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気功生活 Vol.143 〜2024.7.7


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自由に描き、
自在に叶う。

三本の柱 翠と平和の総会 天野泰司
特集 天人合一の境地へ3 〜禅密功の本質 劉漢文
夏の養生
子育て悠々記 最終回 あや
The Book of Life 6/186/27
東へ 吉田純子
配信講座・二十四の背骨
お知らせ


三本の柱

天野泰司

 今年は比較的ゆっくりな梅雨入りで、六月十六日に京都御苑の茶室・拾翠亭で開催した総会も、おだやかな天気に恵まれて素晴らしい集まりになりました。参加していただいたみなさん、準備に関わった方々、そして遠くから心を寄せて下さった会員のみなさん、本当にありがとうございました。

翠と平和

 「翠と平和の総会」と題された「翠」は拾翠亭にあやかったものですが、このタイトルの下地になったのは、25年ほど前に見て衝撃を受けた、一燈園小学校の学校案内「緑と平和の学校」です。
 当時、長女たまは小学一年。地元の公立が合わずにいた時、通っていたピッコロ保育園の先生から「こんな学校に行った子もありますよ」と伺って、すぐに見学に行きました。
 京都・山科の四宮駅から山手へ、琵琶湖疏水を越えると、緑に囲まれた一燈園の広い敷地の中に、小中高生が共に学ぶ小さな校舎がありました。子ども達と先生が迎えに来てくれて、娘は教室へ。すぐに輪に入って馴染み、私たちは校長室でお話を伺い、学校紹介のビデオを見て涙したのを覚えています。その後、父兄として度々学校行事に参加しながら、創設者・西田天香さんの平和の思想と生活にふれることになります。

争いのない生活

 天香さんが言う「争いのない生活」を突き詰めていくと「自然」ということにたどり着きます。自らのありようについて綴った短文「一事実」に、「世間一切の思想に対しても肯定を敢えてせず、又勿論否定もせず。唯思無邪にして任運法爾なるが如し。」とあります。良い、悪いという思想が様々な分断や争いを引き起こしているのだから、肯定も否定もなく、観念から自由になって、大自然の摂理や働きに任せるようにして生きる。
 そこまで徹底した姿勢で真の平和を求めたからこそ、天香さんが子弟のために創ったこの学校には、凛とした気持ちよさと同時に、和やかでいて活発な自然の空気が流れていました。
 そして2000年4月、たまは2年生に転入。気功協会設立のタイミングと偶然重なったこともあり、天香さんが貫いた「争いのない生活」は、気功協会の精神的支柱の一つとなりました。

茶会に秘められたもの

 今年の総会では、天香さんの「無一物中無尽蔵  有花 有月 有楼台」の掛軸、自筆の茶碗を床の間に。
 そして、一燈園で採れた茶葉を、一燈園で生まれ育った良文さんが製茶し、好日居の晴美さんがベトナムの蓮池で、蓮の蕾に詰めて一晩寝かし、香りをつけて持ち帰った蓮茶をいただきました。
 密教では「蓮」は慈悲の象徴。気功協会のもう一本の大きな柱、劉漢文さんの禅密功にちなんでの蓮。その中に一燈園が包まれて香りが溶け合う特別なお茶でした。
 禅密の源流は密教ですが、気功として公開されたことでいわゆる宗教色が消えて、自然を先生として心身の自由闊達な働きを学ぶ、シンプルでやさしい方法になりました。こうした自然な形で密教の真髄を平易に学べるというのは特筆に値することだと思います。
 禅密功については、連載「天人合一の境地へ」をご覧ください。

 そして、三本目の大きな柱は、人間の体の動き心の動きを徹底して観察して完成した、野口晴哉さんの整体。生命の自発性に即して、自らの生を十全に、楽々悠々と生ききること、いわば「全生」のための生活体育です。
 茶会では、蓮の実の芯、花、茎をお茶に、根を蓮根餅の茶菓として「蓮の全てをあますことなく味わう」という見事な組み合わせで整体を表現されました。

 三本の柱に共通する根っこは、「自然」ということ。人為によるコントロールを最小限にして、大自然の働きを敬い、自らの中にある自然性と天地宇宙の働きとが共鳴しながら、心の底から自由に、伸びやかに、はつらつと生きていくことです。
 整体というと体をポキポキと調整して正しくする、みたいに誤解されている方がありますが、むしろできるだけ余分な手を加えないようにすること、いかに調整しないかという方に重きがあります。

治療を捨て、体を育てる

 右に出るものがないと言われたほど、治療の名人だった晴哉さんにも大きな転機がありました。自分がおねしょを治した子どもたちを調べたら、共通して盗癖のような傾向があることを知り、治療を捨てて体育の道に進みます。そして、必要な時だけに、ちょうどよく必要な手助けができるように、背骨の観察を中心に緻密な身体観察の世界が広がっていきました。
 つまり、背骨には、体のことも心のことも生活の様子も全部現れてくる。背骨を自由にする禅密功は、整体という柱があることで、より大きく花開いていく可能性を秘めているのです。
 この禅密と整体の結びつきは、7月から11月、5回の配信講座
二十四の背骨」で、わかりやすく紹介します。禅密の基礎を深めながら、背骨と仲良くなり、心身両面の健康度を高めていく好機です。みなさんのお申し込みをお待ちしています。

 天香さんのやり方に倣って、総会の最初に、蔦町の事務所の鍵を、会員の代表として寿三さんにお預けし、最後にまた私たちに託していただきました。こうして一度手放すことで、「所有」の心から離れ、純粋に「預かりもの」としてこの場を生かす初心に還るためです。
 また今年は、多くの方から会費と一緒にご寄付をいただきました。本当にありがとうございます。
 昨年あたりから活動の原点を見直す機会が増え、気功協会に集まっている「やさしくて自然な気功」がどれだけ貴重で今の時代に必要なものかをひしひしと感じています。天香さん的に言えば、この気功も「本来誰のものでもなく、すべて全体のもの」。だからこそ社会全体に気功の真の姿を知ってもらい、必要とする人の元へ届けていくことが大切だといえるでしょう。これからがいわば気功の開花時期。共に心を集めて育て、大きく花開かせていきましょう。

https://npo-kikou.com


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