
石頭
ななの頭は硬い。
頭突きをくらったときは、涙が滲むほど痛い。
リビングにローテーブルがあるのだが、ときどきそのテーブルにごちんと頭をぶつけることがある。
ローテーブル近くのクロスの匂いを嗅いでいて、ふと頭を上げた瞬間、ごちんとぶつけたり。
ローテーブルすれすれの場所で寝ていて、急に頭を上げた瞬間、ごちんとぶつけたり。
まぁまぁ大きめな音がするが、当の本人のななは、何事もなかったかのように振る舞う。
でも、一回だけものすごく痛かったのかぶつけた瞬間、微動だにせずしばらく固まっていたことがあった。
ぶつけた頭を撫で撫でしながら、
「なな、その痛みはいつも私が君にくらっている痛みだぞ」と、心の中でつぶやく私は、ちょっと、心が狭いなと反省した。
でもね、ななに頭突きをくらうたびに、痺れる痛みを味わうんだからね。