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未来の歩き方教室コラム企画【破】

12月14日に行われる「未来の歩き方教室」での高校生×慎泰俊さんのパネルディスカッションで扱う”問い”を創造するべく、高校生6名が3つのテーマでとことん対話しました。

●第1部【序】はこちら

夢がある人、まだ夢がない人

D:私の夢は、具体的にはまだ固まっていないんですけど、世界中を飛び回って活躍できるような仕事をしたいです。私がロールモデルにしている人は世界中に友達がいて、私もそんな風になりたいんです。

直近の目標としては、高校生のうちに全国で講演会を開くこと。不登校だった自分の経験を色んな人に伝えて、選択肢を広げてもらいたいという気持ちがあります。最近は、徳島のフリースクールで留学の体験談を話したり、東京の中学校でのキャリア学習に参加しました。スタートアップを支援する施設でのイベントに参加して、自分の夢を色んな人に話してもいます。

B:私は官僚になりたいと思い始めました。興味があるのは外務省。国際情勢や地政学に興味があって、歴史や英語も好きなので、色んな人と交流したいです。最初は「霞ヶ関で働くのってかっこいいな」くらいの軽い気持ちでしたが、日本や日本国民の役に立てる仕事ができたらいいなと思うようになりました。 

大学は法学部に進むつもりで、まずは大学に合格することが第一歩です。大学では英語の4技能を伸ばすプログラムがあるので、それに力を入れて頑張りたいと思っています。

F:その思いは、どこから来ているんですか?

B:日本は先進国だけど、最近は他の国に追い越されているし、国内でも格差が広がっている。そういうニュースを見て「どうにかしないといけないな」って思うんですよね。もちろん、自分一人で何かを変えられるとは思ってないけど、少しでも役に立てる仕事ができたらかっこいいなと思っています。

A:自分はまだ夢を決められていないんですけど、それはきっかけがないからかもしれません。でも、夢が決まったときに備えて、色んな講義に参加してみたり、幅広く行動するようにしています。

さっきの探究学習の話(【序】を参照)に影響されて、経済学や経営学の方に進もうかなという気持ちもあります。

なりたい自分が明確にある

E:私の将来の夢は、アナウンサーになることです。志望校は××大学なんですが、入試制度が独特で、一本に絞るのはリスクが高いんですよね。だから、どこの大学にも対応できるよう勉強を進めています。

実現に向けては、色んなイベントに参加したり、アナウンサーとして必要な幅広い知識を得るために経験を積んだりしています。

B:アナウンサーになりたいと思ったきっかけは何ですか?

E:きっかけは1年前ですね。中学3年生のとき、勉強のモチベーションが下がっていて、将来の夢を決めようと思ったんです。最初は視野が狭くて、家族や知り合いに活躍している姿を見せたいと思ったんです。それで、アナウンサーってかっこいいなと(笑)

決定的だったのは、能登半島地震です。NHKの山内泉アナウンサーが避難勧告を伝える姿を見て、「言葉だけでこんなに多くの人を救える仕事なんだ」と気づき、憧れを抱きました。

C:僕は色んな分野に興味があって、法律を勉強したこともありました。今の夢はフロントエンドエンジニアやデザイナーになることです。それに向けては、勉強と人脈作りを重視しています。スタートアップ支援拠点で講演を聞いたり、ピッチに登壇したりして、大人から刺激を受けています。来年には留学したいとも思っています。

E:どの国に行きたいんですか?

C:やりたいことを考えると英語圏。個人的にはドイツにも行きたいです。ドイツの文化や雰囲気が好きで、食べ物も美味しいので興味があります。

具体的な夢はまだはっきりしていない

F:私も最近まで夢がコロコロ変わっていて。昨日までは、経済番組「WBS」に関わる仕事がしたいと思っていました。最前線の情報を取材して知ることが楽しそうだと感じたんです。でも、今はまだ具体的にやりたいことがはっきりしていません。

急に熱意がふっと無くなることがあるんです。昨日まで「これ好き!」と思っていたことが、急に興味が薄れてしまったりして、自分でも難しいなって思います。Dさんは将来のこと、どうやって決めていますか?

D:私はフィーリングで決めるタイプかな。みんな、ちゃんと決まっていてすごいなって思う。私はまだ「何をやりたいか」が具体的に決まっていないんですよね。

流れに任せて行きたいなと思っています。自分の能力を一番活かせて、収入を得られる仕事に就けたらいいなと。志学さんは、夢を実現するために何かしましたか?

