B:電気代も安いしね。
F:電気代なんて、給料に比べたら大したことないんじゃない?
森分:ただ、ソフトウェアが増えるほど必要な電力も増えるから、電力供給の問題が出てくるよね。電力確保のために原発をどうするかという議論にもつながっていくわけです。
それでも、未来の兆しを見出すとしたら?
森分:これまでは暗い未来の話が多かったけど、そのカウンターとなる明るい兆しって何かありそう?
A:今、学校の授業で、企業の働き方改革についての探究をしています。社会の仕組みが変わってきていて、労働者の権利を企業側がきちんと守るようになっているので、そういう面では以前ほど不安はないんじゃないかなって感じます。
D:社会の仕組みの見直しが進んでいることで、ブラック企業が減ってきているんじゃないかなって思うんだよね。
A:「プラチナ企業」っていうのがあるらしいですよ。ホワイト企業を超えて「プラチナ」なんだとか。
全員:へえ。
ジェンダー論、その受け止めとは
F:戦後すぐと比べるといろんな面で進歩してると思うんだよね。技術だけじゃなくて、例えば女性の社会進出とか。昔は良妻賢母が理想だったけど、今は男女平等が少しずつ進んできてる。日本はまだ遅れてるって言われるけど、努力すれば可能性が広がる社会になってきてるんじゃないかな。希望はあると思います。
森分:男性側から見たらどうなんだろう?
C:正直、極端な女性優遇政策とかはちょっと気になりますね。昔の女性差別が酷かった時代は知らないから比較はできないけど、最近のアファーマティブアクションは、やりすぎると逆に男性が不利になる気がします。
森分:具体的には?
C:例えば、大学入試の女性枠とか。理解はできるけど、極端になるとバランスが崩れるから、ちょっと疑問には思いますね。
A:僕は、政治の世界でもまだ男女平等が実現していないのを感じますこの間の総裁選やアメリカの大統領選挙でも、「初の女性リーダー」と話題になるけど、結局実現しないことが多い。学校では男女平等なのに、政治ではまだまだ男性が上にいる印象があります。
F:女性を選ばない理由って何なんだろう?能力の差じゃない気がするけど。
B:ニュースで見たけど、アメリカでも一部の人たちは「女性は総理大臣にふさわしくない」という考えを持ってるらしい。
森分:こうした現象について何か仮説を立てるとしたらどう?
D:単純に、立候補する女性が少ないんじゃないかな。
B:普通の会社や学校では女性リーダーもいるけど、国会議員になると女性の割合が少ないよね。
D:シニア世代には男女差別があった時代を生きてきた人も多いから、そういう人たちが投票するとなると女性が選ばれにくいのかも。
F:でも、私たちが政治家になるぐらいの世代になったら、もっと女性が増えるんじゃないかな。
B:そう思う。今でも結構女性リーダーは増えてるしね。
高校生たちの対話は、次回【破】に続きます!