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空間認知能力

「認識・判断・記憶・思考は…」

今週は、毎日寝不足で悩んでいる人が多いのではないだろうか。男子水泳の北島康介さんは残念だったが、闘いを終えた後、まるで世代交代を告げるように、プールの中で固い握手をしていたシーンがとても印象的だった。メダルには届かなかったが、それでも4位という成績は立派なものだと思う。これまで手にしてきた金メダルの重さが伝わって来た。人は年をとる、いつしか自分を越えてくる若者が出てくる。爽やかであり、スポーツの厳しさも感じさせる名シーンであった。

アスリートにとって身体能力と同じに大切なものが「空間認知能」だ。空間認知能とは、その名の通り、私達の身の回りの空間、形、ものの位置などを認識する能力だ。空間認知能には時空間も含まれる。

待ち合わせの時間までの長さをイメージするという、時空を把握する能力も空間認知能と言える。幼児教育でもよく取り上げられる空間認知能は、特別な能力と見られがちだがそうではない。実は、物事の認識や判断、更には思考や記憶にまで影響を及ぼすことになる。最近、増加傾向にある「発達障害」は、人間の知性である、空間的知性と身体運動的知性に関わっていることが多い。例えば、ボール投げ、ボールの的当てなどの軽度な運動であっても、「投げる」という運動機能に対して、的までの距離認識(目測)である空間認知が備わっていないとできない。これは、練習を積めば次第にできるようになる。平成の子は、外で遊ぶことが少ない。ボール投げもできそうでできない環境にある。「絵本読み」の活動と同じように、プリンスジュニアで取り組んでいるのが、空間認知能を高める指導だ。プリンスジュニアの成城教室では、新感覚教育の一貫として、「ボールの的当て」以外にも多くの指導に取り組んでいる。結果、次第に子ども達はバランスのとれた身体に成長している。パズルや積み木、タイル指導も、空間認知能に関する指導と言って良い。

広い場所だけでなく、教室のような空間でも、この空間認知能は高められる。そして、その指導が感覚教育という枠組みで行われる事によって、運動、空間、言語、記憶、理解、論理的思考へと繋がり、豊かな教育的指導として展開される。姿勢の矯正も同じ事が言える。プリンスジュニアに通う子の姿勢が良くなってきたという評判を聞いた。それは、先生方のリズムやテンポと独自のフラッシュカード技術によるものだろう。幼児期姿勢の悪い子は、正しく見ること、聞く事ができない。幼児教室によっては、寝転がって先生の話しを聞いていたり(?)、カードを見ている所もある。驚きである。この状態で、正しい教育などできない。実は、子どもが寝転がっている時点で、その指導は全く意味のないものとなっている。何故なら、子ども達が興味関心を示していないからだ。つまり、面白くないのだ。子ども達の当たり前の反応に気付かなければ教育的指導は成立しない。ただ、子ども自身に問題を抱えている場合もあり、今後の子育てについて、保護者と話し合う事も大切だ。もし、子どもがそのような状況になったら授業の流れを変えるべきである。

姿勢は、全てのスポーツに共通する重要課題である。子どもの成長発達にも関係する姿勢は、平衡感覚を保つ上でも重要な指導である。姿勢の悪い子に平衡感覚の悪い子が多いからだ。平衡感覚は、空間認知能の中の機能でもある。姿勢の悪い子は、一様に落ち着きがない、集中できない等の症状を見せる。ことばの教育、かず指導による論理性、そして、第三の指導が知覚面に於ける「空間認知能」の指導になる。人としての基礎を司る幼児期だからこそ、しっかりと教育的指導の柱を見つめていかなければならない。ことば・かず・タイル・音楽・絵本・空間認知と、子どものためのパズルのピースが揃ってきた。

2012/8/3


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫


石川教育研究所 代表 石川 幸夫


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