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銀行は中抜き業者?
MMTなど、お金とは何かについての議論が活発である。
私は金融のディープな議論を十分に説得力を持って展開する力量はないが、日々の零細企業経営の現場で感じる具体的な地に足のついたエピソードを記すことはできる。商取引に馴染みのない方にはマニアックな話になって恐縮だが、リアルな話を展開しているのでご容赦願いたい。
実は主要顧客から、この4月から約束手形(厳密にはファクタリング)での支払いから現金での振り込みに切り替えると通知があった。中小事業者にとって、これは朗報である。
約束手形とは、手形の振出人(お金を支払う人)が、代金の受取人(お金を受け取る人)に対して、所定の期日に決められた金額の支払い約束する証書(有価証券)のことである。今は手元にお金がないけれど、将来確実にお金が入る予定がある場合に利用する支払手段で、支払う側にとって有利な証券である。
期日が120日という手形はザラで、早く換金したいときは期日前に銀行に割り引いてもらい、銀行は手形を持つリスクを負う分割引料を受け取る。
一社とは言え大きな顧客からのその手形支払いがなくなったのである。これは日本におけるこの数年のトレンドである。ブラックな商取引が減りつつある。
約束手形にしてもファクタリングにしても、割引をするときには間に銀行が入っている。これを現金振り込みにすると、振込手数料は発生するものの銀行の取り分は大きく減ってしまう。
確かに支払う側は約束手形を使うと資金繰りが楽になるのだが、余計な割引や取立手数料などが発生している。取引先が多いとその作業工賃もかさんでくる。資金繰りが楽になる代償だと見ることもできるが、あらかじめ融資を大きめに行っておけば、その工賃も発生せずに済む話だ。
受け取る側は、紙の手形を受け取って管理して、領収証に収入印紙を貼って振出人に郵送して、資金繰りと割引される日数と利率を見ながら割引日を決めて、銀行に来てもらって紙の手形にハンコを押して割引してもらうのだが、この工賃もそれなりにかかるし、何よりも割引代(年利2~3%)が大きい。受け取る側も最初からこれらのコストを載せて販売しているので、振出人も得をしているように見えて得をしていないのだ。
こういった典型的なブルシットジョブで日本の銀行は小銭を稼いできたが、商取引の改善によって、日本の会社全体が生産性を上げる方向に進んで欲しいものだと切に願う。
銀行もこの低金利時代、融資の成績を上げるのが大変なのは理解はできるが、そろそろ金利が上がりそうなので、もっと本質的な融資の提案をして、王道を歩んで稼いで欲しいものだ。