つまんない……
おこちゃまだった頃のななは、放置プレイが嫌いだ。
家族がドラマを真剣に見だすと、途端にサークルのプラスチック部分をわざと大きな音をたてて掘りはじめる。
「な〜な、やめて」
といって、素直に止めるはずもない。
チラッと家族を横目で見る。
家族の視線がテレビに集中する。
再び、大きな音をたてて掘る。
そして、チラッと家族を横目で見る。
声をかけられないと、不貞腐れて、私の部屋までやってくる。
作業をする手を止めずにいたら、足元をうろうろして、
「ななが来てやったぞ」
といいたげに私を見上げる。
「なな、どうした?」
頭を撫でながら、作業を再開するを数回、繰り返したら、机の下に入り込み、ここでも机の側面を掘りはじめた。
「どいつもこいつも、ななに集中しろっ!」
と言葉が聞こえてくる勢いだ。
それでも、手を止めず名前を呼ぶことを繰り返していたら、ななのほうが諦めたらしい。
その場でしばらくふて寝したら、家族のいる場所に帰っていった。
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