森分:正直、夢が必要かどうかはわからない。誰かの夢に乗っかる人生も素敵なんじゃないかなって思います。学校では「自分の夢を持ちなさい」と言われるけれど、そうじゃなくてもいいと思うんです。誰かの夢に共感して、その船に乗るもよし。

一方で、未来のつくる、夢を語る人も必要。ここにいるみんなは、そっち側になってほしいと個人的には願います(笑)みんなはどう?夢はあった方がいい?それともなくてもいい?

そもそも夢は必要なのか?

D:夢がモチベーションになって勉強や努力を頑張れると思うので、あった方がいいかなと思います。ただ、私の学校では職業適性診断の結果を見て「この中から選べ」という指導もあって、違和感を覚えることもあります。

F:具体的な職業を決める必要はないけど、未来の自分がどうなっていたいか、大まかな夢は持っていた方がいいのかな。自分ははっきり目標に向かって突き進むことができていないから、夢を持っている人を見ると、やっぱりかっこいいなって思います。夢が思いつかないと不安になってしまうんです。

E:私はどちらかというと夢をはっきり持っている方なんですが、逆に、夢があまり決まっていない人が羨ましいと感じることもあります。夢を決めてしまうと、他の選択肢がなくなるような気がして。もしその夢が叶わなかったらどうしようって不安になるし、色んな可能性を試せなくなりそうで。

もし夢を一つに絞るなら、もう一つくらい別の道を準備しておくと、どちらかがダメでも別の可能性を試せるのかなって。そういう意味では、夢がない方が視野が広がる可能性もあるし、夢があっても柔軟に考えられる方がいいと思います。

F:夢があっても、達成できるかどうかはまた別ですよね。ただ、達成できなかったとしても、そこまでの努力が無駄になるわけではない。例えアナウンサーになれなくても、大学受験を頑張ったり、大学で勉強したり、就職活動をしていく中で得られる経験や力は、別の分野で生かせるんじゃないかな。

夢とは一体何なのか?

森分:それに関連して、2つ考えたい問いがあります。1つ目は、「夢を追う人に必要な条件」って何でしょうか?2つ目は、そもそも「夢とは何か」ということ。夢を持つこと自体を再定義してみましょう。現代において、夢とはどんなものだと思いますか?

D:私にとっては、職業だけでなく、「こういう人になりたい」とか「こんな理想の人生を送りたい」と思うことも夢だと思います。

B:私は夢を、「モチベーションでありながら、将来への責任を意識させるもの」と考えています。自分で選んだ夢だからこそ、「あなたの人生なんだから」という自覚を持たされる。そういう責任感がある分、負担に感じることもあります。夢を意識することで、「これからの人生が決まってしまう」みたいなプレッシャーも感じますね。

C:夢は目標の一つで、目標にはいろんな期間のものがあると思います。例えば、短期的なものなら「来年外国に旅行したいから、そのために言語を勉強しよう」とか、もっと短ければ「次のテストで良い点を取りたいから勉強しよう」とか。それらの中で、人生単位で考えるような最も長期的な目標が夢なんじゃないかと。だからこそ、夢には責任感やプレッシャーが伴うのかなと感じます。

森分:夢って、一度決めたら変えられないものだと思いますか?

C:夢があるからといって、一直線に進む必要はないと思います。途中で変えてもいい。夢があることで視野が狭まる部分はあるかもしれませんが、その狭まりがむしろ、努力や集中につながることもあるんじゃないでしょうか。

完璧主義か、否か

A:僕の場合、具体的な職業じゃなくて、自分を好きになれたらいいなって思うんです。自分のことが嫌いで、完璧主義なところがあるんですよね。みんながサクッと終わらせるレポートを、僕は凝りすぎちゃったりして。

それがいいことに思えるかもしれないけど、自分としては「もうちょっと肩の力を抜きたいな」とか思うんです。今この場でも、あまり喋れていない自分に気づいてしまったりして、完璧な答えが出るまで考えていると話が先に進んじゃうみたいなことも多くて。

