スマホ依存 vol.22
ノンフィクション作家の石井光太さんの著書「ルポ スマホ育児が子どもを壊す」は、極端な事例かもしれないが、でも事実なわけで、かなり昭和生まれ、昭和育ちの自分としては、決してオーバーな表現ではなく、顎が外れる思いを持つ事例ばかりである。
FRIDAY DIGITALの連載記事からご紹介する。
体育座りできない、骨折率は以前の2.4倍…子どもの運動能力が劇的低下「ラジオ体操も禁止」衝撃ルポ
都内の某保育園で、今年から「ラジオ体操」が禁止!?
どいうこと?と思うのは私だけではないであろう・・・
禁止の理由がすごい!
子供達の運動能力が落ちすぎて、ラジオ体操で怪我をする子供が出るようになったから、とのこと。
ジャンプをして足を挫く。上半身を回したら倒れる。腕を斜めに振ったら肩が外れる。
唖然・・・である。
大変失礼ながら、車椅子やベッドで横たわっているご高齢の方ならわらなくもない。
この話は都内の保育園で起きていること・・・
保育園だけでなく、小学校でもおかしなことが起こっている。
例えば、体育座りが一定時間以上できないとか、床に座ろうとするとだるまのように倒れるとか・・・
詳しくは、上記のFRIDAY DIGITALを見ていただきたい。
私がこの記事を読んで、唖然としたことは、子どもの体の変化への驚きはもちろんあったが、某保育園のその対応である。
危ないからラジオ体操は禁止にする・・・
保育園としたら、管理者責任を問われることが怖いのだろう。
確かに、モンスターペアレンツの存在は厄介である。
私も長年子ども体育指導、野外活動を行ってきた中で、少なからず、怪我が起きて、親から管理者責任を問われたことは何度かある。
その都度、大変なエネルギーを費やしたことも事実。
なので、保育園としては、無理にラジオ体操などさせて怪我が起きるくらいなら、やめてしまった方が管理する側の理論としてはわからなくはない。
これは保育園などの教育現場の話だが、日本社会全体が、「もしも○○が起こったら、どうしよう」症候群になってきていることに非常に危機感を覚える昨今である。
インディアンは子供に小さな火傷をわざと経験させて、火の怖さを体で覚えさせ、大きな火傷から身を守ることを教えると聞いた。
可愛い子には旅させろ、というのもその教えと同じであろう。
守られすぎている日本社会
怪我することは誰かのせい
自分で身を守ることを学べない
ふと思い出したが、ある時期、日本赤十字社の救急指導員の活動をしていた時期があったのだが、ある時、有事が起こった際のシミュレーションの訓練の時に、私が安易に行った行為に対して、うもすもなく直ちに元に戻せということを頭ごなしに怒鳴られるように言われ、怖いというよりもびっくりして、反射的に動いたことを覚えている。
有事の際のシミュレーションである。一歩間違えれば多くの人の命を危険な目に合わせる事態であったと思う。
そんな時に優しく、それはやめておいた方がいいよ・・・なんてことは言ってはいられない。
今の日本においては、地震や台風などの自然災害はいつ何時起こるかわからないが、平常においては、基本平和な社会である。
多くの日本人が先の戦争を体験していない今である。
平和ボケ日本人と言われて久しい。
怒鳴られる、罵声を浴びせられる・・・パワハラ、モラハラというまた違う形での言葉の暴力が社会問題にはなっているが、叱咤激励という場面において、厳しい言葉を使うことが躊躇われる時代であることを考え直さなくてはいけないのではないかと考える今日この頃である。