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中治り現象

 人間には「中治り現象」なるものがあることは知っていた。

 死ぬ数日前くらいに、それまで食べることもできないくらい弱っていたのに、急に食べられるようになったりすることがある。

 まさに、それがななに起こった。

 サークルで寝ていたななが起きたので、

「マンマちゃん食べる?」

と一粒つまんで口元に持っていった。

 パクリと食べたので、一粒づつゆっくりと食べさせた。

 気が付くと片手いっぱいのマンマちゃんをペロリと平らげた。

「お利口さんだね、よく食べました」

 食べ終わると、疲れたのかまた眠ってしまった。

 その姿を眺めながらもう、いよいよなのかなと、胸がザワザワと波立った。

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