子どもはこうして育っていく
「約束は大切なもの」独り言
「学ぶ」は「まねる」ということばが変化したものと言われている。文字など、書写を通し真似て覚える典型だろう。正しく丁寧な文字を写していくと、次第にその文字の形が身について行く。見るという行為は、脳の中で映像として記憶される。記憶された文字の通り、手先指先の神経に脳から指令が送られ、美しく丁寧な文字を書く。こうして神経の配線が発達する。
子どもの使うことばが大きく変化してきている。話し言葉に男女の区別がなくなって来て久しい。それまであった女性のことばが減少し、男言葉に変わってきた。間違いなく、子ども達が手本とした身近な大人が存在する。「友達の影響がある」とも言えるが、その友達が幼い頃から真似た手本が必ずある。手本は間違いなく大人達だ。それも身近な人達、つまり親(保護者)と言える。
多感な少年期は、様々な刺激から未来に向けた夢を持ち始める。幼児でも、小学生でも、自分の将来に繋がるかも知れない一つの夢を見るとき、必ず周囲に共感してくれる「人」がいる。自分の考えを認めてくれる「人」がいる。それは、父親であったり、母親であったりもする。幼児期は解くに両親からの影響を受けるだろう。我が家の子ども達、と言っても全員成人しているが、幼い頃から福島県喜多方市にある奥さんの実家に帰り、毎晩のように外に出て星を眺めていた。それも川の字に寝っ転がって。すると、幾つもの流れ星を発見する。天体望遠鏡も持ち込んだが、やはり流れ星が良い。この時間、私達家族は皆同じ時間を共有していた。そして、私の知りうる知識から星について語ったり、星座の話しをした。皆、星空の美しさ、神秘的な存在に共感した。この時の感覚は、子ども達が成人した今でも変わらない。今年こそ、天候不順で一日しか見る事ができなかったが、それでも家族全員と田舎の祖父母で夜空を眺めた。
子どものウソをたしなめる、「ウソをついてはいけない」と。しかし、最近では、親が堂々とウソをつく時代になった。それもお金を払ってまでウソをつく。それは、そのまま子どもに向けられる。「ウソをつくように」と。他人に、コンクールやコンテストに入賞できる作品を、金品を使って頼み、それを子どもの作品として提出する。これは、社会の常識に照らし合わせると「詐欺」という立派な犯罪になる。「詐欺」という犯罪を子どもに教えるために金品を使ったとは思えない。子どもに犯罪の片棒を担がせていることに気がつかないのだろうか。テレビでも伝えられたこれらのことが事実であれば、子ども達の将来が予測出来る。ここに上げた問題は夏休みの「宿題代行」だ。代行業者にも問題はある。しかし、安易にこうした業者に頼る親の考え方に疑問を感じる。また、この間宿題をしなかった子どもの資質も問われてしまう。どちらにしても、親子がそれぞれ承知して宿題を代行して貰うことに苦言を呈さねばならないだろう。
「いっそのこと、夏休みを廃止してはどうか。」という見方をする人もいる。最近ではエアコンの効いた教室は珍しくない。宿題の代わりに学校で授業をしたほうが学力も上がるだろう。授業時間も大幅に確保できるという理由からだ。昔から、夏休みの宿題のあり方が問題になる。暑くて学習どころではない、だから休みにすると当時先生から聞いた。では、何故多くの宿題を出すのか?私自身小学校の頃疑問に思っていた。今ひとつ夏休みの目的がはっきりしない。今後宿題のあり方、内容、量については学校として再検討が必要なのかもしれない。
また、宿題代行への依頼が分かった時、どう対応すべきかも考えておく必要があるだろう。絵画や作文などが公の成績評価に繋がるとした場合、この問題を放っておくわけにはいかないだろう。保護者への注意喚起を促す必要もある。新学期開始から先生方は対応に追われるのかも知れない。
しかし、宿題が大変だからと言って、子どもにウソをつかせてはいけない。ウソをつかせるだけではない。人を騙すことを親が直接指導することになる。感想文や絵画に注文をつけ、入選レベル仕上げるという行為は詐欺になる。金品も絡むことから、事は寄り重大だ。これでは、子どもに正論を論じられない親となるだろう。
我が子のことで恥をかくことがある。子どもが幼い内は良い、しかし、子どもが成長し思春期を迎え、そして成人となる。子どもが大きくなってからかく恥は、場合によって犯罪、そして刑事事件に関連する事がある。こうなるとお金では解決できない。間違った教育の代償は親子で支払うことになる。
子どもは忙しいという。忙しい原因とは何か?その中で、学校の宿題ができないのは「受験の為」という言い訳がある。それならば、受験勉強をした結果を正々堂々先生に提出すればいい。誰よりも学習したはずなのだから。決してウソをつかせ、お金を払い人を騙す必要などないはずだ。こうした背景に、子どもをどのように育てたいのか、親の心に不安を感じる。
子どもは、親に似る。宿題については、先生と子どもとの間で約束がある。提出期限や題の確認、そして、自分で行う事等。約束は大切だ。約束は社会に出ると会社間で「契約」ということばに変わる。また、広く社会や生活面では「法律」となる。
子育ての商業化が目立ち始めてきた。子育てに於いて「親の責任」が問われているのではないだろうか。今回の「宿題代行」、論ずることもはばかられる。論ずる以前の問題だろう。
2014/8/27
著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫
石川先生監修!
幼児教室・学習塾のキッズスクールアップル富ヶ谷
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