成長株に長期投資するなら「貸株」の知識は知っておきたい
株式投資の醍醐味は「配当金(不労取得)」を得ることと考える方も多いかと思います。しかし、配当金を出す企業というのは既に成熟しており、会社の安定した利益から配当金という形で株主に還元しているメカニズムを考えれば、私が集中投資をしている成長企業に期待するのは筋違いということがお分かり頂けると思います。
私が投資するニューラルポケットのような上場して間がない会社の場合は、資金が潤沢にある訳ではありません。利益を設備投資や研究投資、人的資本投資に充てることで、企業の成長拡大を図っていきます。
配当金を出して株主に利益を還元するというよりも、利益を事業拡大のために再投資することで、株価を上げ、キャピタルゲインという形で最終的に株主に利益をもたらすという訳です。
高配当企業とは真逆のメカニズムと言ってい良いでしょう。
つまり、成長株に投資していくのであれば、配当金を最初から期待するのはお門違いということになります。
目先の配当金よりも、数年後の大きなリターンを狙っていくのが成長株投資の戦略ということです。
配当金が出ない成長企業で多く見られる特徴が、「貸株金利が高い」ということです。
貸株金利は、需給で決まります。つまり、株を借りたい人と貸したい人のバランスで決まります。上場して間がない若い会社の場合には、発行株数が少なく、株式の大半を経営陣が保有しているケースが少なくありません。必然的に浮動株と呼ばれる市場に出回る株数も少なくなるため、金利が上昇しやすい傾向にあるのです。
貸株金利の上昇は、消極的に捉えれば、機関投資家による「空売り」の肥やしとも言えるため、短期的には株価が上がりにくい状況に陥る可能性があります。しかし、需給で考えれば、それだけ株を貸したい人(市場に出回っている株)が相対的に少ないとも言えます。
貸株金利が高いことは、上場して間がない成長企業の宿命とも言えるため、あまり神経質に捉える必要はありません。むしろ、「金利が高いから倒産リスクが高い」ということにも単純に結び付いてはいかないため、長期で保有する気があるのであれば、貸株により高金利の恩恵に授かることが賢明な投資手法と言えるかと思います。
「貸株」とは、日本取引所グループ(JPX)のサイトから説明を引用すると『投資家が、保有している株券等を証券会社に貸し出すことで、証券会社からこれに見合う貸株金利を受け取ることが出来るサービス』と記載されています。
私は、株式取引を楽天証券で行っています。
つい最近まで、ニューラルポケットの貸株金利は10%でした。
つまり、私が保有しているニューラルポケットの保有株を楽天証券に貸し出すことで、「金利10%を受け取ることが出来るサービス」ということです。
配当利回り10%なら超高配当株になります。
金利10%を受け取るということに着目すれば、配当金も貸株も同じですね。
ただし、注意点もあります。
自分が保有している株を証券会社に貸し出しているということは、証券会社が経営危機に陥った又は倒産した場合には、貸している株が返ってこない、つまり貸し倒れになることがあります。
それからもう一つ。
配当金は配当所得になるため配当控除を受けることが出来るのに対して、貸株は「雑所得」ですので控除を受けることが出来ません。当然、損失が出ている株と相殺することも出来ません。
貸株では、給与取得2000万以下の収入の方であれば、給与取得と退職所得以外の取得が「20万」を超えた場合には確定申告が必要となります。
裏を返せば、貸株金利による雑所得が「年間20万以下」であれば、確定申告は不要ということですね。
投資戦略としての「貸株」活用はアリだと考えます。
理由としては、成長企業のような今後キャピタルゲインを大きく狙える株式に投資している場合には、資金効率の面で利用価値は高いと考えます。
私は、保有している株式のうち、100株だけ手元に置いておいて、残りは全て楽天証券に貸し出してます。100株残しているのは、株主総会やその他の議決行使に投資家として参加したいからです。全て貸し出してしまうと、株の保有者からは完全に外れてしまうため、株主総会の案内等の各種通知は自宅には届かなくなります。しかし、株主総会にはきちんと参加したい。そして、経営陣の生の声を聴きたいという思いがあるため、最低100株は残すことにしています。
現在、投資しているニューラルポケットは貸株金利が10%と非常に高くなっているため、貸株金利で年間で20万程度、月に約16,000円の不労取得を得ています。
株価と金利が上がれば、更に得られる不労取得が増える可能性がありますが、確定申告しなければいけないことを考えると、貸し出す株数を調整して年間20万の範囲内で貸株を活用していきます。
私が利用している楽天証券は、WEBサイトから貸株サービスを簡単に申し込むことが出ます。株を証券会社に貸し出すだけですので、信用取引のような審査もありません。気軽に始めることが出来ます。長期で保有する気があるのであれば、リスクは証券会社の経営破綻だけとなるでしょう。
貸株金利の取得タイミングについてですが、月初に楽天証券に振り込まれ、即座に余力に反映されます。楽天銀行のマネーブリッジを活用すれば、2,3日後には資金(貸株金利で得た金利)が楽天銀行に移ります。
配当金と違って、毎月金利が振り込まれるため、利便性が高いのが特徴です。貸株で得た金利を子供の習い事に充てるもよし、旅行積立としても良し、投資資金に充てるも良し、と資金効率の面で優れています。
私のように貸株金利の高い成長株に投資し、売る気が全く無いのであれば、利用価値が極めて高いのが「貸株」です。
ただし、先にも説明しましたが、機関投資家による「空売り」の肥やしになることを考えれば、貸株金利の上昇は短期的には売られやすく、株価が下がることも考えられるため、「貸株金利」目的で投資をすることは全くお勧めできません。あくまでも、売る予定が無い株を「貸株」することに意義があることを念を押しておきます。
「貸株」に関する議論には賛否両論あると思いますが、成長株に長期投資している身からすれば、投資戦略に組み込む価値は極めて高いと考えます。