ある男の子と、お母さんの話
この前の休みに、公園にサイクリングしに行ったときのこと。
自転車を降りて公園のまわりを歩いていたら、
通りかかった駐車場の入り口を、5歳くらいの男の子が歩いているのが見えた。
その子は長めの枝をもって、
植わっている木をつんつん触ったり、土を触ったりうろうろしていた。特にかわった様子もなくて、だれかを待ってるのかな、という感じ。
私がちょうどその子の横を通り過ぎるくらいのとき、
遠くから「ゆうた!!!」というお母さんの叫び声が聞こえてきた。
その子に近づいてくるそのお母さんの迫力がすごかったので、
「あ、あの子お母さんとはぐれちゃってたんだ、これは怒られるな・・・」と思っていたら
お母さんはその子にかけよって、力いっぱい抱きついて、
「ゆうくんがいなくなっちゃったかとおもったー!!!」と
子供みたいに、大声で泣き出した。
思いがけないことだったのと、
お母さんが本当に心配でいっぱいいっぱいだったことが一瞬で伝わってきて、なんだか急に、こっちまで泣きそうになった。
お母さんはきっと、その子をおなかに授かってから今日までずっと、
危ない目にあわないように、病気にならないように、事故にあわないように、事件に巻き込まれないように、
家でも外でも常に神経を張り巡らして守ってきたんだろう。
私は親になったことがないから、子供への感情は本当の意味ではわからないけれど、自分の家族や彼氏や友達、今までかかわってきた人たちが確実に、文字どおり「かげがえのないもの」であるから、どれだけ大事なものかはわかる。
いくらケンカしても、その時本当に「嫌い!」と思っても、別れた恋人でも、仲が悪くなってしまった親族でも、やっぱりどこかで幸せに生きていてほしい、と願ってしまうもの。
いろんなことが起こる毎日の中で、こうやってみんなが生きていることって、本当に細かい奇跡の集まりだなと思う。
私自身、ほんとうにありがたいことに
大きな病気もせず、事故や事件に合わずここまでこれた。
いろんな人に助けられて、そのおかげでここまでこれた。
あの時あの人がああいってくれなかったら、
あの時あの人がただそばにいてくれてなかったら、
まったくちがうことが起こっていたかもしれない。と思うことがいくつもある。
人は思ったより丈夫な部分もあるし、
思ったよりすぐ壊れる部分もあると思う。
全然しらない男の子とそのお母さんの、ほんの数分の出来事でしたが、
それぞれが誰かにとってかけがえのない人であること、
いままで出会ったいろんな人やいろんなことに支えられてここにいることを
改めて感じることができた1日でした。
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