本物の指導
「簡単なことができない」
大中小のサイズで構成されている「マス目くん」単純な教材なのですが、これが幼児から中学生にまで使える優れものなのです。教材はシンプルなものがいいとよく言われますがその通りだと思います。このマス目くん、タイル、筆算、小数、単位換算、図形、面積、グラフ等々、工夫すれば数多くの使い方があります。そして、今春プリンスジュニア成城教室でこのマス目くんを使った特別指導が行われました。その指導に保護者の方達から驚きと感動の声が上がったと聞いています。
今日は、塾部門の先生方に対する研修を行っていました。その中で、最近のできないことの特徴、現状をお話し頂きました。すると、かけ算九九ができない、筆算ができない、小数計算ができない、集中して取り組むことができない、指定された位置に文字が書けない(はみ出す)という報告が上がってきました。これらの大半は基礎教育の時期と重なります。平成に入り、今まで以上に簡単なことへの軽視が目立つようになってきました。「そんなこと」と思われる内容のことです。枠の中に文字を書けない中学生、例えば幼児だからできなくてもいいと考えるのか、幼児だから書けるように指導すべきと考えるのかと言う選択になります。この中学生は、幼児期に適切な指導を受けてこなかったのでしょう。今回、成城教室は後者を選択し講習を行いました。何故なら、幼児教室で最初に「感覚教育」を柱の一つとしてとらえた自負があるからです。マス目くんの線をなぞる、誰もが簡単にできると考えるでしょう。しかし、これができません。この段階で、プリンスジュニアの教育論が功を奏します。分析と総合がそれです。マスをなぞれない原因はどこにあるのか、感覚教育を教育の柱とした先生方であれば「あっ!」と思い当たるはずです。勿論、講習はこれらを想定して行われたはずです。
原因は指先にあります。私たちの神経は頭部と指先に集中しています。脳だけ鍛えていても指先は様々なものを作り出す大切なものです。予てより、指先の大切さを訴えているのでその指導はお手のものでしょう。指先に与えられた刺激こそ知的刺激と言えます。なぜなら、その指先から文字や図形が描かれるからです。バランス教育とはこのような指導を指しています。それが本物の幼児教育のプロが行うと、驚きの結果となるのです。
当初、マス目を上手になぞれなかった子ども達が、丁寧に書けるようになったのです。保護者の方々も驚かれたことでしょう。
簡単なことを軽視する傾向はまだ続いています。それが高学年や中学生になって表面化してきます。実は、その手前で既に現れていたはずです。基礎教育の軽視は、その後の学習と大きく関わってきますので、よりよい環境で学習されることをお薦めします。プリンスジュニアの感覚教育は、フィジカルトレーニング、イメージトレーニングとして指導されます。指先訓練という領域を超えた指導は、子育て中のお母さん方にとって目から鱗の指導となるでしょう。
幼児教育でも、今回のプリンスジュニア成城教室が行った指導こそ本物志向が高まっている教育界に新たな風を送り込むことになるでしょう。
2013/4/10
著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