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株式市場が好調な時ほど、債券投資の重要性が増していく。
今年は、世界的な景気後退が囁かれる中で、株式市場が好調だ。
年初来の主要株価指数を見てみると、特に日本株とNASDAQ100、半導体株指数の強さが際立っていることがお分かり頂けるだろう。
①日経平均 +25.15%
②ダウ平均 -0.17%
③S&P500 +9.98%
④NASDAQ100 +31.86%
⑤半導体SOX +32.33%
※2023年6月6日現在
ダウ平均が年初来でマイナスだったのは意外だったが、ダウは金融やエネルギー関連株の比率が他の指数に比べて大きいことが要因だろう。
残念ながら、私は日本株のインデックスには投資をしていないため、連日の日経平均株価最高値更新というニュースを耳にするたびに、やるせない気持ちになっていた。
しかし、唯一保有している国内株(N社)の年初来の株価を確認してみたところ、なんとNASDAQ100や半導体SOX指数にも勝るとも劣らない+39.38%という素晴らしい成績を残していたことに驚いた。
さて、債券はどうか。
私の金融資産の約35%の比率を占める東証米国債券ETF(2621)の年初来の成績を見てみることにしよう。
① 東証米国債券ETF -4.17%
② TLT(米国債20年超ETF)+0.20%
③ 米国債20年利回り -2.19%
④ ドル円 +6.50%
保有している東証米国債券ETF(2621)は、東証に上場しているETFであるため、日本株と同様に国内の取引時間に日本円で売買が可能な日本人にとって利便性の高いETFである。
②のTLTは米国市場に上場している海外ETFであり、ドルで取引が行われる。つまり、米ドル建てとなるため、購入する際には日本円から米ドルに換金する必要があるし、売却した後に現金化するには米ドルから日本円に再度換金する必要がある。それぞれ換金するためのコスト(手数料)が掛かることを考えれば、ドルベースで資産形成している中上級者向けの投資商品と言えるだろう。
①と②の大きな違いは為替の影響を受けるか否かだ。
今のような円安ドル高が進行している局面では、為替ヘッジなど無いほうが良いのだが、為替の見通しを予測することは非常に難しい。
私は高いヘッジコストを支払ってヘッジ付の2621を購入している。
今年は株価が好調であるため、債券の存在が薄れているが、TLTも年初来で僅かながらプラスとなっている。
その上、配当利回りも3%前後だ。
ドル円が+6.5%で推移していることからも、TLTを保有している投資家も、下手に売買を繰り返さずに、年初から保有していれば、今年は満足のいくリターンが得られているはずだ。
私が保有している東証米国債券ETF(2621)は年初来で-4.17%だった。
為替ヘッジが付いているため、ドル円上昇の恩恵が受けられないどころか、米国金利差が大きくなっている今はヘッジコストも嵩んでいる。
結果として、米国債20年利回りは年初来でマイナスだが、TLTをベンチマークとしている東証米国債券ETF(2621)はマイナスという結果となっている。
※本来は米国債20年利回りが下がれば、米国債券ETFは上昇する。
しかし、私はこの結果をみて意外と2621は強いと感じた。
2621もTLTと同様に年4回の分配金がある。
配当利回りが3%前後であることも考慮すれば、-4.17%という数字は決して悪い成績ではない。
今年も利上げが継続している中で、株価が好調な局面では、債券が振るわないのは至極当然のことである。
また、円安ドル高の局面では為替ヘッジが付いている2621のパフォーマンスが下がるのは致し方ないことだろう。
それでも、年初来でマイナス5%の範囲内で抑えることが出来ているのは、米国債のボラティリティ(値動き)がいかに小さいかがお分かり頂けるのでは無いだろうか。
今後、利上げが停止し、利下げ局面に転じれば、今度はドルが売られることは既定路線だろう。
日本人投資家が、為替リスクに頭を悩ませる問題を排除した東証米国債券ETF(2621)に対する投資妙味は今後更に高まるはずだと期待している。
今は、株価が好調だ。
私自身も金融資産の約65%を株式で保有しているため、今年は資産が大きく増加している。
株式の熱が高まり、暴走した時にブレーキを掛ける役割を持っているのが、債券である。
株式相場がこの先もずっと高い熱でいるとは考えにくいだろう。
今の債券は確かに冷めているが、高い熱を帯びている株式から債券への熱伝導が起きれば、株式も債券も程よい温度となり、資産は健全に増加していくものと確信している。