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【報告レポート】カリプロ@杏林大学医学部
医療系の大学&専門学校で開催してきたカリプロですが、初めての医学部開催をミニミニサイズで行いました!
コロナ真っ只中で受験や進学をしていた学生さんたちは、正面からの対話やリアルなふれあいを求めているとのことでした。
写真や動画を交えた報告レポートなので、ぜひご覧ください☆
カリプロの「地域で暮らす」を担当してくださっている小田瞳さんは、医師をされてきました。現在は、大阪のあかり訪問看護ステーションの「みんなの保健室」にて、オリヒメかあさんとして様々な方の相談にのっていらっしゃいます。
学生たちが目指す医師をされていて、元医学生である小田さんを中心に、杏林大学医学部でのカリプロを作り上げてきました!
概要
開催校:杏林大学 医学部(地域体験学習)
対 象:2年生 講義117名・実習8名受け入れ
講 義:10月13日(1コマ/75分)
実 習:11月10日・17日(2名の当事者宅にて計8名受け入れ)
内容
-準備-
1コマの講義で伝えきれない部分を「事前学習として動画で知ってもらおう」ということで、1年生のときから活動しているという“動画作成チーム”の学生さんと一緒に、小田さんの日常動画を作ることになりました。
①オンラインで顔合わせ
②小田さん宅にて撮影とインタビュー
③動画作成
④事前学習として配信
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お昼は介助者お手製のたこ焼きをいただき、小田さんはチョイスした食材や調味料をミキサーにかけ学生ヘルパーが食事介助している様子を見学させていただきました。
その後は、最寄り駅まで学生さんをお見送りしてくださった小田さん。「アパートやマンションの入り口は階段しかない物件ばかり」ということに気づいていた学生さんたちでした。
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小田さんの明るさや暖かさが伝わる、とても素敵な絵。車椅子に乗っているのも、呼吸器をつけているのも、リフトがあるのも、家族の写真や息子さんの絵が飾られているのも、一緒にいる人と外を眺めるのも、どれも日常の光景です。小田さんの日常です。
そこを切り取ってくれた学生さん、ありがとうございました。
①②を経て作成された動画が、予告と本編の2本です。
想いを込めて編集してくださったので、ぜひご覧ください☆
-講義-
学生時代から医師時代、子育てを始めてから神経難病を2つも発症。
小田さんは、自分が難病を患うなんて思いもしていなかったそうです。
誰がいつ発症するかなんてわからない。他人事でなくて自分事として感じてくれる学生さんもいました。
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明るく暮らす小田さんですが、発症してから自宅に戻るまでの気持ちや出会い、そして電動車いすや重度訪問介護の利用に至るまでの困難さをリアルにお話してくださいました。
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学生さんに講義の感想を聞くと、「圧倒されて言葉が出ない」と……
本当にそうだったのだと思います。
今回の出会いや講義を少しずつ消化していき、これをきっかけに知ろうとしたり動こうとしたりしてくれると嬉しいです。
-実習-
今回は、117名が地域の様々な場所へ実習に行ったようです。
その中の1つとして、障がい×在宅の場を設けてくれました。
小田瞳さんと、理事長・岡部が、2日間×2名の計8名を受け入れました。
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・小田先生は、非常に前向きに楽しく生活していらっしゃいました。大病を患っていても前向きに生きている人がいるという事実は、大病や障がいを抱えている方々にとっても希望になるのではないかと思いました。
しかし、その一方で「車椅子で生活するための住居が中々見つからない」というお話を聞いて、まだまだ我が国では配慮が足りていないということを痛感しました。
今回の貴重な経験をもとに、医師になったら何をすべきかをもう一度見つめ直したいと思います。ありがとうございました。
・実習では小田先生の準備の様子や車イスでの生活を見学させていただき、誰もが住みやすい地域というのは難しいものだと実感しました。私が普段生活してるだけでは得られない視点や考え方を学ぶことができ、貴重な経験となりました。ありがとうございました。
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・岡部さんと約半日過ごさせて頂いて、食事の内容やその日の服装などの決定を岡部さん自身が決めており、私自身介助者の方の判断で決めていることがほとんどだと思っていたため、岡部さん自らが発信していくことが多くあると知り驚きました。
また、介助者の方々は岡部さんの表情を常に気にかけており、介護のお手伝いをさせて頂く時にも相手を気に掛けることの大切さをとても感じました。
これから医師を目指していく中で今回の体験の中で学ばせて頂いたことや、岡部さんからの言葉を忘れずに勉学に励んでいきたいと思います。
・私が今回の訪問で強く意識させられた点は、事前に頂いた資料にもあった、人間の「生きる」ということでした。
岡部様は人間の「生きる」には2つの意味があると考えられていました。一つは存在するということ。一つはどうやって生きていくかということ。どちらも大切であるが、前者を人は忘れがちであるという内容でした。生きることについて資料を読んだ段階では、文字では理解していましたが、その真髄まで理解は出来ていなかったことを実感させられました。
私が普段何気なく行っている衣食住と形式が異なっていること。呼吸器を繋ぎ直すことや他人に持ち上げられて移動するなど死のリスクが近くに存在すること。そんな環境にも関わらず、岡部様から感じ取ったのは強い生命力でした。そんな生命力が自分の中にも内包されていると考えたとき、存在するだけで「生きている」という意味を理解できましたし、私もそれを蔑ろにしていたことに気づけました。
今回私は、岡部様やスタッフの方々の日常の一部しか体験していませんので、大それたことは言えませんが確実に人生の中で実りある経験となりました。
カリプロを終えて
小田瞳さんより
これから医師となる学生さんたちと過ごし、私も若さとパワーをもらいました!今回の経験で私達の普段の生活を知ってもらい、これからの医師人生の中で何かお役立て出来ましたら嬉しい限りです。
こちらこそ素敵な日を有難う御座いました!
参加した学生さんより
・取材を通して一番感じることは、小田先生や介助者の方々の作る空間の暖かさでした。小田先生が生活するためには、食べ物の形状、小さい段差の有無など気をつけることが沢山ありました。実際に同じ時間を共有し、直接お話を聞くことで、「小さいことの大きさ」に気付かされました。 自分の持っている障害にマイナスの気持ちを持つのではなく、明るく前向きに生きている小田先生の力に私も元気をもらうことができました。私も小田先生のように、患者さんに前向きな気持ちを持ってもらえるような医療を届けたいと感じました。
・映像を編集させていただくことになった際に、「爆笑ライフー病気が人を変えるのかー」というテーマで行くことと、3分程度の動画になることがミーティングできまり、どのように作るのか、何を編集に込めるのか考えさせていただきました。
当初は、医学部生として「しっかりと」した動画を、と考えておりましたが、小田先生を取材している動画を何度も見返す中で、その様子や、何よりも息子さんのことについてお話される様子に感化されました。
貴重な経験をさせていただきました。生活に根ざした医師として働くことのできるように今後も邁進していきたいと思います。ありがとうございました。
来年度に向けて
来年度は、「地域体験学習」の授業の10コマにて、3年生117名へ向けてカリプロを行う予定です。
重度の障がいを抱えて生活をするということは、医療が身近にないと成立しません。これからその医療を担っていく医学生の皆さんには、障がいや疾病だけでなく、その人やその人の生活をみてほしいと願っています。
それがどうしたら伝わるのか……
内容や構成をカリプロチームで練っているところです!
これを読んでくださった皆さんは、医学生たちにどんなことを伝えたいですか?
ぜひコメントをお待ちしています。
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