幸せですこやかな塩尻へ。「第11回MEGURing」開催しました!(2024.05.29)
こんにちは!「MEGURing」のレポート担当、なるみんです。
今回は、5月29日(水)に行われた
「第11回MEGURing」の様子をお届けします。
◆「MEGURing」とは?
「MEGURing」は昨年度から始まったMEGURUの社内向け(公開型)イベントです。
MEGURUは最近更新されたビジョンとして
「はたらく、生きる、すこやかに」
を掲げており、そのために地域ぐるみで人の価値を最大化することをミッションとして活動しています。
メンバーも増え、活動が多様化する中、MEGURUの中でそれぞれの活動をお互いに認識し、お互いの領域を信頼しあって手を取り合う。
そんな姿をめざすのが、MEGURUの多岐にわたる事業の今(ing)と、メンバーがつながる(Rings)会、MEGURingです。
今年度はゲストスピーカーを招き、MEGURUや地域の人事部に関わる領域についてディスカッションをしながら、今後の活動のヒントを得たいと考えています。
◆「第11回MEGURing」の概要
塩尻市では、9か年の長期計画「第六次塩尻市総合計画」が令和6年度からスタートしました。本計画では「幸福度」が最上位指標として置かれ、市民の幸福度向上につながる施策が展開される予定です。
今回は市の計画とMEGURUのビジョンにある「すこやか」との連動や、地域の人事部がかかわる事業領域についてディスカッションしました。
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<日時>
2024年5月29日(水)
19時30分から21時00分まで
<ファシリテーター>
・草野エリ(MEGURUマネージャー/シビック・イノベーション拠点スナバ/大門マルシェ代表)
<場所>
スナバ(塩尻市大門八番町1-28)
https://www.sunaba.org/
およびzoomでのオンライン参加あり
◆イベントレポート
今回のゲストスピーカーは、塩尻市役所 企画課 課長補佐の上間 匠さん。(以下、上間さん)
今日は塩尻市の計画について説明していく中で、「人口」と「幸福度」というテーマを指標に、上間さん自身が課題として感じている点などもお話ししていただけるとのこと。
ここからは、イベント内での上間さんのお話や、参加者からの声をまとめます。
•「第六次塩尻市総合計画」とは
市町村の「総合計画」。上間さんによると全国でも8〜9割は作成しているそうですが、塩尻市における「総合計画」とは、市が市民とともに目指す都市像(共通の目標)に対する期間別の戦略と実施計画についてまとめた、予算や活動の配分指針のこと。
今年からスタートした「第六次塩尻市総合計画」(以下、総合計画)で目指す都市像は
「多彩な暮らし、叶えるまち。ー田園都市しおじりー」。
その都市像を9年かけて実現するために行う3年ごとの戦略と、それをさらに細分化した施策がまとめられています。
▼総合計画の内容については、塩尻市の公式ホームページで詳細に記載されています。
総合計画の中では一番大事な指標として「ウェルビーイング」…身体的、精神的、社会的に良好な状態 が置かれ、これは各個人の「幸福感」と社会的な「暮らしの質」が互いに関連しながらつくられているという解釈がされています。
この「幸福感」や「暮らしの質」を計測する方法として、「幸福感」は市民幸福度の主観的評価が基準値以上であること、「暮らしの質」は総人口が65,000人以上であることが、指標として採用されています。
上間さんからここまで説明があったところで、参加者からの質問が。
例えば、MEGURUのビジョンには「すこやか」という言葉がありますが、企業に対して「会社をすこやかにしましょう」と言っても、ふわっとしていていまいち伝わりにくい。
同様に、「ウェルビーイング」という概念を導入する際、そう言った問題は起こらなかったのか?という質問でした。
上間さんの回答として、最初は人により異なる価値観を扱うことに対しての議論は起きたものの、あえてウェルビーイングという言葉を使わない表現で伝えると、理解がされやすかったとのことでした。
•総人口について
総合計画の成果指標のひとつである総人口の推計は、平均寿命、社会増減、出生率などの面から分解して行うのが統計的にオーソドックスな方法とのこと。
