今日もいっぱい食べましたよ
手術後、ななは一週間入院を余儀無くされ、初めて家族と離れることになった。
麻酔から醒めた頃に病院から連絡が入った。
その日の夕方から毎日、お見舞いに行った。
手術した日はまだ意識が朦朧としていて、脚には管が繋がったままの痛々しい姿だった。
名前を呼んでも無表情に近かったが、家族が来たことは分かっているらしく、ゲージの中からじーっと見詰めていた。
この日は、ななも疲れているからと後ろ髪を引かれる思いで病院をあとにした。
翌日、お見舞いに行ったときは病院に入る前からななの甘える鳴き声が聞こえてきた。
ゲージ内で尻尾をブンブン振り、最大限の喜びを見せていた。
抱っこしていいと許可がでたのでゲージから出すと、ギュッと腕に掴まり離さない。
これほど抱っこしてと態度で示すのは初めてだ。
「なな、マンマちゃん食べた?」
「水は飲んでる?」
矢継ぎ早にななに声をかけていると看護師さんが、
「ななちゃん、ご飯いっぱい食べましたよ」
と、教えてくれた。
退院当日までお見舞いに行くたびに、同じ看護師さんから嬉しい報告を受けることができた。