基礎教育「読む」
「読み取る=分析」
最近のテレビにネットゲームのコマーシャルが頻繁に出てきます。ある見識者は、「年齢を問わずネットゲームに興じる人々が増加し、我が国の未来は大丈夫だろうか」と嘆いています。商業活動の自由は保障されなければならないものです。しかし、今でもネットゲーム高額課金のトラブルが「コンプガチャ」規制後も減らず 中学生で24万円も請求されるなど問題解決に到っていません。問題認識ができない小中学生では、違法性が問われている以上、業界内で規制を強化する事が先決でしょう。ゲーム各社、運用各社は、利益優先だけでなく商業行為の自由を訴えるには、自ら規制に動くべきだと思います。
「読む」という学習には5つの「読む」があると申し上げてきました。ネットゲームにおける問題も同様です。そのシステムや現状から問題点を「読み取る」ことができます。現在、世界的にICTの時代であることはご承知の通りです。様々な情報が飛び交う中、如何にそれらを選択し、活用かつ運用をしていくか、最終的には自身の知識と能力にかかってきます。情報は文字だけとは限りません。勿論、学習という中でも同じです。文字の他には、グラフ、表、図形、写真、絵画、場合によっては、音楽やリズムなど、目には見えないものも存在します。抽象的なものから如何に具体的なものへと変換させ、思考するか。そこには「分析」という力が必要になってきます。
表やグラフからは、変化、異常、安定等を読み取ることができます。それを分析し予測や仮設を立てていきます。分析とは、思考の繰り返しを意味します。このように、抽象的にまとめられた情報から現状を「読み取る」、これが第三の「読む」です。この読むは、国語だけではなく、算数、数学、理科、社会という各教科に共通したものであり、先々では医療の世界でも通じる力でしょう。電子化された医療機器から何を読み取るのか、私達は、知らず知らず第三の「読む」という力を使っています。政権交代後の株価の変動、外国為替の変動はまさにそれです。今の教育界で、どれだけ「読む」という事に力を注いでいるのか、このままでは、先のネットゲーム問題ではないですが、我が国の子ども達に対する知的損害は莫大な数値となるのではないでしょうか。これが、問題点から得た情報の読みより、分析の結果です。
2013/1/6
著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