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入学前の準備

「子どもに必要な学習」

社会環境の変化、子育ての変化、子ども達の育つ環境変化は、彼らの知的能力、精神面、身体運動面等、様々なところで悪影響を及ぼしています。以前、テレビの取材で、これからの教育の中で「発達障がい」が問題視されるだろうとお話しをしました。それも、子どもだけではなく大人も含まれるという事もお伝えしました。少しずつマスコミでも取り上げられ始めています。

私達がこの間伝え続けてきた「感覚統合」、さらに、人の知性を支える「8つの知性」。この教育は、子ども達の10年先を見据えています。だから、今すぐに効果は出ないかも知れません。即効性のある教育は、子どもに過重な負担がかかり、真の実力とはならないでしょう。教育とは、子どものために、責任感のある大人達が行う仕事です。それを人々は聖職と呼んでいました。子ども達に授ける最初の指導、それが「言語」です。言語的知性、まず最初に上げられる知性でしょう。この先生は「お母さん」です。次に授ける指導が「数」です。これを「論理数学的知性」と言います。覚えたことばを、論理的に組み立て、思考筋道を形成していきます。ここで、思考力と集中力、更に「記憶力」を育んで行きます。

一日の時間の流れ、起床就寝の時間、園が始まる時刻、学習や仕事に関する時間経過等の把握、過去に遡ったり、未来を見据えたり、これらの知性を「時間的知性」と呼びます。同時に待ち合わせの時刻と場所、外出の際にもこの知性は活かされ、それは「社会的知性」にも通じてきます。手伝い、お使い、交通機関の利用、マナーなどはこの「社会的知性」の範囲となります。この知性、お父さんの影響力は大でしょう。

一日の生活リズム、音楽的リズム、楽器演奏、歌唱などは「音楽リズム的知性」です。身体バランス、運動、平衡感覚、回転感覚、逆さ感覚、速度感覚は「身体運動的知性」です。戸外での運動、サッカーや野球、ボール投げ、家だけでない様々な空間での生活や活動、これらを小さくまとめたパズル、積み木等は「空間的知性」です。遊びの大切さがここで浮き彫りされます。遊び=ゲーム機では困ります。

物を見て描く、ものを作る、色彩を感じる、絵を見て感じるこれらの知性を育む「絵画造形的知性」。あの殴り書きでさえ、知性の高まりなのです。絵を描くと言うことは、人間でなければ出来ません。如何でしょうか。私達の知性は、この様に幾つかに細分化され、それぞれが組み合わされ「知性」として独自の発達をしていきます。

ある方が、私達の考えるこの基礎教育について「この教育はまねできない」と仰いました。単純に頭がよい子を育てると言っても、私達の脳は複雑です。また、脳が持つ癖もあります。これは「本能」と言えるものです。人が生まれてからの指導を司る基礎教育は、子ども達の今を見て、その先を考えてあげなければなりません。子どもが小学校に入学するまで、彼らの知性はどこまで高められているのか、この指導のバランスが極端に崩れていくと、「発達障がい」と呼ばれる症状を見せることがあります。「発達障がい」と簡単に決めつけないで、この8つの知性を育てる努力も必要なのではないでしょうか。

教育に於いて、子どもの可能性を信じてあげる事が何より優先されるべきですが、その手前で、この様な分析が必要だと思います。そして、分析後、問題点を整理して総合的な指導を行うこと、彼らの知識の枠組みをしっかりと作り上げることが教育者の努めだと思います。勿論、保護者の方々の力が一番であると言うことは言うまでもありません。

2012/12/26


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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