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学生たちが、「ボランティア活動と学生」を考える。

▼大学生とだっぴの活動を振り返った前編はこちら

後編では、だっぴの活動も含めた「ボランティア活動と学生」について、学生たち同士の対話を公開します。

志学:ボランティア活動の中で「空間づくり」は重要だということで、ボランティア先がどんな空間だといいかを考えていきたいです。そこにいる大人や足を運んだ学生たちは、それぞれ何を心がけておくとボランティア活動がより良くなりそうか。


ボランティア先で思うこと

知花:ボランティアに行った時に、お客様じゃなくて一緒に活動する仲間として接してくれた方がこっちも楽しいし、やりやすい。

晴香:お祭りの活動の中で、急遽ビンゴ大会の司会を任されたことがあるんだけど、突然で戸惑ったのと同時に、私もそのお祭りを作る一員として迎え入れられたみたいな。何か「責任のある立場」を感じられたから、仕事をちゃんと与えてくれるのはすごい嬉しいなと思う。

知花:地域協働演習(大学の授業)で笠岡の島に行った時、「何でも好きなことしたらいいよ」「どうにかしてこの島を盛り上げてくれ」って言われて、何からしようみたいな(笑)

晴香:ある程度具体的な範囲がありつつも、こちらにも自由性が残されていると、何かいいね。

知花:確かに、ボランティアを受け入れる側の人たちが、ボランティアが来たことによってこの場がどうなればよいと考えているのかは知りたいね。

晴香:何かボランティアって、学生が行くと「学生の若い力で・・・!」と言われるけど、私たちは本当に若いだけで(笑)社会のこと全然分からないから、目指している枠組みはあったうえで、こうしてほしいみたいな具体性があったほうが私は嬉しい。

知花:学生のタイプにも寄るだろうけどね。ぱつこは?

ぱつこ:うーん、何だろうな。ボランティア行って、みんなそれぞれ自分がいいと思った行動をするじゃん。みんな「何か役に立てれば」とか「自分の経験になれば」とか、色んな思いがある中でやってるから、自分の行動を自分はいいと思ってるけど、果たして相手はどうなんだろうとか。そこが難しいのかなと思ってます。

知花:(笑)
でも、相手に迷惑になってないかって思い始めたら何もできないから、やるしかないという面もあるのかなと。

ぱつこ:やってみて「何かちょっと違うわ」って言われたら、そこで「そうか」と気づくから、やっぱり会話って大事だね。無言でやるボランティアってないもんね。

知花:例えば、社会福祉学部という集団でボランティアに行くとなったら、ボランティア先の人よりも普段話し慣れてる友達としゃべっちゃう現象は、どうなんだろうね。せっかく行ったなら、行った先の人としゃべりたいけど、向こう側でも「若者だから」みたいなふうに線を引かれることもあって。ボランティア先でほっとかれたよ(笑)

晴香:でも仲間同士で行くと、身内でしゃべるのはめっちゃわかるし、困ったことがあってもとりあえず身内の中で相談しちゃうから。
なんか話しかけやすいっていうか、「何か困ったことがあったらこの人に聞いてね」みたいな頼り先が明確にあると良いかもしれないね。

知花:それが受け入れ側の窓口。

晴香:そういう担当の人が一人いたら、周りの大人の人で「この人は普段こういうことをされている方なんだよ」っていう橋渡しの役目になってくれたりしそう!

