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Isaac Sim 4.5 と Isaac Lab 2.0 の新機能

以下の記事が面白かったので、簡単にまとめました。

Advancing Robot Learning, Perception, and Manipulation with Latest NVIDIA Isaac Release


1. NVIDIA Isaac の新機能

「CES 2025」において、「NVIDIA」はAI ロボットの開発を加速する高速ライブラリ、アプリケーション フレームワーク、AIモデルのプラットフォームである「NVIDIA Isaac」のアップデートを発表しました。

・Isaac Sim 4.5
・Isaac Lab 2.0
・Isaac Manipulator
・Isaac Perceptor

2. Isaac Sim 4.5 の新機能

「NVIDIA Isaac Sim」は、「NVIDIA Omniverse」上に構築されたリファレンス アプリケーションで、物理ベースの仮想環境でAI駆動型ロボットを開発、シミュレーション、テストすることができます。

1 月末にリリースされる「Isaac Sim 4.5」では、次のような重要な変更を提供します。

・リファレンスアプリケーションテンプレート
・URDF のインポートとセットアップの改善
・物理シミュレーションとモデリングの改善
・新しいジョイント視覚化ツール
・シミュレーションの精度と統計
・NVIDIA Cosmos World Foundation Model

2-1. リファレンスアプリケーションテンプレート

「Isaac Sim」は、カスタマイズ可能なリファレンスアプリケーションとして再設計されました。高速起動のための「最小限テンプレート」と、すべての依存関係を含む完全機能を備えた「フルテンプレート」が提供されています。これにより、特定のニーズに合わせてアプリケーションを調整することができます。

2-2. URDF のインポートとセットアップの改善

「URDF Importer」が大幅に改善されました。UIは簡素化され、他のフォーマットのインポート方法と整合性を持たせたスムーズなプロセスが実現されています。インポート後すぐにロボットを使用できるよう、ジョイントドライブを個別に設定できるようになりました。ジョイントドライブの設定をサポートするために、自然周波数に基づく調整オプションも提供されています。

2-3. 物理シミュレーションとモデリングの改善

「Isaac Sim 4.5」では、物理モデリングとシミュレーションが大幅に進化しました。ロボットの各コンポーネント間でさまざまなジョイントタイプを定義および設定でき、剛性や減衰といったパラメータを調整してジョイントの動作を細かくチューニングすることが可能です。

2-4. 新しいジョイント視覚化ツール

新しいジョイント可視化ツールにより、選択したプリムの物理特性を確認できるようになりました。位置、回転、線形および角速度、加速度などを含む特性を簡単に調べることができます。また、シミュレーションを実行する前に、変形可能な表面やメモリ使用量など、さまざまなシーンパラメータを確認および最適化できるようになりました。

2-5. シミュレーションの精度と統計

剛体やアーティキュレーションにおける完全な運動量保存の新しい実装により、シミュレーションの精度が大幅に向上しました。また、相互作用するオブジェクトやシーン、または完全に独立した状態にあるもののシミュレーション統計を可視化できるようになりました。変形可能な表面からバッファ内で使用される全体的なメモリ量まで、さまざまなパラメータを確認できます。これにより、シミュレーションを実行する前にシーンのトラブルシューティングや最適化を行う方法が提供されます。

2-6. NVIDIA Cosmos World Foundation Model

「NVIDIA Cosmos World Foundation Model」は、「Isaac Sim」と組み合わせることで、大量の制御可能な合成データを生成し、知覚ロボットの学習に使用できます。

「Isaac Sim」では、CAD、LiDARから得られる点群スキャン、「Edify 3D」のようなAIモデルによって生成された3Dオブジェクトなど、多様なデータ入力を統合して「SimReady」の3Dシーンを作成します。その後、ロボットが実行すべき特定のタスクを反映したシナリオを構築および配置し、画像や動画をレンダリングします。

