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知恵のぴーちゃん

 二番目に家のコになった、ぴーちゃんは、おシモは何回教えても粗相をするコだったが、それ以外はすこぶる頭がいい。

 例えば、ぴーちゃんにとって、サークルはおしおき部屋だったので、扉の鍵がかかっていないことが分かると、前脚で扉を押してそーっと脱出していた……とか。

 ローテーブルで茹でた栗をスプーンですくって食べていたら、栗の乗ったスプーンを前脚で自分の口元まで持っていき、食べてしまう……とか。

 箱に入った栗きんとんは、包み紙に包まれて箱の蓋までしてあったのに、ローテーブルから箱を落として中身をすべて食べてしまったこともあった……とか。

 ベランダできゅうりとプチトマトをプランターで作っていたら、ぴーちゃんにとって食べ頃な大きさになると、いい音をたてて食べていた……とか。

 母が、なかなか出来ないねぇと呟いていたので、

「ぴーちゃんが食べてたよ」

と姉が教えてあげていた。

 母はまったく気づいていなかったらしい。

 姉よ、知っていたなら教えてあげなよ。

 老齢期になり、薬を飲まなくてはいけないときなど、マンマちゃんに混ぜても薬だけ残す、口の中に入れても、飲み込んだフリをして、後で口の端からこっそり出していた……とか。

 ぴーちゃんには、驚かされることが多かった。

 

 

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