学生が心がけておくこと

志学:反対に学生側はどういうことを心がけておくとよいか。こういう気持ちで行くと満足感や学びなどが得られやすい、みたいな。

知花:この前、西粟倉村のだっぴでは、事前に中学生たちとしゃべって、「どういう環境で育ってて、こういう子たちがいて」を知ったうえで行くと、やっぱ違うなということがありました。
だから、予習というか、自分がどこに行こうとしているのか、何をしに行こうとしているのかはちゃんと頭に入れた方がいいかなと思います。

晴香:事前準備で、場所や関わっている人を調べておけば会話の糸口になりそうだし、この人がどういう思いでその場を作っているのかを知っておくと、こっちも「じゃあこう行動をすればいいんだな」という目安にもなるね。

知花:だっぴではインタビューに行く機会が多かったけど、事前準備しておくと会話のネタには困らないし、「それ知ってます!」でさらに深いところが聞けるからよかったな。

ぱつ:私がボランティアに行く理由として、困ってる人がいるからって思ってるのもあったし、就活のネタになりそうだなと思って行ったのもあるし、自分の将来につながりそうだなって行ったのも、色々あって。
だからぶっちゃけ、特に準備しておかなくてもいいのかなとか思ったりして。

晴香:元気に行くみたいな?(笑)

ぱつ:うん(笑)私は、逆に準備し過ぎて、張り切り過ぎて空回りして、「思ったより自分できなかったな。思ったより支援や応援ができなかったな」って自己嫌悪になったこともあって。
学習支援で「頑張って勉強を教えるぞ」って気持ちで行ってたんだけど、思ったよりできなくて落ち込んだこともあった。もうちょっと気楽な気持ちでできたらなと。準備も大事だけど、逆に準備しなくても大丈夫なんじゃないと私は思いました。

自分がやりたいことを考える学生たち

知花:「準備すること」と「この子たちに何かしてあげたいって意気込みを強く持つこと」は別かなって私は思った。

ぱつ:うんうん、そうだね(笑)

知花:晴香が「この場の中で今回の中学生に私は何ができるのか」という話をしていたけど、私も最初は考えてた。でも途中から、何かしなきゃってなるのがしんどくて。とりあえず私が楽しかったら中学生も話せて楽しいんじゃないか、みたいな(笑)

ぱつ:軽くね(笑)

晴香:もちろん、ちゃんと意味ある時間にしようと思っているけど、思いつめては全然なくて(笑)「今日も頑張ろう」みたいな!意気込みの一つくらい。

さいごに

志学:最後に、チェックアウトとして感想や言い残したことなど一言ずつください。

知花:違うボランティアで言うと、野外の飲食イベントの会計を担当してたんですよ。今まで大金に触ることがなかったので、会計ってマジで大変なんだなと思って。これまでやったことのない分野を体験できるのはボランティアの楽しさなのかなって思いましたね。

晴香:ボランティアって色んな形態があるなという発見と、同じボランティアでも、これだけ違う意見が出てくるのは面白いなって思いました。

ぱつ:私はボランティアに行って「あまりいい仕事できなかったかな」と思うこともたまにあったんですけど、「助かった」って言ってくれり、ありがたい言葉ももらったりしたので、自分の感性や考え方、支援の仕方を必要としてくれる人は必ずどこかにいると思って参加すればいいのかな。前向きな気持ちでボランティアに参加すればいいんじゃないかって思いました。


編集後記

「ボランティア先の大人やそこ足を運んだ学生たちは、何を心がけておくと良いか」という問いでしたが、どちらにとってもポイントは「事前準備」にありそうでした。

ボランティア先の人たちがどんなゴールを目指しているのかを知るという点を少し細かくすると、①活動者が何を課題と捉え②どのようなアプローチで解決しようしているのかをロジカルに整理・理解できて、③活動にかける思いに触れられると、論理的にも感性的にも理解が深まり、より良い事前準備になるかもしれません。

また、ボランティア先での信頼関係の構築については、学生たちの「異なる他者と関わる力」も関係構築の変数として大きく寄与します。この点では、高校までの教育課程も重要で、人との関わる場面をどれだけ得られていたか、私たちNPOだっぴがその機会を広げていきたい所以でもあります。

とりわけモラトリアム期においては、「とりあえずやってみる」精神も大切で、事前準備の工程を重くとらえ過ぎて、「これができないと参加資格がない」と尻込みしてしまうのは勿体ないと思いますので、友人や先生など、背中を押してくれる誰かが周囲にいることも1歩目の鍵となるかもしれません。



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