そんな性格なので、自分のことが好きになれるようになれば、それだけで人生が楽しくなるんじゃないかって思います。

B:私は逆に、自分が楽観的すぎるタイプだなって思いました。何か1つのことに集中して、完璧を目指して仕上げる人ってかっこいいなって思うんですけど、自分はそこまで情熱を注げない。色んなことを8割くらいで終わらせちゃう感じで生きてるんです。だから、追求し続けて本当に良いものを作り上げる姿勢は憧れますね。

E:私は完璧主義じゃないですね。

F:私は途中までは完璧を目指すけど、最後は緩くなるタイプです。

C:僕もほぼ同じで、最初は絶対に完璧にやりたいって思うけど、結局最後にはできないことが多いですね。

D:私はもともと完璧主義だったんです。それを直したくて、目標に「完璧主義をなくす」と書くくらいでした。でも最近は完璧なことを言わなきゃとか考えなくなった。色んな生き方を知ることで、「別に完璧じゃなくてもいいんだ」って思えるようになったんです。理想の自分になりたいと思って進んでいくと、少しずつでも変われる気がする。

夢を追う私たちに、必要な要素とは?

森分:Fさんは夢って何だと思う?

F:将来の自分のイメージ像を描くことかな。具体的じゃなくても、アバウトなイメージを持つことだと思います。

森分:夢追い人が持っておく要素があると思うんだよね。スキルや考え方、知識など、どう思う?

D:最近大切だと思ってるのは、いろんな職業や年代の人と会うことです。自分よりも良い人生を生きている人たちの話を聞くと視野が広がるし、自分の価値観も変わります。留学してホストファミリーと話したときにも、すごく価値観が変わりました。

B:私は夢を追うときって仲間の存在が大事だと思ってます。お互い刺激し合える仲間がいると頑張れるし、先生や周りのアドバイスを素直に受け入れることも大事だと思います。

自分の芯を持つことも大切だけど、視野を狭めすぎるのもよくないですよね。他の意見を受け入れて、そこから自分の考えを深めたり、変えたりできるような柔軟さが必要だと思います。だから、傾聴力みたいなスキルも重要だと思います。

E:アナウンサーという夢に向かって勉強するときに、自分の中でよく確認することがあります。本で読んだ「成果を上げるために必要な要素」を取り入れていて、それが効果があるかもと思ってやってるんです。

具体的には、①自分には能力があると思い込むこと、②努力の量は自分の意思で増やせると信じること、③考え方をプラスに保つこと。この3つを毎日口に出して言ってます。特に3つ目が大事だと思っていて、夢に向かう途中でミスや停滞があっても、プラス思考でなければ「もういいや」となってしまう。後ろ向きだと、努力しても効果が半減してしまうと思うんです。

C:僕も重要だと思うのはメンタルですね。勉強していても、「これに意味があるのかな?」と思うことがあります。でも、それでも辞めずに続けられるのはメンタルの強さだと思うんです。

あと、他人との関係でもそうで、学校の課題は「出さないとダメ」と言われても、僕は意味があると思う課題だけを出したいタイプで。先生から何か言われることもありますが、そういう意見を受け入れることも大事。

さらに言うと、新しいものを受け入れる柔軟性も必要だと思います。将来海外で仕事をする可能性があるなら、異文化や違う価値観を理解し受け入れる心が必要。個人的な例を挙げると、アメリカ旅行で日本人差別の経験がありました。そういう文化や人が存在することを認識し、どう対応するか考えるのが重要だと思います。

F:私は「知識」が大事だと思います。存在を知るだけで避けられるリスクがあるし、教養があることで強みになる。やっぱり知識って力だと思います。

A:僕は夢が決まっていないと言いましたけど、老後には趣味の映画鑑賞をずっとしていたいなと思ってます。それが一種の夢というか、「老後に映画を楽しむために今働いておきたい」というモチベーションになっています。大それたものじゃなくても、何か1つモチベーションになるものがあるのは大事かなって思います。

森分:成功している人たちの話を聞くと、「運が良かった」と言う人も多いよね。

D:運って偶然だけじゃないと思うんです。いいことがある人って、周りにもいいことをしていることが多い。優しい人には優しい人が集まってくるし、自分が誠実に生きていたら、その分返ってくる。もちろん、見返りを求めてやるわけじゃないけど、そういう行動が結果的に運を引き寄せるのかなって思います。

E:ある程度、運は自分で作れる部分もありそう。

森分:周りにどんな仲間がいるかも大切ということだね。


高校生たちの対話は、次回【急】に続きます!


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