塩尻市の平均寿命は現在女性の方が高く、男女ともに上昇傾向。これから国政策としても健康寿命を伸ばす取り組みが行われ、結果として平均寿命もさらに伸びていくと推定されているそうです。
社会増減は住民の転入数と転出数の差を表すもので、これについて塩尻市は近年改善傾向にあり、近年20代男性はプラスになっている一方、20代女性はあまり定着できていない傾向が。
関連して出生率については減少傾向にあり、女性人口が減り男性の未婚率が上がっていること、第三子以降の出生率が低いことなどが課題となっています。
総人口のお話を受けてMEGURUからは、市として関係人口についてのデータは存在するのか、という質問がありました。
現状、市として関係人口の定義や基準が定まっていないためデータはないそうですが、今後MEGURUとの連携でうまくつくっていけたら、と上間さん。
関係人口チームはじめ、今後の施策をどのように打ち出し、計測していくかを考える上でとても参考になるところでした。
•幸福度指標の状況、めざす都市像
総合計画の成果指標のもうひとつ、「幸福度」。
塩尻市では毎年無作為で抽出した市民にアンケートで幸福度評価を依頼しており、令和4年の値の平均値は10点満点中6.77であったそうです。
このアンケート結果で特徴的なのが、20代の幸福度が最も低くなっていること。最低点(0点)をつけた割合も2.8%で世代トップでした。
上間さんは高校生へのワークショップ等を通じて、若い世代にとっては、いろいろな世代とのギャップを感じることなく自分たちで活躍、挑戦できる環境が非常に大事だと感じたといいます。
しかし、市の調査によると「地域にはどんな人の意見でも受け入れる地域がある」と思う市民の割合は16%程度とまだ少ないのが現状。
総合計画でめざす都市像として掲げられた「多彩な暮らし、叶えるまち。ー田園都市しおじりー」は、そんな多様性理解への課題感を踏まえたものになっているそうです。
ただ、行政として若い世代の活躍できる環境をつくったり、地域社会の障壁を取り除いていくことはできても、地域のことを自分ごととして捉えるオーナーシップの部分をどのように育てていくかという点には課題感があると上間さんは言います。
•ディスカッション
以上のことをテーマに上間さんと参加者のディスカッションが始まると、オーナーシップの醸成、そして塩尻市やMEGURUが目指すビジョンの実現のためには、多様なセクターが連携して一致団結していかなければならないことが改めて見えたという意見が続きます。
MEGURUのメンバーは、オーナーシップをどのように捉えているのか。関係人口チームの1人からは異なる視点の意見が上がりました。
越境体験による環境相対化がオーナーシップの醸成につながるのではないか。
地域にいる人は動かなくても関係人口が入ることで価値観が揺さぶられたり、自分が所属している組織とは違う場所に置かれることで、オーナーシップが生まれることがある。言われてみると確かに納得する意見でした。
さらに最近独立を経験した他の参加者は、自身の自立のきっかけが、「自分はこのままでいいのだろうか」という「危機感」だったと話していました。
こういった感覚を早い段階から身につけるにはどうしたらいいか、あるいは幼い頃から自分の考えや表現が認められる経験を積んできていると良いのでは、という意見が出る一方で、こんな意見も。
現状をポジティブに捉えて、幼い頃に限らず、幅広い世代に対してオーナーシップを獲得する機会を作っていけばいい。そうすれば、色々なチームが関わっていけるのではないか。
ディスカッション冒頭、塩尻市やMEGURUのビジョン実現のためには多様なセクターが連携して一致団結していくべきだと複数の参加者が発言していましたが、そこにつながり、さらに広がるような良い意見でした。
ここで時間が来てしまい、ディスカッションは惜しくもここまでとなりました。
•まとめ(クロージング)
上間さんにお話ししていただいた今日の内容ですが、「自分が所属するこんな部署、場所でも話して欲しい!」というような希望があればご対応いただけるそうです。
またそれをきっかけに色々な部署に繋げたり、市としても取り組みを広げていければとのこと。
市の掲げる「幸福度」の指標と、MEGURUのビジョンの中にある「すこやか」。表現こそ違いますが、目指すところは一致しているということを、改めて実感した1日でした。
❇︎なるみんの編集後記❇︎
レポートに「なるみんの編集後記」コーナーがほしい!
