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算数ができない

「引き算が苦手」

子ども達の苦手な計算に引き算があります。素過程と呼ばれる基礎計算は、加減乗除各100問ずつあります。計算は、0~9の数字の組み合わせが基本となっています。これは、加減乗除全てに共通しています。そして、足し算・引き算・かけ算・割り算と系統性を持って段階的に学習していきます。ただ、このように計算を分析して指導を行っている学習教室は少ないはずです。

算数の指導法は様々です。有名な「公文式」は皆さん良くご存じの指導法です。計算練習という点では、この公文式は大変優れています。段階的にステップアップ出来るからです。しかし、その公文式でも全てにオールマイティーではありません。具体物の指導が伴わないため、応用問題まで思考が導かれないようです。また、低学年から指を使って計算(?)をしている子どもも数多く見かけます。ここが大切なのですが、指を使い答えを求めることを計算とは言いません。「数える」という方法になります。ですから、2+7と7+2、数字をひっくり返しただけの計算ですが、圧倒的に2+7でミスが多発します。数え間違いを起こすからです。安易に、指を使った計算指導(?)を行うと、その後の計算指導にまで悪影響を及ぼしてしまいます。

引き算が苦手な子は、小学1年生から出始めます。基礎計算の前の準備段階をしっかりしていないと、引き算で躓き始めます。なぜ、幼児からタイルを使い指導するのでしょうか。それは、数字だけではイメージできない数を量として体感すること、そして、タイルを自由自在に分けたり、くっつけたり、数の合成分解が遊び感覚で学べるようにしたからです。ここで養う数の量感覚、多少比較、合成分解、イメージ処理は、その後の足し算指導に活かされます。引き算の苦手な子は、少なくとも足し算の計算練習をしっかりするべきです。それは、学校の学習時間では足りません。また、先ほど述べたように、指を使っての計算を主としていると、足し算の計算練習をしても学習効果は殆ど期待できません。

私の教室では、必ず素過程の基礎計算を入塾時に行います。この計算問題で算数に関する子どもの弱点が解ります。引き算が苦手である場合、かけ算九九も不確かです。そして、基本の足し算もケアレスミスが目立つはずです。また、いつも申し上げますが、「0」に関する計算で間違います。10歳を超えてくると、概念の固定化が見られます。例えば、0+3=3、0-3=3、0×3=3、0÷3=3 のような固定概念の固定化の連鎖です。何度注意しても直らないケアレスミス、10歳を超えるとケアレスミスが定着するというのは、このような概念の固定化と、基礎学習はいつでも見直せるという安易な考えによる学習姿勢がもたらした結果です。

素過程は加減乗除計400題あります。100マス計算が一時流行りましたが、私の推奨する計算は、あくまでも基礎計算です。計算は、数字だけで指導すれば非常に機械的作業ですが、タイル指導を挟むことで、数を具体的にイメージ出来るようになります。イメージは、応用問題や図形学習、そしてタイル指導がその力を発揮する、面積や体積に活かされていきます。子ども達が問題をイメージ出来ない。それは、数のイメージ化に関する指導をしてこなかったからです。100マス計算をすれば計算力がつく、であれば、タイル指導を組み込み、素過程計算を改めて履修するとどうなるでしょう。現在、夏期講習まっただ中です。中2の数学、1次関数指導で定番のタイルを使用しました。すると、課題のプリントを楽しくこなしていきます。生徒曰く、「わかる、できる、だから楽しい」だそうです。計算問題を侮ってはいけません。1+1から始まる基礎計算ですが、合計400問をどのくらいの時間で出来るのか、指を使っていると時間ばかりがたってしまいます。この計算は当然ながら中学生も必須のものです。「引き算が出来ない」ここから算数嫌いが始まります。

「教材開発部より」
ひらがな練習帳「単語編」と共に、素過程400問の計算練習帳も近日発売いたします。ご期待下さい。

2013/8/1


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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