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卒業生たちと、だっぴの活動を振り返る。

NPOだっぴでは、毎年約100名の学生が新規ボランティア登録(通称:キャスト登録)してくれています。
今回は、「だっぴの活動を通して得られたものは何か」を問いに、この春に卒業する大学生3人に話を聞いてみました。


大学生たち

[知花]大学では社会福祉を学ぶ。卒業後は児童福祉関係の仕事に就く予定。

[晴香]大学では社会福祉を学ぶ。卒業後は介護施設に就職予定。

[ぱつこ]大学では社会福祉を学ぶ。卒業後は児童福祉関係の仕事に就く予定。

だっぴの活動を通して得られたこと

志学:さっそくだけど、だっぴの活動を通して得られたことって何がありますか?

知花:質問に対して瞬時に何か答えられたり、知らない人とでもしゃべれるようになったことですかね。あと、色んな人と会うことができたし、だっぴは岡山県の色んなところでやるので、今まで縁もゆかりもなかったところに愛着ができるということもあります。

ぱつ:人と話をしているとき、「あ、さっきの話し方ちょっと良くなかったかな」とか「今の自分、話をうまく引き出せてたな」とか客観的に自分を見れるようになったかなって私は思ってます。

晴香:だっぴ50×50の企画をした時、たくさんあるタスクをみんなで分担してやることで、自分もグループの歯車の一つとして与えられた仕事を期限までにちゃんとやるっていう責任感を感じられたのがすごい良かったなって思いますね。
あとは、中学生だっぴに参加した時。毎回ガイダンスで目標を立てたり、終わった後にみんなで反省会をしたり、そこで自分の言動を振り返る習慣ができて、自分の行動を振り返るようになりました。

だっぴ50×50当日、開始前の緊張と期待感に包まれる会場。

他者と関わるコミュニケーション能力や責任をもって役割を遂行する力が身についたという話がありました。また、振り返り活動を通して、客観的に自分を捉えられる「メタ認知能力」も高まっていそうです。

その他、自分の将来についての自己効力感も肯定的な回答が約95%と、だっぴに関わる学生たちのポジティブな意識が分かります。

大学生へのアンケート調査(n=80)

それぞれのターニングポイント

志学:印象的に残っているエピソードや「ここで意識変わった・成長感じられた」みたいな瞬間は?

知花:初めて企画チームで参加したのは玉野市の「荘内中学生だっぴ」なんですけど、それまでみんなで何かひとつの企画をやり遂げる経験があまりなかったので、一から作っていくことがすごい面白いなと思ったし、楽しかったです。

ぱつ:「だっぴ50×50」の企画が私にとっては大きかったかな。自分ではあまり意見を言う方ではなかったんですよ。自分の意見をはっきり言える人たちがいる中、「自分も発言していいのかな…」とちょっと自信がなかったりして。ただ、色んな人が発言してる中で自信がないからって何も言わないのはやっぱりズルかったというか、無責任だったのかなって今ちょっと反省してます。
でもそこからは何か自分の意見を言う場があったら前よりもっと言えるようになったし、その反省を踏まえて大学の授業やグループワークで言わなきゃいけないところはちゃんと言えるようになった。ちょっと成長しました。

晴香:同じグループだった中学生の女の子とだっぴが終わった後に一緒に写真を撮ったんですけど、「ちょっとの時間しか関わってないのにそれだけこの子にとって私は影響を与えることができたんだな」と、充実感や嬉しさがあって。そこから毎回、「グループにいる子たちに私はどんな影響を与えられるのかな」とか、意味のある時間にしようという想いが強くなりました。

中学生だっぴ、今日を振り返るクロージング。

自分でつくる活動がストレッチゾーン

3人が挙げたシーンでは「自分でつくる」が共通していると思います。そして、その活動はそれぞれのストレッチゾーン(未体験領域)であったことが想像されます。

学校教育が変わりつつあるとはいえ、自分たちが主人公になって何かをつくる経験を、大学入学時までに得られている若者はまだまだ多くはないのかもしれません。

そのストレッチゾーンでの経験が、これまでの自分とは異なる感覚や能力を獲得につながります。若者に限らず、成長とはストレッチゾーンに断続的に越境していく行為だと言えるでしょう。

だっぴとは何か

志学:「だっぴの活動を他のなにかで例えると〇〇っぽい」というテーマだと、それぞれの感覚で○○は何になりますか?

ぱつ:学校の教科で言うと理科。
例えば、中学生だっぴでどんな大人や中学生がいるか、グループを見渡して「どういう進め方をしたらどういう効果が出るのか」実験みたいな感覚で参加してたかなって。こういう発言したらどう返してくれるんだろうっていう実験。どんな化学反応が起きるんだろうって考えたりしてました。

知花:色んな学生の活動グループに参加させてもらったんですけど、だっぴは民主主義だなって思ってて(笑)
全員それぞれに平等に権利があって、企画準備も本番も自分の意見で場が作られていく。反対に、カリスマ的リーダーが言ったことで全部進んでいくこともあると思うんですけど、だっぴはそうじゃないなって。

晴香:スポーツで例えるとバレーかな。
このグループの中で会話をつないでいったり、経験やそこにある思いをつないでいったり。そういう話し合いの中で、会話のリレーもそうだし自分の考え方や価値観、経験してきたことを色んな人につないでいって、その人の中でまた新しい価値観が生まれていくので。

大学生のファシリテーションが、グループの対話をつなぐ。

若者がつくる、若者のための場。

だっぴの場は、「今まで出会ったことのない、異なる他者との対話の場」です。そこに参加した若者たちは、これまで自分がいた世界の「外」に気づき、固定観念を取り外していく(だっぴする)瞬間を対話の中で感じたりします。

ひとつ大切なのは、その時間のアウトプットだけでなく、その場がつくられるまでのプロセスもまた、若者によってつくられること。そのプロセスへの参画は若者の成長に大きく寄与します。

こうした参画機会はだっぴの活動に限らず、現代社会の中で増えつつあると実感しています。その情報をより多くの若者たち届け、機会と適切につなぐことを、私たちはもっと強化していきたいと感じました。

▼後編はこちら



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