成長株投資は時間軸10年で考える
私の2030年FIRE達成に向けた投資戦略の1つに個別株投資がある。
個別株投資の考え方について、今まで触れてこなかった理由は、私自身が個別株投資に何の実績も残せていないこと。次に、投資先は他人に推奨するものでは無いと思っていること。最後に、投資先を1社に絞り込んだリスクの高い集中投資を行っていること。私の個別株への投資手法は決して他人に勧められるものではない。
しかし、日本人が日本の会社に投資することは極めて意義のあることだと私は考える。資本主義経済の根幹を形成しているのは株式投資であるし、資本主義経済は株式会社の活動によって支えられている。そして、何よりも株式会社という存在が株式投資で生み出されたものである。つまり、資本主義経済の基盤は株式投資によって成り立っていると言っても過言ではない。
日本が資本主義国家であり続けるならば、資本主義経済のメカニズムを理解すれば、株式投資による恩恵を受けることは理に適っているはずだ。だから、私は「世界を便利に、人々を幸せに」してくれることに期待を込めて、若い成長企業に投資をしているのである。
株式投資の最大の目的は利益を得ることである。しかし、創業して間がない会社は、成長に売上や利益が直ぐに結びついていかない。企業の成長サイクルを考えれば、「上場して資金調達が完了したら、まずは種をまき始める。」「5年目位でようやく土から芽が出始める。」「そして、10年目位でやっと立派な大木に成長する。」イメージだ。芽が出ずに、あるいは、大木になる前に枯れてしまうこともあるかもしれない。成長企業とは言えど、競合ひしめく現代社会において、時間は無制限に残されている訳ではない。いつ成長するか分からない会社の株式をいつまでも保有してくれるほど寛大な投資家はいない。真の成長企業であれば、5年目の時点で、元気の良い芽が何本も生え始めているだろう。そして、10年目には立派な大木が育ち、たくさんの果実が収穫できるはずである。
私が投資する成長企業は上場して2年が経過しようとしている。あと3年で新芽が生えてくるはずだ。そして、私がFIRE達成を目指す2030年にちょうど上場後10年目を迎える。この時、成長した大木から、たくさんの果実を収穫出来ることに期待して、今こそ成長株に投資しているのである。
個別株投資の醍醐味は、株主という立場で企業の成長を実感できることである。時間軸の置き方は投資家ごとに異なるだろう。しかし、私のように時間軸を10年以上と長く取っている個人投資家は、ヤフー掲示板やTwitterで自分とは別の時間軸(例えば短期)で投資している人の意見や発言にいちいち惑わされてはいけない。
成長株の長期投資においては、今のPERやPBRに敏感に反応することは馬鹿馬鹿しく感じるはずである。少なくとも私が投資する会社は、種まきがようやく終わったところだ。これから芽が出始めるところなのだから、果実(売上)が実るのは、まだまだ先である。PERが高いということは、考えようによっては市場の期待値の表れでもある。むしろ歓迎すべきことだ。つまり、今の売上や利益というのは、時間軸10年とする私にとっては大きな問題では無い。私は、会社の事業戦略が順調に進んでいるか否かを投資継続の判断材料としている。時間軸10年を待たずに売る時というのは、株主総会や公の場で経営陣の方針に陰りが見えたり、事業戦略に修正が出始めたとき、つまり、思い描いた成長のシナリオが崩れた時である。
成長企業に配当は求めない。むしろ、投資しているお金を株主に還元するくらいなら、積極的に事業投資に使って欲しいというのが私の願いである。FIRE達成までの年数を考えれば、新たに別の会社に投資をすることは、おそらく今後無いだろう。個別株投資は、今投資している会社の8年後の株価が私の投資結果となる。2030年にどれだけのキャピタルゲインを受け取れるかだ。これは私の勤務先以外の第2退職金だと考えたい。経営陣には、投資しているお金を有意義に使って貰い、全力で仕事に取り組んで欲しい。
最後に、私は株式投資のセンスが無いことを書き添えておく。短期、中期投資では株で勝ち目が無いのは自分でも分かっている。だけど人を見る目だけは自信がある。株主総会で経営陣に会った時、自信に満ち溢れた強い熱意を感じた。株式投資の本質は長期投資だ。その中でも創業して間がない会社は、何のしがらみも無く、ゼロからのスタートだから育て甲斐があって面白い。成長企業に投資している訳だから多少の失敗も大目に見るつもりだ。少なくとも、芽が出る前に株を手放すことはしない。むしろ、機会があれば更に追加で投資していくつもりだ。2030年FIRE達成の際に、多くの果実が収穫できることを楽しみにしたい。