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ヘッドスタート


系統性

プリンスジュニア二子玉川教室のブログに、かけ算の問題についての記述がありました。かけ算は、小学2年生で習う学習です。かけ算=かけ算九九ということが定着していますが、ブログに書かれている通り、「一あたりの数」と「いくつ分」のとらえ方が出来ていなければ意味がありません。そして、このとらえ方は、3年生で習う割り算へと受け継がれて行くことになります。更には「割合」の基本的な考え方へと発展していくのです。

以前、ある塾からのご質問につぎのようなものがありました。
「縦の長さが4cm、横の長さが5cmの面積を求めなさい。」と「縦の長さが4cm、横の長さが5cmの長方形の周りの長さを求めなさい。」という問題の区別が付かない。どのように指導するべきかというご質問でした。

一般的に、1年生の後半あたりから、算数授業の中では具体的操作や視覚認知出来る指導が少なくなります。主流は黒板を使用しての数字中心の授業展開です。この場合、数字を黒板に書いて説明している、これは目に入るのは具体物ではないので、量の認識などは難しいと思われ視覚認知的効果は薄いでしょう。つまり、次第に数字だけの学習へと様変わりしていくのです。ことばや、文章からイメージができれば良いのですが、それが出来ません。例えば、先ほどの質問ですが、面積と周りの長さ、この比較は図に示したように、タイルと線で表現すると一目瞭然です。

二子玉川教室のブログにあるかけ算問題も、図で表現すると、一つの法則性に辿り着きます。幼児から学んできた数の学習、数字へ辿り着くまで、実に様々な具体的指導が繰り返され、更に、数字と具体物の間にタイルを組み込むことによって展開される、先の学年まで視野に入れた数指導は他に類がありません。これから登場する多様な考え方を必要とする文章問題は、その基本を文字の式に置いています。かけ算の「1あたりの数×いくつ分=全部の数」という文字の式はその典型と言えます。

文章からイメージする大切さ、子ども達の想像力は具体的体験や具体的操作を持ってして初めて可能となります。いくら多くのことばを介し説明しても、具体性の伴わないイメージ作りは不可能でしょう。ましてや基礎教育期に於いて、数字だけの解説など殆ど意味がありません。ヘッドスタートから、子ども達は系統性を持った学習指導を受けるべきです。幼児教室、小学校、中学校と、ぶつ切りの指導法が主流の教育界です。教育方針も大切なことですが、子ども達にとって、学ぶ為の理論や指導法の系統性は、教育方針と同等かそれ以上に大切なことではないでしょうか。

幼い子ども達を相手の教室に対する見方に、心ない大人達は人受けするパフォーマンスを要求します。実に悲しい事です。真摯に教育を捉え指導している教室の真価こそ伝えるべきでしょう。何を選択すべきか、私達はもっと賢くならなければなりません。子ども達の将来がかかっているのですから。

2012/11/30


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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