「万年筆」の線幅を決めるもの?
ポイントの大きさ
前回ふれたようにペンポイントの大きさによってその万年筆の文字の線幅が決まります。
種類は4種ほど
基本な線幅として、極細字(EF)、細字(F)、中字(M)、太字(B)、などがあります。
メーカーによって呼び名はさまざまですが、さらに細分化して超極細字や中細字、極太字などがあり、ペン先が大きくなるほど線幅が太目になっていきます。
カリグラフィー
これら通常のラインナップからちょっと外れる特殊なペン先として、ミュージック(MS)と呼ばれるものもあります。名前の通りこれは主に五線紙に音符を書くペン先なのですが、縦太・横細の線幅で書けるように、ペン先が平たくなっています。カリグラフィーという「美しくデザインされた手書き文字」を書くことにも用いられます。
グーテンベルク聖書(複製本)のラテン語のカリグラフィー
相対的な目安
文字の幅には細字や中字などとありますが、厳密な規格があるわけではなく実際はそのメーカーやシリーズの中での相対的な目安となっています。
細い線幅のペン先になると特徴の傾向は顕著になっていきます。一方、中字より太い線幅になるとあまり気にならない違いになってくるような気もします。細字万年筆は意外と曲者なのです。
今回はそんな細字のペン先について、一般的なポイントをあげていきます。
まず、日本のメーカーのペン先は線幅が細く、海外メーカーのペン先は線幅が太いという傾向があります。海外メーカーの細字ペン先は日本のメーカーの中字ペン先と同じぐらいの線幅のということはよくあることです。
ペン先の開発
これは、明治時代に海外の製品を参考に万年筆を作りはじめた当時、日本のメーカーにとって最重要事項であったのが、英字よりも複雑な漢字やかな文字にも対応できるペン先の開発でした。このことが、より細めの線幅に拘ったペン先作りの発展に繋がっていったと言われています。
一方、前回でもすこし触れましたが、鉄ペンと金ペンでも違いが出てきます。鉄ペンは金ペンよりより線幅が細くなる傾向にあり、鉄ペンの細字は金ペンの極細字に相当するイメージとなります。この材質による差は同じメーカー同士のものでも現れます。
筆者お勧め万年筆
「プラチナ万年筆 プレピーPSQ-300 #3 ブルーブラック」
柔らかいペン先
金ペンと鉄ペンを比較すると、鉄ペンのほうが硬いシャープな書き味、金ペンはよりしなる柔らかいペン先のフィーリングがあり、金の含有量が多いペン先は線幅がより柔らかく太目になります。
このように中字以下のペン先は、メーカーや材質、ペン先の大きさといろいろな要素によって文字の太さに変化があります。
「沼」にはまる?
細字万年筆に拘りを持ち始めるとあの万年筆は?こっちの万年筆はどうだろう?となってあれこれ買ってしまい「沼」にはまり、気が付いたら「いっぱしのコレクター」になっていたという人は、もしかしたら多いのかもしれません。細字万年筆はコレクターへの入り口かもしれません。
千差万別
筆者自身の経験では、案の定「沼」に足を踏み入れてしまったことは正直に自白します。細字万年筆はメーカーやシリーズの差が出やすく千差万別です。筆者の万年筆の遍歴やレビューなどはまた別の回でふれていきたいと思いますが、それなりの価格帯で一本を選ぶとすれば、日本のメーカーの中字のペン先と同じくらいの線幅のペン先がお勧めです。
さて、次回は?
次回は実際に文字を書き比べて、それぞれの特徴などについてふれていきたいと思います。