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人間の尊厳を守る―NPO法人マザーハウス会報「たより」2022年12月号Pick Up

NPO法人マザーハウスは、受刑者・出所者の社会復帰支援をする団体です。私たちは会報誌「たより」を毎月発行しています。

塀の中の受刑者から寄せられた手紙(便り)や絵、社会にいる私たちから送りたいメッセージなどを掲載しています。今回は2022年12月号の内容をご紹介します。

光りんさん「この世界は、色があふれているけど、ボクは、惑わされない」

文通ボランティアからのメッセージ

私たちは、刑事施設に収容されている人々(受刑者)と、社会のボランティアを文通によって繋ぐ活動「ラブレター・プロジェクト」を2012年から10年以上に渡って続けています。今回はその文通ボランティアの方からいただいたお手紙から一部を紹介します。

相手の分からない方との文通は、とても難しいことかと思っていましたが、相手を想像し、想い、考え、文章に表すことの大変さと共に、お互いの心が開かれ、理解し合え、思いやれるようになった時は、本当に嬉しく感じました。

あなたは社会復帰して、人の役に立つべきです。感謝を忘れず、生きるべきです。そして、ありがとうと言われるべきです。自分らしくいられる居場所(偽る必要がなく安心できる居場所)を見つけるべきです。伝えないですが、このような思いを持ちつつ文通したいと思っています。

「ラブレター・プロジェクト」について詳しく知りたい方はこちらのnoteをご覧ください。


エイル・Nさん

元受刑者による特別講義 学生たちが感じたこと

マザーハウス代表の五十嵐が国士館大学で今年7月に行った講演に、学生さんたちが感想を寄せてくださいました。その一部をご紹介します。

最後におっしゃっていた、犯罪者は一人、孤独であることが多い、という共通点を解決していくことが再犯防止につながっていくのではないかと思った。社会復帰は一人で行うことは難しい。

私は、日本の再犯を防止する為には、こうした社会復帰の支援を充実させること、そして何より自分達周囲の人間が理解してあげることが何よりも重要だと思いました。犯罪を犯す者のほとんどは何かしら辛い過去があったり、心に傷を負っています。こうした人達の周囲への理解を深めるためにも、今の受刑者や出所者の社会復帰の現状・課題を広く社会に発信し、一人でも多くの人に知ってもらう事が大切だと思います。


光りんさん「ジンベエザメ」

「塀の中のたより」~受刑者からの手紙~

受刑者から私たちのもとに届いた手紙のうち一部を抜粋してご紹介します。なお本人の許諾を得て掲載しています。

私は、マザーハウスと出会い、変わったところが一つございます。それは、感謝の心を忘れない、ということです。(中略)マザーハウスの皆さんと出会い、相手方のことを心より思う大切な気持ちを忘れている自分に気づけて、自分を変えようと思え、今に至ります。お手紙にもありましたが、自分と向き合う機会をつくって、糧となるものを得たいです。

M刑 Yさん

たとえ受刑者であっても未来のために生きるべきですし、そうでなければ、ここでの生活は無意味になるからです。どんな人間であっても、未来に希望を持って生きるべきですし、これを奪う権利は誰にも認められません。しかし、僕はそれを人から奪った(殺人ではありませんが)人間であり、この事実を振り返るとき、だからこそ人間の尊厳の重みを刑務所の独房で、この残酷な処遇で身と心に沁みて感じるのであります。この経験が未来に活きることを望みます。

O刑 Iさん
光りんさん「植物の世話が大好きな妖精⑦ネコヤナギ」

編集後記

年の瀬ですね。気温が零度や零下になる日も多く、日に日に寒さが厳しくなっています。

月に一度、「たより」を読むことを通して、出所者や受刑者に思いを馳せます。それぞれにそれぞれの人生があるはずだけれど、この寒い日々をどんな気持ちで過ごしているだろうか、と。

受刑者からの手紙に、「人間の尊厳の重み」という言葉がありました。どんな境遇の人の尊厳も守られますように。物心両面であたたかい年末年始が迎えられますように。

皆さま、よいお年をお迎えください。

執筆:黒木萌

マザーハウスの活動へのご支援のお願い

NPO法人マザーハウスでは、受刑者・出所者の回復と社会復帰(就労や生活支援)のためのさまざまな事業を行っています。活動を支えてくださる方からのご寄付・ご支援をお願いしております。

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ご支援の方法③マザーハウスオンラインショップでの、フェアトレードコーヒー「マリアコーヒー」等のご購入支援

マザーハウスでは活動の一環として、「マリアコーヒー」を販売しております。マザーハウス事務所にて、元受刑者が販売に携わっており、収益金は受刑者の更生・社会復帰支援等に使用いたします。

ルワンダから仕入れたフェアトレードのコーヒーであり、生産地ルワンダの生活や産業の発展にも貢献しています。マリアコーヒーが使用しているルワンダコーヒーは、日本国内のコーヒーシェアにおいて大変貴重な希少種でありながらも、近年の世界中のカッピングコンテストでは上位入賞の常連です。

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