というまさかのご要望をいただいたので、これから各回、レポートを書いているなかで私自身が思ったこと、考えたことを残していきます。
ディスカッション中、エリーさんが何気なくこんな発言をしていました。
MEGURU歴も短く今回のような話題に疎い私は、正直これにいまいちピンと来ていませんでした。
「オーナーシップと幸福度ってつながるの?」
今更?という話なんだろうな〜と思いつつ今回レポートを書いているときに調べてみましたが、「オーナーシップ」と「幸福度」の相関を示すデータは見つかりませんでした。
しかし、「自己決定」が幸福度に強い影響を与えることを明らかにした研究(日本人を対象)が見つかりました。
通常「オーナーシップ」は当事者意識を持つ姿勢を意味しますが、MEGURUの会話でもよく取り上げられる「キャリアオーナーシップ」は"個人が生涯のキャリアにおいて「どうありたいか」を意識し、その実現に向けて主体的に行動すること"なので、これはまさに「自己決定」にあたり、幸福度とのつながりがあると考えられます。
なお研究の解説では、学生の進路選択と自己決定度の関係についても触れられています。
さらに同解説では、人の自己決定度を高めるためにはすべてを画一的に規則で縛ったり完全に放任するのではなく、「最小限の効果的な規則」が必要だと述べられており、大阪市の「学校安心ルール」が例示されていました。(詳細はリンク先へ)
これを見て思い出したのが、地元の横浜市で行われていたプレイパーク事業。
プレイパークは自分の責任で自由に遊ぶをモットーに、禁止事項を極力なくした野外の遊び場です。地域の方々が主体となり、横浜市の協力支援を受け市内各所で開催されているのですが、自分も子どもの頃ここで遊んでいました。
プレイパークには「プレイリーダー」という大人がいます。大きな事故が起きないように見守りながら、常に子どもと一緒になって自由な遊びを広げていく、プレイパークにとってなくてはならない存在。
私が通っていたプレイパークにも常にプレイリーダーのお兄さんがおり、子どもたちが遊びの主体となるようにサポートしてくれていました。そこでの日々は、すごく楽しかったのを覚えています。
今回の上間さんとのディスカッションの中で、オーナーシップを早いうちから持つには?という議題がありましたが、自分自身、子ども時代の「遊び」の段階からその感覚が芽生えていたかもしれないことがわかり驚きました。
また子どもの遊び場とは異なるフィールドにも、周りの人の自由な発想を受け入れ、サポートする「プレイリーダー」のような人が沢山居るといいのかもしれません。
少し話が広がりすぎてしまいましたが、今後MEGURUで色んな話をする中で、私自身がどうやって形成されてきたのか考える機会が沢山ありそうだなあ…と しみじみな日々を送っている、なるみんからの編集後記でした。
◆次回のイベントについて
7/5(金)地域の人事部全国フォーラム
今週末の7月5日(金)、地域の人事部全国フォーラムと題し、全国の地域の人事部関係者が塩尻市に集います。
参加にはチケットが必要です。詳細はリンク先をご覧ください。
現在全国各地から続々と参加の申し込みがあり、チケットは受付を終了しておりますが、オンラインやアーカイブ配信もありますので、みなさまぜひご参加ください!
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