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コラム「境を越えた瞬間」2022年12月号-鈴木夏翔さん‐

プロフィール

鈴木 夏翔(すずき かける)

  • 作業療法学科の4年生

  • 学生ヘルパー

専門学校1年次の夏にチーム岡部の学生ヘルパーを始め、現在も週1~2回の頻度で介助に入っている。

透明文字盤を使用して岡部の言葉を読み取る鈴木さん


「自分の中にある境を越える」


高校を選んだ理由は、仲の良い友達がその高校に行くから。
今通っている専門学校を選んだ理由は、親に作業療法士を勧められたから。
グループワークでは自分の意見など大して発言せず、他人の意見に頷くだけ。
自分で何かを決めることは少なかった。
自分の意見や意思を発信しないような人間だった。


そんな私が学生ヘルパーになると決めたことは、今思うと人生で最初に境を越えた瞬間だった。


1年生の夏、何でも良いからアルバイトを始めたいと思っていたとき、学校に掲示されていた学生ヘルパー募集のチラシを見て、学生ヘルパーの存在を知った。
最初は、ヘルパーのアルバイトなんて私にとっては未知の領域であり、そもそもアルバイトでヘルパーなんてできるの?と思っていた。
しかし、せっかくアルバイトをするなら他とは違うことを始めてみたいという好奇心もあって、学生ヘルパーをしようと決心した。そこで既に学生ヘルパーであった同級生に声を掛けて先輩を紹介してもらい、そして岡部さんと出会った。

私が人生で最初に越えた境は他の方に比べたらちっぽけなものだと思う。
しかし、あのときの好奇心が、学生ヘルパーという未知の領域に踏み出す一歩へとつながった。
そして、そうして踏み出せたこと、自分で決断できたことは自分の中にある境を越えた瞬間だった。

また、前述のとおり意思や意見を表に出すような人間ではなかったが、境を越えて学生ヘルパーになったことで少しずつ変わってきたように感じる。

岡部さんとの出会いは、ほかの学生ヘルパーとの出会いにつながった。また、自分の経験を人に伝える機会を多くもらった。
コラム集「境を越えた瞬間vol.2」の裏表紙に掲載していただいた「障がい者の世界への留学体験記」への参加がその一つだ。

学生ヘルパーの体験を通して、介助者の視点を持ち、介助者不足などの現実を見てきた。
だからこそ、
「学生のうちから福祉や介護・介助に対する意識を持ってほしい」
「私たちが体験したことを顔も名前も知らないほかの誰かに知ってほしい」
と思うようになった。

その思いは、学生ヘルパーの経験を自分の中で終わらせずに、色々な活動への参加を通して発信することへとつながった。私の活動を見た学生が、将来学生ヘルパーになってくれたら、と心から思っている。

人によって境はそれぞれだと思うが、意見や意思を伝えたいと思うようになったこと、そして伝えるようになったこともまた、私にとっての「境を越えた瞬間」である。

最後に、私は学生ヘルパーをやってみた感想を聞かれたら毎回自信をもって「続けていれば絶対に後悔しない」と答えている。それだけ自分にとってプラスになることだらけであったからだ。
学生ヘルパーをやろうか迷っている学生さんは、ぜひ一歩踏み出して自分の中の境を越えてみてください。絶対にプラスになることが待っています。


【チーム岡部】
岡部や介助者、同じく学生ヘルパーの仲間と外出時の記念撮影。
後列右が鈴木さん。


 ※鈴木くんも参加している「障がい者の世界への留学体験記」はこちら。ぜひご覧になってください。

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境を越えてでは、毎月「境を越えた瞬間」というテーマで、福祉や医療、障がいに携わる方にコラムの寄稿を依頼しています。
2022年4月号よりnoteでの掲載となりました。
それまではメールマガジン「境を越えて通信」での掲載となっていましたので、バックナンバーを順次noteへ掲載しているところです。バックナンバーもぜひご覧ください。