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イメージと思考力

「算数教育に足りないもの」

中学生の夏期講習でタイルを使った。復習として「文字式」「1次関数のグラフ」「式の展開」等で大活躍した。同時に使用したのが「マス目くん」で、マス目そのものをタイルに見立てる指導や、グラフ用紙として使用する。算数や数学指導ではできる限り具体的な思考を大事にしている。ことばだけで指導するのではなく、実際に動かしたり、作ったりすることが大切だからだ。

 天災と人災が重なった痛ましい事故であり事件だ。無理な宅地造成、無理な開発、今もなお続く危険な状態に、被害に遭われた方々は、これからの生活を考える夜も眠れぬ日が続く。果たして、この事故は想定できる範囲であったのだろうか。

よく受験指導の際に、「解法のテクニック」として、考えずに覚え込まされた数字がある。今でも使われている。

  • 25×4=100

  • 125×8=1000

中学の受験問題で良く出てくる計算で、この応用が出てくる。
例えば、「125×0.28×0.8=」などで、5秒もあれば28という答えが出てくる。これとは反対に、思考力を重視した問題もある。様々な考え方、見方を駆使し、仮説を立てる。算数や、数学ではそれが式に当たる。ところが、この式を大切にしない子どもが多い。答えを出す事だけに集中し、どのように考えたのか式がないので検証できない。「答えはわかるが式が解らない。」と応える子どもも多い。

立式ができないと言う事は、問題解決の解法手順が理解されていないことを意味している。具体から抽象へと導かれる算数指導にどこか指導上の問題が生じているのだろう。問題解決には、基本的な三者関係が存在する。問題の殆どに、こうした数量の関係がある。

  • 足される数+足す数=全部の数

  • 惹かれる数-引く数=残った数/違いの数

  • 一当たりの数×いくつ分の数=全部の数

  • 全部の数÷(一当たりの数/いくつ分の数)=(一当たりの数/いくつ分の数)

こうした関係を表すには、具体的な表現が必要だ。しかし、この過程で数字だけの操作をしてしまうと、問題全体のイメージが掴みにくい。この段階で、タイルを使用すると、様々な問題に対応ができてくる。増えるイメージの足し算(合併・増加・添加)、減るイメージや残るイメージの引き算(求残・求差・求補・求大・求小)、まとまって増えるイメージや倍概念の掛け算、分けるイメージの割り算(等分除・包含除)、これら計算にはそれぞれに意味があり、当然だが具体的イメージを持っている。中学生の式の展開と因数分解で使ったタイル図は、2桁の掛け算で使ったタイル図だ。1次関数ではタイルの使用で具体的な指導が可能となった。

子ども達は多くの疑問を感じて欲しいと思う。その疑問に対し具体的説明を行う。その際に、半抽象化されたタイルが役に立つ。タイルを常に使い、見ていると、テープ図や数直線に見えてくる事もある。だからとても理解しやすくなる。

算数や数学の指導分野で足りないのは、専門用語の説明指導と、具体物の使用による指導だと思う。そして、更に重要な事が「立式」への指導だろう。式を立てる際の手順をしっかり学ぶ必要があり、指導する必要がある。そこに思考が働く。

タイル算数の続編を望む声が強く、大変嬉しく思う。同時に、算数指導の具体化から抽象化への橋渡しとして、タイル指導が子ども達の思考とイメージ化繋がることが嬉しい。次のタイル算数は「引き算編」となる。基礎編となる「足し算」指導に続く内容になる。

2014/8/25


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川先生監修!

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