シャンプーとカエルタイマー
月曜日の朝、ななは地味に私から離れた所に移動する。
なぜなら、シャンプーされるから。
だが、小型犬の悲しい現実。
ささやかな抵抗も、抱っこしてしまえば無かったことになるのだ。
「なな〜シャンプーしよっか」
小刻みにプルプルと震えて、固まっていた。
でも、暴れたりはしない。
諦めが早いのだ。
どうせやらねばならぬなら、さっさと済ませてしまいましょうの精神だ。
ななは脂漏症持ちなので、専用漬け置きシャンプーを使う。
放置時間は十分間。
そこで、タイマーが必要不可欠になる。
百均で見つけたカエルのキッチンタイマー。
ただ、待つだけの十分間というのは正直、退屈。
なので……。
「なな〜、お利口さんだねぇ」
「なな〜、後◯分だよぉ」
「なな〜、凄いね〜」
ななを褒めて褒めて褒め倒す。
そして、ななと私の待ちに待ったあのお知らせ。
「ピピピピピピピピピピ」
そう、カエルタイマーのアラーム音。
「さぁ、なな、仕上げだよ」
よ〜くシャンプーを洗い流し毎回、恒例の躰をプルプルしてからタオルで水気を拭い、バスルームを後にする。
ドライヤーで乾かし、耳掃除を終えると、ななお待ちかねのご褒美おやつを貰うと、洗ったばかりの肉球手入れを始めるのだ。
「……洗ったばっかなのになぁ」
三十分後、ななの両手両脚の肉球と周辺の毛がベチョベチョになったことは、いうまでもない。