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これからの教育

「保護者の考え方」

今年から、義務教育の指導内容は大幅増加となった。この事から幾つかの事を推測しておかなければならない。少なくとも、保護者側で論理的思考が必要となった。指導内容の増加は、子ども達の理解力の増加に比例しない。また、1日の時間は24時間であることに変わりはない。この当たり前の事を前提としておく。

指導単元は、どのくらいの頻度で変わるだろうか。週毎か、あるいは、週の中で変わる事も考えられる。これが、国語、算数、理科、社会、(生活科)となる。ゆとり教育前の「詰め込み教育」を創造してしまう程だ。

これらから考えられる事は、授業をしっかり聞く事の出来ない子は、多くの学習内容を積み残していく事になるという見方だ。例えば、割り算、この計算は、基本にかけ算、足し算、引き算の理解が必要になる。この中の一部でも積み残しがあると、割り算は出来なくなる。理数系の大学で、足し算の筆算から履修し直されるというニュースが流れたことがある。学生達の基礎学力は確実に落ちている。ただし、この時代は「ゆとり教育時代」である。今日のように、教育現場の急激な変化に、生徒も先生も同じように変化できるとは考えられない。しかし、既にスタートが切られているのだ。

義務教育の最初である小学1年生を考えてみる。入学前までに必要な学力とは何であろうか。小学1年生の夏休みを既に経験された保護者もいるだろう。何と、日記、作文、読書感想文まで宿題に出された小学校がある。ひらがなすら読む事がやっとという子どもに取っては絶望的なものだ。小学校の先生には、その間の子ども達を知らない。ある一定の基準を持って授業を行う。これはある意味当然のことだ。では、小学1年生が、入学後3ヶ月半あまりの時間で、ひらがなの読み書き、文章表現が可能となるのだろうか。どんな優秀な先生が臨んでも難しいだろう。まだ小学1年生で有りながら、ここに来て大きな差が生じてしまう。

小学1年生を持つ保護者の中には、小学校では遅すぎるという感想を持った方は多い。「幼児期の過ごし方が大切です」、という幼児教室のことばが現実味を帯びてくる。この夏、多くの保護者の方々が体験された、新指導要領のスタートにまつわる現実の話だ。変化する教育内容と、進度は、高校受験にも影響を与え始めている。今までとどこかが違う。未経験の中学3年生ですら感じ始めている。保護者の見方と、実際に学校に行って感じている子ども達の間に、新指導要領に対する感覚のズレが生じ始めている。保護者としてどう対応するか、今後の課題となる出来事だ。

2012/9/7


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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