「Cosmos」は画像や動画を取り込み、フォトリアルな動画クリップを出力して、ポリシーモデルを再学習することができます。


3. Isaac Lab 2.0 の新機能

「Isaac Lab」は、ロボットのポリシーを学習するためのオープンソースの統合フレームワークであり、ロボット学習に特化しています。「Isaac Lab」は「Isaac Sim」を基盤として構築されており、開発者や研究者が、堅牢で知覚対応のシミュレーション学習済みポリシーを活用して、知能的かつ適応性のあるロボットをより効率的に構築することを支援します。

今月末にリリース予定の「Isaac Lab 2.0」では、以下を含む性能と使いやすさの向上が実現されています。

・タイルレンダリングの高速化
タイルレンダリング速度が最大1.2倍向上。複数のシミュレーションからの出力を統合して1つの大きな画像として生成し、個別のカメラからの小さな画像を処理する手間を省きます。

・ユーザー体験の向上
Pythonパッケージマネージャを利用した簡素化されたインストールプロセス。さらに、Isaac Labはコンテナとしても利用可能になり、システム間での作業負荷の移動が基盤の依存関係に左右されなくなります。

ヒューマノイドロボットの開発者は、「NVIDIA Isaac GR00T Blueprint」を活用して、少数の人間の動作デモから大量の合成軌道データを生成するカスタムデータパイプラインを構築できます。この「GR00T Blueprint」は現在、招待制のアーリーアクセス段階にありますが、ベータ版が広く利用可能になった際には、「NVIDIA Humanoid Developer Program」に参加することで利用できます。

4. Isaac Manipulator の新機能

Isaac Manipulator,」は、ROS2を基盤とした「NVIDIA CUDA」による高速化ライブラリ、AIモデル、およびリファレンスワークフローのコレクションです。これにより、環境を認識し、理解し、対話できるAI対応のロボットアーム(マニピュレータ)を構築することができます。

「Isaac Manipulator」には、ピック&プレースやオブジェクト追跡といった基本的な産業用ロボットアームタスクに迅速に取り組むための新しいエンドツーエンドのリファレンスワークフローが追加されました。

オブジェクト追跡
移動するオブジェクトに対して一貫した位置を保持しながら、障害物を回避してロボットのグリッパーが動作する能力を示します。

ピック&プレース
ロボットが物体を持ち上げ、障害物を避けながら、所定の領域に配置する方法を示します。

これらのワークフローは現在「Isaac Sim」でサポートされており、物理的なハードウェアのセットアップを必要とせずに迅速なテストが可能になりました。

開発者向けサポートおよびその他の改良点には以下が含まれます。

・FoundationPoseのパフォーマンス向上
・マニピュレータのユースケース向けにnvbloxのアップデート
・ロボットのハンドアイキャリブレーション用のチュートリアル
・グリッパーとオブジェクトのペアに対してカスタムグリップを設定およびシミュレーションするIsaac Simベースのツール

5. Isaac Perceptor の新機能

「NVIDIA Isaac Perceptor」は、ROS2を基盤とした、「NVIDIA CUDA」による高速化ライブラリ、AIモデル、およびリファレンスワークフローのコレクションであり、自律移動ロボット(AMR)の開発を支援します。これにより、AMRは倉庫や工場のような非構造化環境で認識、位置特定、操作を行うことが可能になります。

「Isaac Perceptor」には、3Dシーン再構築用のCUDA高速化ライブラリである「nvblox」や、ステレオ視覚慣性SLAM(同時位置特定と地図作成)用の「cuVSLAM」が含まれており、既存のAMRワークフローに統合することができます。

「Isaac Perceptor」の最新アップデートでは、倉庫のような動的環境でのAMRの環境認識能力と運用効率が大幅に向上しました。主な新機能と改良点は以下の通りです。

・新しいエンドツーエンドのビジュアルSLAMリファレンスワークフロー
・複数のカメラを使用したnvbloxの実行例
 (人の検出や動的シーン要素を含む3Dシーン再構築)
・複数のRGB-Dカメラを使用したより精密な3Dシーン再構築

これらのアップデートにより、3Dシーン再構築が大幅に改善され、実世界のシナリオや複雑な動的環境における3Dシーンのキャプチャおよびマッピング性能の精度と堅牢性が向上します。

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