いつから通いますか?
「気付き始めてきた保護者!」
我が国の義務教育は満6歳から始まります。何故6歳なのか、それは、子ども達が学習に適した年齢になるのが6歳だからでしょうか。
義務教育の開始年齢と、学習に適した年齢は必ずしもシンクロしません。では、何故6歳からかと言えば、子ども達が一人で学校まで通学できる年齢だからです。義務教育の基本は、一人で通学できる事が前提なのです。世界を見ても、殆ど6歳前後から義務教育が始まっています。
幼稚園や保育園が義務化されないのはこの為です。そして、当然ながら6歳までの教育に関しては保護者側に任されています。小学1年生で大きく学力差が生じているのはこの為です。幼児期の文字・数について必要ないと保護者が考えれば、子ども達は小学校から初めて文字や数について学習する事になります。ところが、ここで大きな問題が生じてしまいます。
現行の義務教育では、入学までに文字や数について読み書きできることが半ば前提となっています。子ども達が使用する教科書自体が文字で表現されているからです。ひらがなの読み書きも、家庭学習を充実させなければ、学校の授業についていけなくなるでしょう。学習教室に通わせる年齢には、保護者側の意識や経験が左右されます。それは、第一子の関わり方で変わります。最初から学習の大切さを意識されている保護者と、そうでない保護者とでは、第一子と、第二子の扱いに違いが出るのです。比較的、第二子が低い年齢から学習教室に通う率は高いようです。それは、第一子の経験から判断されるからです。
中高生が、こと学習で悩んでいるのは基礎計算です。特に、引き算・かけ算・割り算が苦手だという子はかなりの数に上ります。また、漢字の読み書きができないという子の割合も高く、自分には記憶力や集中力も無いと嘆きます。彼らが異口同音に口にするのは、「小学生の頃まじめに勉強していれば良かった」です。それは、小学1年生から3年生を指しています。大学生や高校生になってかけ算九九を習い直す、ここ最近の傾向です。これは、小学2年生の学習です。第一子が高学年になって、低学年の学習が大切だと気付かれた保護者の場合、第二子を早くから学習教室に通わせる傾向があるのは、このような経験があるからでしょう。
以前は幼児教育や小学生低学年指導に対する関心は低く、特殊な見方をされていました。しかし、最近ではそこにある変化が生じ始めています。「少なくとも小学3年生までに学習教室に通い始めるべきだ」、という保護者の考えが、3割から5割近くまで上がってきているのです。
指導要領の改訂、教科書の大幅改訂に伴い、義務教育の学習量は大幅に増大しました。質の向上も含め、学習を積み重ねていかなければ、どんどん授業から遅れていきます。教育現場以上に保護者側が危機感を募らせているのかも知れません。
10月6日、プリンスジュニア成城教室(今後、プリンスジュニアの各教室行われます)で行われるセミナーで、「ここまで広がる学力差」として話をさせて頂きますが、表を見てもお解りのように、小学校1年生の時点の語彙数の差は、評価1と評価5ので5000語であったのが、3年生では12000語に差が大きく広がっています。低学年指導、学習を甘く見てはいけません。この程度ならいつでも挽回できると思っている内に、思考力の源である語彙数の差は開く一方なのです。例え評価が3であっても語彙数の差は10000に近い数字となります。これでは、考える力も、語彙数に比例しますから、思考力を高めることも難しくなります。
「思考、思考と言っているが知識も大事ではないか」とよくお叱りを受けます。その通りです。知識は大事です。しかし、知識だけでは新しいのものは生まれてきません。コンピュータは人間以上に多くの知識を保持しています。しかし、コンピュータは新しい知識を生み出すことはできません。それは、思考から生まれます。様々な視点で思い、悩み、考える、こうした一見無駄に見える知的行為が思考です。その為、常に考える癖や、興味、関心を持つことがこれからの基礎指導の役目だと思います。その為にも、幼い内から必要と思われる語彙数を獲得する努力が必要ではないでしょうか。(中京地区では、西塾主催で来年2月23日(日)に講演会が行われます)
2013/9/19
著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