【予算850億の元バイヤーが解説】スリーコインズから学んだこと
こんにちはのじです。
(私の記事は #NP企画 で検索できます)
今回はスリーコインズから学んだ事についてです。
スリーコインズとは株式会社パルグループホールディングスのグループ会社でオシャレ雑貨を中心に取り扱う300円ショップです。もはや説明が要らない位の有名なショップですね。
昔から個人的にスリーコインズはすごく好きで良く利用させてもらっていました。清潔感のある開放的な雰囲気にたくさんのおしゃれな商品が300円とお手軽価格といい事揃いの素晴らしい店です。
化粧品バイヤーだった頃は仕事の目でじっくり見ることはなかったのですが、2016年に雑貨のマネージャーになってからはこんな売場が作りたいなぁと思うようになりました。
もともと誰もやってないことやワクワクすることをやりたいという気持ちが強かったのでこれは自分がやるしかないと思って動きだしました。
まずは商品を作ってるメーカーさんに話を聞いてみようと思い、スリーコインズの商品の裏面に書いてある製造メーカーさんに話を聞いてみようと思いあるメーカーさんをメモしてきました。
ところがそのメーカーさんはホームページがありません。仕方ないのでアルバイトの求人の電話番号を見つけてそこに電話しました。
そこで名前を名乗って企画の方につないでもらい、商品について話を聞かせて欲しい旨を伝えて後日社長さんのアポをもらいました。
普段は色んな方が看板のお陰で気を使って案内しに来てくれるので全く緊張する事はありませんが、相手が業界外の方にアポの電話をする時は誰?という感じなのでいい緊張感を味わえます。
後日アポイントの日に会いに行き、こんな会社で私はこんな仕事をしていて御社の商品を扱いたいという話をさせてもらいました。
幸いこちらから出向いた事や私の熱意が伝わって、問屋を介さず直接取引をする事、ある程度の規模で導入する事などいくつかの条件をクリアすれば取り扱いさせてもらえる事になりました。最後は一緒に成功に向かって行こうと言ってもらう事ができました。
そして今後発売予定の商品をいくつか見せてもらいました。これが300円というものばかりで、こんな楽しい商談は久しぶりでした。いきなり大きな売場で大きなスペースは取れないからまずはスリーコインズでも実績のある商品を厳選してやっていこうという話になりました。(当然具体的な数字は教えてもらっていません)
私はクッションとか収納ボックスやぬいぐるみなどのドラッグストアであまり売っていないものをイメージしていたら、提案してくれたのは『箸』や『洗濯ネット』などドラッグストアでも普通に売っている品種のものでした。
思わず
『社長、箸や洗濯ネットはドラッグストアではあんまり売れませんよ』
と思わず言ってしまいました。
そうしたら社長さんは自信満々に
『売れないんじゃなくて欲しいものがないから売れないんですよ』
と言いました。また
『品質ももちろんだけどデザインでカワイイとかおしゃれとか心が弾んだり、部屋に置きたいって思うものでこれが300円?という物をつくったら売れるんです。デザインも機能の1つなんです。だから普通に300円に見えるものはダメなんです』
とも。何て潔いんだろう。実に衝撃的でした。こんだけハッキリと自信満々に言える人がどれだけいるだろうか?売れるかどうかも重要ですが、この社長さんに会えて、この話が聞けて良かったと思いました。
あの時電話をかけようと思わなかったら、ホームページがなくて諦めていたら、アルバイトの電話番号にかけていなければ、会いに行かずに呼びつけていたら社長さんと会ってこの話も聞けなかったかもしれません。自ら動いてみて良かったです。(今までの話はスリーコインズの方ではなくスリーコインズの商品を作っているメーカーの社長さんの話です)
なぜ同じ品種なのにそんなに販売数が違うのか?
箸も洗濯ネットも毎月売れ続けるほど買い換えするの?正直そこまでニーズがあるとは考えた事もありませんでした。
これが良くドラッグストアで売っている洗濯ネットです。店舗当たり月に数個売れればいい方です。
そしてこれがスリーコインズで売ってる洗濯ネットです。スリーコインズでは毎月店舗あたり150個~200個位売れるそうです。
こっちはドラッグストアで売ってる箸です。5本セットだと500円以上のはず。割り箸以外置いてない店も。
こっちはスリーコインズの箸です。色々なデザインがあります。これも月に何十個も売れるそうです。
では何故そんなにスリーコインズでは売れるのか?それはスリーコインズの店のコンセプトにヒントがあります。
ドラッグストアの扱っている箸や洗濯ネットなどはホームセンターの売れ筋をそのまま並べている感じで家庭で不足して必要になった商品の機能を提供するものでしかありません。
ところがスリーコインズは『あなたのちょっと幸せをお手伝いする店』とあるようにそこには商品の機能だけでなくお客さんのより良いライフスタイルを提供するものを置いています。また各売場でコーディネートの提案をしていて複数の物を組み合わせてあれこれ買いたくなってしまうような仕掛けになっています。
つまり足りていない不足の買い物ではなく、それを使った生活、家に置いた生活の楽しさやワクワク感のプラスの買い物です。物消費から事消費にターゲットを変える事で需要を産み出しているから圧倒的に販売数が違うのです。
もちろんそれだけ売れるのはスリーコインズが作り上げてきた事消費の店というブランド力があるため、ドラッグストアで真似をしても同じ売上が作れる訳ではありませんがどこに消費者のニーズがあるのか考えるいい勉強になりました。
肝いりで始めましたが、まだまだ改善していかないと行けない部分も多いまま道半ばで退職してしまいちょっと心残りです。上手く軌道に乗っていく事を願っています。
まとめ
売れないのは欲しいものがないから。と自信を持って言えるようになりたいものです。
おまけ
スリーコインズは2018年決算によると190店舗で2534万、1店舗当たり月1100万以上の売上です。300円の商品が37000個売れている事になります。取り扱い商品数が1600~2000品と言われているので1品平均20個位売れている計算です。店の大きさを考えるとすごい!
↓パルグループホールディングIRより
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最後まで読んで頂いてありがとうございました。
のじ